おるすばん。

窓の外は闇を色濃く染める。
『ハロー、ハロー』
戸締まりもちゃんとしたし、良い子でいるよ。
本を読んだり音楽を聴いたりして、大人しくしているよ。
でもね、変なんだ。
蓄音機の針が時々、嫌な音を出すんだ。
蝋燭の火が、風もないのに揺れたり、足元を何かが這うよう感じもするんだ。
『ハロー、ハロー』
うん、カーテンもちゃんとしまってる。
あのね、ずっと黙ってたけど、視線を感じるんだ。
僕しか居ない筈なのに、誰かの視線を感じるんだ…
だからお願い、早く帰って来て。
独りは何だか心細いんだ…
良い子にしてるから、早く帰って来て。
『ハロー、ハ』
もしもし？
何も聞こえないよ。
何か言ってよ、独りは怖いよ…
もしもし？もしも…

『ヒトリジャナイ　ヨ？』