【PFⅤ】星のどんぐり
【 その樹は夜空が星で一杯になる間だけ、眩く光る黄金のどんぐりの実をつけるという。
黄金の実の味は格別、この世のものとは思えないほどの美味しさらしい。
ただし、その実を枝から採ったならば星の出ているうちに食べてしまわないといけない。
星たちが姿を隠してしまったら、その実はたちまち ただのどんぐりになってしまうから ―――――― 】
「こんなに美味しいのに・・・・・・・村のみんなにも食べさせてあげたいです」
両の手一杯の輝くどんぐりが、今宵一夜限りという事にココレットはがっかりする。
ココレットの一族は村から遠くへ行く者はあまりいない、外の情報といえば旅人の話や本がほとんど、
だから師匠と出会ってからの日々は目新しいものばかりで、それらを村のみなにも見せてあげたかった。
「ココの家族はみんな、どんぐりが大好きなんです。夜が明けたら光は消えてしまいますが、
この実を持ち帰り魔法で育てたら、その樹は黄金の実をつけるでしょうか?」
彼女たちの命は短い、樹が自然に育つのなど、とても待ってはいられないのだ。
今はまだ、”実り”の魔法が使えなくともいつかきっと ――― 願いを込めてキュッと軽く握る。
(・・・・・・・ココはあまり才能がないからね、どうだか)
いくつかポケットに仕舞い込むココレットの後ろで、師匠は微妙な表情を浮かべていた。
「ところでコヨリはランプにでもなつるもりかい?」
師匠の言葉に顔を上げると、頬袋一杯にどんぐりを詰め込んでほんのりと光っているコヨリの姿があった。
慌てて取り繕おうとするが口の中がいっぱいで上手くいかない、
そんな姿にココレットは遠くに住まう兄弟たちを思い出していた。
夜も更け二人が寝静まった頃、コヨリは起き出した。
いつもなら気配に敏感なココレットも今夜はおなかが一杯のようですっかり寝入っている。
(・・・・・・”偵察”が少し長すぎた、この二人はおそらく”ガルガディアに害はない”
これで”任務”は終了、ボクも”もう用はない”んだ)
”任務”という言葉、それは初めて自分についた嘘だったのかもしれない。
まだ金色に輝くどんぐりを抱え、翼をゆっくりと広げる。
(・・・・・・・例え戦のためだけの”道具”でも、
それでもボクらはキミたちの言う”家族”とかいうものなのかもしれない
だって世界中のどこを探しても、こんなにそっくりな青い翼の生き物は他にはいないんだから)
音もなく舞い上がる小さなそれは、ガルガディアの空へ向けて消えて行った ―――――――
(僕の魔法の内にいて、気がつかれないつもりだったのかな?まだまだ甘いね。
・・・・・・・・・・・・起きたらココがなんて言うかな)
寝たふりをしていた曙隠れの森の主は、小さくため息をついた。
――――――――― あの日から一年が経過した。けれども、まだ戦争は終わらない。
マジハームド・コヨリ【illust/16392336】
師匠【illust/16195544】✪ココレット【illust/16195542】
黄金の実の味は格別、この世のものとは思えないほどの美味しさらしい。
ただし、その実を枝から採ったならば星の出ているうちに食べてしまわないといけない。
星たちが姿を隠してしまったら、その実はたちまち ただのどんぐりになってしまうから ―――――― 】
「こんなに美味しいのに・・・・・・・村のみんなにも食べさせてあげたいです」
両の手一杯の輝くどんぐりが、今宵一夜限りという事にココレットはがっかりする。
ココレットの一族は村から遠くへ行く者はあまりいない、外の情報といえば旅人の話や本がほとんど、
だから師匠と出会ってからの日々は目新しいものばかりで、それらを村のみなにも見せてあげたかった。
「ココの家族はみんな、どんぐりが大好きなんです。夜が明けたら光は消えてしまいますが、
この実を持ち帰り魔法で育てたら、その樹は黄金の実をつけるでしょうか?」
彼女たちの命は短い、樹が自然に育つのなど、とても待ってはいられないのだ。
今はまだ、”実り”の魔法が使えなくともいつかきっと ――― 願いを込めてキュッと軽く握る。
(・・・・・・・ココはあまり才能がないからね、どうだか)
いくつかポケットに仕舞い込むココレットの後ろで、師匠は微妙な表情を浮かべていた。
「ところでコヨリはランプにでもなつるもりかい?」
師匠の言葉に顔を上げると、頬袋一杯にどんぐりを詰め込んでほんのりと光っているコヨリの姿があった。
慌てて取り繕おうとするが口の中がいっぱいで上手くいかない、
そんな姿にココレットは遠くに住まう兄弟たちを思い出していた。
夜も更け二人が寝静まった頃、コヨリは起き出した。
いつもなら気配に敏感なココレットも今夜はおなかが一杯のようですっかり寝入っている。
(・・・・・・”偵察”が少し長すぎた、この二人はおそらく”ガルガディアに害はない”
これで”任務”は終了、ボクも”もう用はない”んだ)
”任務”という言葉、それは初めて自分についた嘘だったのかもしれない。
まだ金色に輝くどんぐりを抱え、翼をゆっくりと広げる。
(・・・・・・・例え戦のためだけの”道具”でも、
それでもボクらはキミたちの言う”家族”とかいうものなのかもしれない
だって世界中のどこを探しても、こんなにそっくりな青い翼の生き物は他にはいないんだから)
音もなく舞い上がる小さなそれは、ガルガディアの空へ向けて消えて行った ―――――――
(僕の魔法の内にいて、気がつかれないつもりだったのかな?まだまだ甘いね。
・・・・・・・・・・・・起きたらココがなんて言うかな)
寝たふりをしていた曙隠れの森の主は、小さくため息をついた。
――――――――― あの日から一年が経過した。けれども、まだ戦争は終わらない。
マジハームド・コヨリ【illust/16392336】
師匠【illust/16195544】✪ココレット【illust/16195542】
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2011-03-22 01:03
Comments (4)
saiCoさん◆オフの予定があやしいのと、最終章が一年後という設定に帰還して貰わざるをえませんでしたυυ描きたかったところがあったんですけどねぇ・・・・・残念です(涙)せめてどんぐりをお土産に持っていってもらいました・・・・・
コヨリちゃんがちゃんと帰った…任務お疲れ様です…!;その後のココちゃんが気になります
Feさん◆普通のどんぐりってどのくらいで実をつけるようになるんでしょうね(←調べてない人/をい)もっとアップの絵だったら”頬袋ランプ”な姿を描いてたところなんですが、このサイズで光らせちゃうとわけわからなくなっちゃうので断念したんだったりしますυυ白毛なので綺麗に光りそうですよね
うおぉぉおん、寿命の話切ないです…。星どんぐり綺麗~、そしてコヨリちゃんの頬袋ランプが想像しただけで萌えるんですが笑!