【PFⅤ】家族【アフター】
戦いが終わってから、一年後ぐらいのお話です。いつものように訓練と怪我人の手当てをしていた春色の魔術師の元に、一人の騎士見習いがやってきました。
「トラヴィーサさん、お客さんです」
「客?」
客人の来る予定などない春色の魔術師は首を傾げて騎士団の玄関に向かいました。
そしてそこにいた客人を見て、思わず怒鳴りました。
「なんでいきなりくるんだ!」
「え、ちゃんと手紙出したわよ?」
きょとんとした様子の客人は、とても綺麗な女性でした。蕩けるような金の髪を揺らし、澄んだ湖畔の瞳で春色の魔術師を見上げています。
「お母さん。手紙、今日届いた見たいですよ」
ため息交じりの声は、女性の後ろにいた少年の物でした。少年の手には一通の手紙が握られています。
「だから普通の方法にしようと言ったんです」
幼い少年には不釣り合いな生真面目な口調で言うと、女性はにっこり笑いました。
「だって、早くヴィーに会いたかったの」
その言葉に、春色の魔術師と少年は揃ってため息をつきました。
そんな二人に、ため息をついた少年よりさらに幼い少女が首を傾げました。二人とも蕩けるような金の髪で、少年は春色の魔術師と同じ色を、少女は女性と同じ色の目をしています。
春色の魔術師は綺麗な桜色の髪をぐしゃぐしゃにかき乱しながら騎士団の団長の元へ向かいました。
数分後、女性と子供たちは揃って騎士団員に頭を下げました。
「初めまして。リノ・マレスカです」
「リト・マレスカです。父がお世話になっています」
「ぼくノイー!」
にこにこと笑うリノとノイに挟まれて、リトだけが真面目に挨拶をしています。
「あー……俺の家族……」
がしがしと髪を掻き乱しながらトラヴィーサが言うと、騎士団員たちは三人を順番に見て行きました。そして最後はリノのお腹に止まります。
「妊娠九か月です」
にっこりと笑うリノに、様々な声が上がりました。
「……ついでに言っておくけど、こいつらどっちも息子だからな」
ぽそりと言われたその言葉が届いたのか届いていないのか、わからないまま、トラヴィーサの家族が翠蜂騎士団と共に過ごすことになりました。
そして二か月後、リノは可愛い女の子を生みました。名前はエル。桜色のくるくるとしか髪に、湖畔の瞳を持つ、少しお転婆な赤ん坊です。
「トラヴィーサさん、お客さんです」
「客?」
客人の来る予定などない春色の魔術師は首を傾げて騎士団の玄関に向かいました。
そしてそこにいた客人を見て、思わず怒鳴りました。
「なんでいきなりくるんだ!」
「え、ちゃんと手紙出したわよ?」
きょとんとした様子の客人は、とても綺麗な女性でした。蕩けるような金の髪を揺らし、澄んだ湖畔の瞳で春色の魔術師を見上げています。
「お母さん。手紙、今日届いた見たいですよ」
ため息交じりの声は、女性の後ろにいた少年の物でした。少年の手には一通の手紙が握られています。
「だから普通の方法にしようと言ったんです」
幼い少年には不釣り合いな生真面目な口調で言うと、女性はにっこり笑いました。
「だって、早くヴィーに会いたかったの」
その言葉に、春色の魔術師と少年は揃ってため息をつきました。
そんな二人に、ため息をついた少年よりさらに幼い少女が首を傾げました。二人とも蕩けるような金の髪で、少年は春色の魔術師と同じ色を、少女は女性と同じ色の目をしています。
春色の魔術師は綺麗な桜色の髪をぐしゃぐしゃにかき乱しながら騎士団の団長の元へ向かいました。
数分後、女性と子供たちは揃って騎士団員に頭を下げました。
「初めまして。リノ・マレスカです」
「リト・マレスカです。父がお世話になっています」
「ぼくノイー!」
にこにこと笑うリノとノイに挟まれて、リトだけが真面目に挨拶をしています。
「あー……俺の家族……」
がしがしと髪を掻き乱しながらトラヴィーサが言うと、騎士団員たちは三人を順番に見て行きました。そして最後はリノのお腹に止まります。
「妊娠九か月です」
にっこりと笑うリノに、様々な声が上がりました。
「……ついでに言っておくけど、こいつらどっちも息子だからな」
ぽそりと言われたその言葉が届いたのか届いていないのか、わからないまま、トラヴィーサの家族が翠蜂騎士団と共に過ごすことになりました。
そして二か月後、リノは可愛い女の子を生みました。名前はエル。桜色のくるくるとしか髪に、湖畔の瞳を持つ、少しお転婆な赤ん坊です。
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2012-03-31 20:55
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