ながれぼし。

「泪が止まらないのです」と、少女は云つた。   少女の瞳からは、成程、あとからあとからきらきらと零れ落ちて、其れが凡て星であつた。少女の瞳の中は、星でいつぱいになつており、此れではそう易々とは尽きないであろうと思われた。其れで私は少女に告げた。「未だ未だ止まりそうにありませんネ」其れは、私の見た限り事実であつた。少女は眼を見開いて尚も煌めかせ、更にはらはらと星を零した。嗚呼此れ以上彼女を此処に留め置いては、此の屋が星の家になつてしまう。室内はすでに少女の零した星星でいつぱいで、夜の終りが見えないのであつた。
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2011-08-02 15:12

 うたかたうたの


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