【PF5】機械仕掛けの嵐
それは一瞬だった。 瑠璃のように青かった空は瞬く間に黒く染まった。 黒? いや、あれはどちらかと言うと血の――まるで吸血鬼の杯をでたらめにひっくり返したような――色だ。 大地は歪み、戦車が迫ってくるような轟きが聞こえる。 周りから大声で叫ばれている錯覚に陥った。 だが違う。 全て空から来ている音だ。 山と言う山に木霊したソレは全身の毛をビリビリと震わせた。 空気すらも震動していると言うのか。 私は唾を飲んだ。 だがその唾はまるで石かのように硬い。 実際石を飲んでいるわけでもないのに――喉が恐怖で硬直しているのか。 それは雷雲をかきわけて姿を現し、鏡を裂く様な金切り声をあげる。 私は悟った。 「あれこそが――」
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2011-02-06 01:56
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