おめでとうありがとう

『今週の日曜お昼、体育館に来てね！あ、着替えなくていいよ！制服のままでいいから！』桃井さんに渡された手紙にそう書かれてあった。と言うわけで日曜日。体育館に来たボクは大して重たくもない扉を開けた。そこには身体を赤い紐でぐるぐる巻きにされ、申し訳程度に頭にちょこんとリボンを乗せて、こちらに背中を向ける青峰さんの姿がそこにあった。(え、え！？これボクにどうしろって言うの！！？)■ぱんっぱんぱんっ！
破裂音に似た音が鳴り響く。それに驚き声を上げると、楽しそうな笑い声。マネージャーの桃井さん、キャプテンの今吉さん。そして、レギュラーメンバーである若松さんと諏佐さんの姿が見えた。いまだ混乱するボクに、今吉さんは。ほれ、誕生日プレゼント、とバスケットボールを手渡す。誕生日…プレゼント？今吉さんは笑いながら桃井さんに「やっぱドッキリの余韻抜けきらんな」もしかしてさっきの青峰さんのことだろうか？だとしたらものすごく悪趣味なドッキリだと思う(発案者はきっと今吉さんだろう)手渡されたバスケットボールに視線を移す。
それを目にした途端後ろからぐいっと引っ張られる感覚。■いつの間にやら拘束を解いたであろう青峰さんが、ボクの後ろから手を伸ばす。利き手ではないであろう左手に持ったマジックで、ボクの持っているボールになにやら書き込んでいった。■「ん」と青峰さんは、ボクから離れる時頭をぐしゃぐしゃにかき回した。それが、ほんの少し優しいものでどきりとした。ボクから離れ、桃井さんたちに向かって歩いていくと。予想していた通り桃井さんたちに怒られていた。私たちがあげたプレゼントになにしてるのよ！とかいろいろ。ぐしゃぐしゃにされた髪を直しながら、ボールに目を移す。それを見て泣き出しそうになる衝動に襲われる。嬉しい。うれしい。ボク、この学校でバスケが出来て、ほんとうにしあわせだ。きっと、みんながくれたコレは一生の宝物になるだろう。うれしい気持ちそのままを、今言葉にしよう。「すいません、ありがとうございます！」それを聞いたみんなは、柔らかい笑顔を浮かべ、優しさを滲みませながらボクに言う。「誕生日おめでとう、桜井(君)」その言葉に、ボクは涙がこぼれそうになった。(ありがとう。最高の誕生日です)■誕生日おめでとう桜井君。大好きだよ。■青桜期間のタグ付けたかったんですが場違い感がひどくて止めました。ぐぬぬ。