不穏な情勢
ジャンヌにはもうひとつ、帝都でするべきことがあった。それは実の妹であるセシリアに会うことである。ジャンヌは武、セシリアは魔。この姉妹が象徴するように、代々アシモフ家は魔と武、その両面で帝国を護衛してきたのだった。セシリアから定期的に送られてくる書簡は、まだ表立っていないものの、帝国内のある不穏な空気を伝えていた。シモンズ家事件に端を発する魔の力排斥の動き。それを政治力拡大のために利用しようとする不穏な空気。そして好機をうかがう東の蛮国。帝国は内外に不安を抱える、不安定な情勢に陥りつつあったのだ。
29
12
6510
2012-10-14 11:50
Comments (0)
No comments