【お国ったー】海底軍事王国女王
なtみの国は、軍事に秀でた海の中にある国で、現在の王は血の爪と呼ばれる神経質な王です。国の色は紺。工学に秀でた国とは敵対的関係にあります。 ◆ 北海の砦・アエストゥス――とは言え、それは陸にあるものではない。北海の西の海底に、その砦――否、国は在る。
潮の流れで角はとれているものの、巨大な岩が幾重にも組み合わさったそこは、まさに砦と呼ぶにふさわしい。その岩陰に潜むは、人ならざるもの――。
上半身は人間、下半身は魚。海の生き物たちを眷属とし、水かきのある手には鱗が浮かび、傍から見れば奇妙なはずだが、そのしなやかさと、美しい歌声は他に類を見ないと言う。人を惹きつけるその魔性の美しさから、水辺の魔性……「水魔」と呼び習わされる。
北海に住む彼らも、例に違わぬ美しさを有していたが、その声が織り上げるのはうつくしい恋歌ではなく、恨み辛みの念をこめた禍唄だった。その呪いの矛先は、人間。
かつては彼らと人間は友好的関係を築いていた。人間は彼らから許可を得た分のみの漁をし、人間もその見返りを奉納した。感謝の心を忘れなかった。
しかし北方という土地柄、農作物が育たない分、食料は魚などに頼らざるを得ず、やがて感謝の心を忘れ乱獲へと発展。以来人間と彼らとの間には溝ができ、現在では住処を廃液などで穢されるためにさらに深く広くなっている。
彼の国の現女王――ヴァーテル・シュイ・ヒュドールは、自らの国の民と、眷属とを護るために三叉槍を手に取った。彼女は人間を呪い、憎み、彼女が歌えば暗雲が垂れ込める。海が荒れる。やがては嵐となり、人間の乗る船を沈める。
彼女は戦い続けるだろう。人間が滅びるか、己が滅びる、その時まで。いつか彼女たちが人間と和解する日が来ることを願って――此処に記す次第である。
――イヴァラストリア・ルイン・ダーコイスの手記より
潮の流れで角はとれているものの、巨大な岩が幾重にも組み合わさったそこは、まさに砦と呼ぶにふさわしい。その岩陰に潜むは、人ならざるもの――。
上半身は人間、下半身は魚。海の生き物たちを眷属とし、水かきのある手には鱗が浮かび、傍から見れば奇妙なはずだが、そのしなやかさと、美しい歌声は他に類を見ないと言う。人を惹きつけるその魔性の美しさから、水辺の魔性……「水魔」と呼び習わされる。
北海に住む彼らも、例に違わぬ美しさを有していたが、その声が織り上げるのはうつくしい恋歌ではなく、恨み辛みの念をこめた禍唄だった。その呪いの矛先は、人間。
かつては彼らと人間は友好的関係を築いていた。人間は彼らから許可を得た分のみの漁をし、人間もその見返りを奉納した。感謝の心を忘れなかった。
しかし北方という土地柄、農作物が育たない分、食料は魚などに頼らざるを得ず、やがて感謝の心を忘れ乱獲へと発展。以来人間と彼らとの間には溝ができ、現在では住処を廃液などで穢されるためにさらに深く広くなっている。
彼の国の現女王――ヴァーテル・シュイ・ヒュドールは、自らの国の民と、眷属とを護るために三叉槍を手に取った。彼女は人間を呪い、憎み、彼女が歌えば暗雲が垂れ込める。海が荒れる。やがては嵐となり、人間の乗る船を沈める。
彼女は戦い続けるだろう。人間が滅びるか、己が滅びる、その時まで。いつか彼女たちが人間と和解する日が来ることを願って――此処に記す次第である。
――イヴァラストリア・ルイン・ダーコイスの手記より
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2012-08-18 22:45
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