部室内、ドア前にて

「ちょ、八雲君近い!近過ぎ・・・!」
私をドアに押し付けた八雲がぐっとその距離を縮め、視界が八雲でいっぱいになる。
キスをしたことがないわけじゃない。
けれど燦々と陽の射し込む明るい部室で立ったまま、少し乱暴に掴まれた手を
ドアに押し付けられてというシチュエーションに、胸が痛いほど心臓が暴れ出す。
「や・・・っ・・・、待って八雲君。ちょっと待って・・・」
「待たない」
何が八雲のスイッチを入れたのかはわからない。
さっきまでは私の話を聞くのさえ面倒臭そうで、興味なさ気にしていたのに。
サークルに行くからと席を立ちドアに手を掛けた瞬間、追いかけてきた八雲に捉えられた。
「八雲く・・・」
額、頬、くちびる。
私を捉えた手の強さとは裏腹の、優しい触れるだけのキスが次々に降ってきて
震えるほど体中が熱くなる。
「んぅ・・・八雲く・・・・・・やぁ・・・」
恥ずかしさに逃れようと体を捩ると、肘がドアに当たる乾いた音が響く。
「・・・そう暴れるな。そんなに騒ぐとドアの外に聞こえるぞ」
「~~~っ!////」
八雲は右の口の端だけを上げ、意地悪そうににやりと笑った。

床に落ちたバッグの中で鳴るケータイに出ることさえ許されず
止むことなく降ってくる八雲のキスにただただ翻弄されていた。
   恥ずかしがってジタバタ暴れる晴香を楽しむ八雲さん^^

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2011-03-24 22:13

 moggy


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