【PFⅤ】ふくふく

赤錆の廃墟を行く私の視界の隅を、不意に白いモノが横切った。
『白尾の主』の名が私の脳裏を掠め、ひやりとしたものが一瞬過ぎったが、よくよく見てみればそれは随分と愛嬌のある顔立ちをした不思議な生き物であった。
額からにじみ出ていた汗をぬぐい、ほぅ、と安堵の息を吐く。
ぷかぷかと空中を泳ぐそれは、私を見下ろすとぷっくりと膨らんだ頬をふるりと震わせ、
そして―――

◆ふくふく（学名：アシッド・フライヤー）
宙を泳ぐ魚竜の仲間。
雄は額に青いヒレを持ち、雌にはそのヒレがない。
愛嬌のある外見をしているが、その頬には高濃度の酸が溜め込んであり、とても危険。特に雄は縄張り意識が強く、とても攻撃的。
金属のぶつかり合う音を嫌うため、ふくふくの生息地の側を通るときは、旅人や旅の商人たちが剣や盾、時には鍋やフライパンなどをガンガン鳴らしながら歩く姿が目撃される。ただし、そうすると他のモンスターに見つかりやすくなるためどうにもこうにも八方ふさがりである。

その皮は酸にとても強く、高値で取引される。
ヒレは珍味で、コリコリとした歯ごたえが面白い。

◆お借りしました＝ロゴ【illust/16241825】

■企画元様【illust/16194969】