守ってくださる？

的当てゲームが終わったらお手入れ講座。七凪海がメイベルとマンツーマンで手ほどきする。
二人の様子を見ていたお嬢様が視線だけこちらに向けて聞く。

「直樹も銃を扱えるの？」
「そういう事態を未然に防ぐのが仕事ですが、有事に対応できるだけの訓練はしてますよ。」

それを聞いたお嬢様は数秒の思案顔のあと、悪戯っぽい笑みを浮かべ自らを抱きしめながら聞く。

「守ってくださるかしら？」
「友人を守るのに、躊躇は無いですね。」

間髪入れずに答えたら佐友里からダメ出しされた。

「直兄ぃ、それじゃ女の子は喜ばないよ～。そこは『身命に代えても』って言わないと～。」
「真面目なのは大きな美点だけど、ほんとアドリブが効かない朴念仁よねぇ。」

七凪海にまでツッコまれてしまった。
旗色の悪い私はメイベルに振ってみた。

「メイベルちゃん、今のどう思う？」
「え、何ですか？七凪海先輩の手許に集中してて、全然話を聞いてませんでした。」
「直樹が朴念仁で、女の子の機微に疎いって話。」

七凪海がズバッと要約してみせる。

「そうですか？」

メイベルが小首を傾げながら続ける。

「私にはとっても優しくて理想的なお兄様なんですけど…」

途端にメイベル以外の視線が集中する。

「「「へ～え～？！」」」

お嬢様が意地悪そうな含み笑いをしながら一言。

「長い夜になりそうねぇ。」


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