自殺部屋 101号室
気がつくと俺は見知らぬ部屋に居た。異質なことにドアも窓も無い、潔癖なまでに白い部屋、椅子と不吉に垂れ下がる縄が一層不気味さを醸し出している。 訳の分からない事ばかりなのに、不思議なことに思考はパニックを起こすことなく冴えている。まず思い浮かぶ疑問は、なぜ俺はここに居るのかと、どうやってここに入ったのかだ。記憶が曖昧でここで目覚める前の事は朧気だ、普通に会社から帰宅した所までは覚えているが、その先は思い出せない、思い当たる節が無い、誘拐犯が営利目的で誘拐でもしたのだろうか?一介のサラリーマンを拉致って何になると言うのだ、自分で言うのも悲しいが自分の価値なんてそんなに高くは無いだろう、愉快犯だろうか?映画とかだと犯人に拉致監禁、訳の分からない部屋に居るシチュエーションは多々ある、大抵は助からなかった気がするが… 次に分からないのがどうやって入ったかだ、窓もドアも無いのにどうやって入ったのだろうか、入れてから壁を閉めない限り物理的に不可能だろう、それぐらいに隙間が無い、そもそも空調は利いているのだろうか、酸欠で倒れるんではないか、食べ物は無いのは確定しているし、ただ何もしなければ餓死してしまうだろうし、その前に正気を保っていられるかどうか…
この椅子と縄は悪意なのか…それとも良心なのだろうか…
この椅子と縄は悪意なのか…それとも良心なのだろうか…
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2011-03-13 23:43
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