例のスキット妄想
「シェリア、港まで送るよ」
「あ、アスベル…って、もうすぐグレルサイドからお客様がいらっしゃるんでしょ?私は大丈夫だから、ちゃんと襟元直して、ほら、ちゃんとして出迎えてあげなさいよね」
一度立ち止まって、両手で襟を正してくれた。シェリアの柔らかな笑顔を暫しの見納めとばかりに凝視する。
「問題ないよ。それに以前さ、リチャードに言われたことがあるんだ」
「リチャード国王に?」
「うん、シェリアが半年間ラントを離れていたとき、二回ほど帰ってきたことがあっただろう?でも俺は来客中でシェリアに会うことが出来なかった。それをリチャードに言ったらさ、『自分に会いに来てくれた女性と、どうでも良い客、君はどっちが大切なんだ!』って」
リチャードの物真似をしながら楽しそうに話すアスベルを、シェリアは少し驚いたように仰ぎ見る。
「そ、それでこうやって送ってくれてるわけ?」
「ま、まぁ、どうでも良い客だと思ってるわけではないんだが…こういうときくらいは送らせてくれ。それが男の嗜み、らしい」
「…ぷっ、アスベルが男の嗜み、だって」
柄にもない発言にシェリアは耐えられなくなって笑い始めた。
そんな様子に、アスベルも恥ずかしくなり顔を赤らめる。
「も、もういいだろ!だから港まで送る!これは領主命令だ」
「はいはい、じゃあ港までね。ちゃんとエスコートしてよね、領主さま」
本当は離れたくないから、だなんて言えないから。
そっと肩を抱くことで、その行為に気持ちを載せる。
――早く帰ってこいよ、シェリア
「あ、アスベル…って、もうすぐグレルサイドからお客様がいらっしゃるんでしょ?私は大丈夫だから、ちゃんと襟元直して、ほら、ちゃんとして出迎えてあげなさいよね」
一度立ち止まって、両手で襟を正してくれた。シェリアの柔らかな笑顔を暫しの見納めとばかりに凝視する。
「問題ないよ。それに以前さ、リチャードに言われたことがあるんだ」
「リチャード国王に?」
「うん、シェリアが半年間ラントを離れていたとき、二回ほど帰ってきたことがあっただろう?でも俺は来客中でシェリアに会うことが出来なかった。それをリチャードに言ったらさ、『自分に会いに来てくれた女性と、どうでも良い客、君はどっちが大切なんだ!』って」
リチャードの物真似をしながら楽しそうに話すアスベルを、シェリアは少し驚いたように仰ぎ見る。
「そ、それでこうやって送ってくれてるわけ?」
「ま、まぁ、どうでも良い客だと思ってるわけではないんだが…こういうときくらいは送らせてくれ。それが男の嗜み、らしい」
「…ぷっ、アスベルが男の嗜み、だって」
柄にもない発言にシェリアは耐えられなくなって笑い始めた。
そんな様子に、アスベルも恥ずかしくなり顔を赤らめる。
「も、もういいだろ!だから港まで送る!これは領主命令だ」
「はいはい、じゃあ港までね。ちゃんとエスコートしてよね、領主さま」
本当は離れたくないから、だなんて言えないから。
そっと肩を抱くことで、その行為に気持ちを載せる。
――早く帰ってこいよ、シェリア
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2011-06-30 23:48
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