あなたと傘を

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　急な土砂降りに立ち往生していると、傍らからすっと傘が差出された。
　驚いてそちらを見ると、……彼だった。
「二本、持ってくればよかったのに」
　そんな気はないのについ憎まれ口を叩いてしまうが、彼は、全くだ、といって笑うだけ。
　灰色に濁った空の下、その笑顔がいつにもまして眩しく見える。
　私は、火照る顔を隠すように傘をひったくり、
「……慎一も、一緒に入りなさいよ」
　と、小さく呟く。
　彼は、一瞬呆気に取られたような顔をすると――ありがとう、と私に告げる。
　その言葉ひとつで私は心臓がどきどきして、顔も真っ赤になって、頭がくらくらしたけど、そんなことは気取らせない。
　……気取らせる、もんですか。

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■台風凄かったよ記念（？）。最初は濡れたり透けたりしてる絵を描くつもりだったのにどうしてこうなった。