影殺師のニーチェ【第二話】
作業用BGM: 【http://www.youtube.com/watch?v=aMQgjZ4nwyQ&feature=fvwrel】「待ってよ~飛鞘(ひさや)君!!」同時に学生服の襟をつかむ手。俺は背後から迫る声にいやいや振り向いた。そこにいたのは同級生の清水(しみず)瞳だった。「悪いが俺は今忙しい」こいつに呼び止められて得をした試しはない。俺は逃げの一手を選んだ。「暇人は校内にごろごろしてる。他を当たりな」「ちょっ…まだ何も言ってないじゃない!!」清水は憮然としつつ、腕を組んだ。重そうな胸が腕に乗っている。だがクラスのマヌケ野郎共の目を釘づけにするでかい胸も俺には通用しねぇ。「何よぉ。折角、おもしろい噂を教えてあげようと思ったのに~」こいつの『おもしろい』は曲者だ。こいつはなぜか極端にオカルト趣味に傾向しており、その手を噂を他人に検証させると言う変人だ。乳に騙されて噂の検証に付き合ったC組の高杉が近所の池にはまって死にかけたのを俺は知っている。噂の内容は『突如、現れた幻の巨大生物』だったかな?アホか、そんなモンいるわけねぇだろ。「今度は幽霊か?それともツチノコでも出たのか」「ノンノン♪」清水は人差し指を振った。「そんなものじゃないわ。聞いて驚かないでよ。なんと影人間の噂よ。何でも生きた人間を影にしちゃうんだって~」全く付き合いきれん。「どうやら俺とお前は住む星が違うらしい。達者でな」「もぅっ!!最後まで聞きなさいよ。それが出るのは我らが黄泉(こうせん)学園の旧校舎らしいのよ」清水はニヤリと笑うと「それも今日みたいな真っ赤な夕焼けの日にね」そういえば今日はやけに夕陽が赤い。「ねぇ、確かてみない。飛鞘 剛器(ごうき)君?」「…いいだろう、その代わり『吉乃家』の牛丼特盛りを奢れ」「そうこなきゃ♪」俺は旧校舎へと向かった。
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2011-05-20 00:42
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