ストリート・バレリーナ(勧誘された日)

おいっ、あの女、また今日も踊っているぞ。
よく続くなぁ。
恥ずかしくないのかな。

大勢の人が行きかう大通りの片隅で、
赤で揃えたシューズとチュチュを翻してバレリーナが舞い踊る。

こっちにも足を広げてくれよ、ねーちゃん。

ガラの悪い掛け声が響き渡ると、
一瞬、バレリーナの顔に屈辱の表情がにじみ出るが、
しかし、彼女の舞は続くのであった。
否、舞を止めることはできないのである。

しかし、そんな彼女の姿を見つめる別の女性達の姿があった。

あの子、この界隈では有名ね。あなたの知り合い?
はい、バレエが大好きで日々あぁして踊っていないと気がすまないんです。
そうなの、変わった子ね。
で、どうでしょうか。
うん、まぁまぁかな。
じゃぁ、お願いしてよろしいでしょうか。
えぇ、引き受けるわ。私の手で彼女を一流のバレリーナにしてあげるわ。
ありがとうございます。

そんな会話がなされた後、
一人の女性がバレリーナに近づいていく。
そして、

ねぇ、あなた。そんなにバレエを踊りたいのなら、
ウチのバレエ団にこない?

と声を掛けたのでした。

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2012-01-08 23:59

 風祭玲


Comments (2)

風祭玲 2012-01-11 06:58

勝手に話を展開してしまってすみません。更なる屈辱ですか…うーん、どんな屈辱がいいかなぁ

2012-01-09 11:59

新しい展開ですね!結局更なる屈辱を受けることになる気が…

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