【ぴくカゲⅢ】夜の公園【交流】
■今日は気分転換に、いつものモチーフ探しの散歩コースとはルートを変えて歩いている。この公園も、普段なら通らない。だって、やっぱり変質者には出会わないに限るから。でも今日はマンネリを打破すべく、すこしだけ勇気を出して歩いてみた。梅雨の夜は雨が降ってなくても空気がすこし粘っこい。ああ、紙が湿気るなあと思いながらスケッチブックと鉛筆をを鞄から出してしばらく歩いたけど、めぼしいものは無かった。まあ大体予想はついたし、変質者と会わなかった事でチャラかな、そう思って帰ろうとした時に、公園に作られた散歩コースの方に人影を見た。 ――月の光がまばらに差し込む中、金髪の髪をふわりとなびかせて。パーティにでも出るような黒いドレスを着て、それ以外の何も持たずに歩く、女の人だった。 「ああ、いいな」と思ったのは、その人に黒が似合っていたからだ。洋服選びで「黒は失敗しない」というのはまあその通りだけど、黒が「似合う」人はそれなりに珍しいから。 ただ、声をかけるのは止めておこうと強く思った。 こんな時間にあんな格好で出歩くのは訳ありの人だろうし、それなら私がどうにか出来るわけもないだろうし、それに。――それに何より、その人は泣いているような気がしたから。 ■後ろ姿ですいません、お借りしましたシルさん→【illust/20040305】 うちの彩子→【illust/20128287】
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2011-07-07 20:53
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