これで、さむくないね

うん、そうでやんすね

「できたでやんす！」
そううれしそうに一匹のオオカミが言った。
「なにがですか？」
一匹のヤギがオオカミの喜びっぷりに笑って返した。
オオカミの名をガブ、ヤギの名をメイという。
二匹はカミナリのなるあらしによるに出会い、そして仲間から旅立ったり、ふぶきの強く吹くやまをこえたりした、「秘密のともだち」である。
いまは山をこえたところにある、みどりの森で仲良く暮らしている。
そのみどりの森も、雪がふりそうで「しろい森」になる気配がする季節になった。
「だ・か・ら、できたでやんす～！！」
質問の返事になってない答えをガブが本当にうれしそうに言う。
「ガブがうれしそうで僕もうれしいけれど、何ができたか教えてくれないかな？」
「これでやんす、これこれ！！！」
ニコニコとした笑顔で差し出されたガブの両手には、ピンクのマフラーがあった。
「これ、ガブが編んだんですか！？」
「そうでやんす～」
ささ、巻いてみてくだせぇ、とメイの首にマフラーを巻く。
「これ...」
とってもあったかいのだ、ガブが編んでくれたマフラーだ、寒いはずがない。
でも、巻いてくれたマフラーは地面をかなり引きずっているわけで。
「あっ！？丈が長すぎた！！」
いつもの口調を忘れるほど、ガブが驚いた。
「ありがとう、だけど、このマフラーはガブが使って」
「...そうでやんすね、こんなに長いと、マフラーが足にからまって転んじまうでやんす」
と落胆した様子で、自分の首にマフラーを巻く。
が、今度はガブが足もとでマフラーを引きずっている。
「おいらにも長すぎでやんすね...」
せっかく編んだのに...と、ガブはとても落ち込んだ。
「あ、そうだ！」
「こうなったら解いて、もう一度編み直すしか...って、メイ、何やってるんすか！？」
メイがガブの首に巻かれたマフラーから、ぽふっと頭を出した。
「やっぱり、これで長さも丁度いいですね」
上目でメイが笑う。
本当だ、あたたかい。
そして、可愛い。
「はむっ」
「ウフフ、くすぐったいですね。なにやってるんですか」
「なにって、甘噛みでやんす～♪」
本来なら逃げてしまうような怖いこの状況でも、この二匹なら平気だ。
お互いを支えあい、信じあう、「ひみつのともだち」なのだから。

うん、駄文w
本当はキャプションのSSは小説で書こうかと思ったのですが、試しにここで書いてみたら意外とまとまりませんでした(笑)

今回は「あらしのよるに～ひみつのともだち～」映画公開一週間記念(なんともビミョー^^;)と、この物語にいざなうような素敵な絵を描いてくださる親愛なるユーザーさん(がぼさん＞user/36607)とマイピクになれた記念で、2005年の映画版のガブとメイを描かせていただきました。
なぜ2005年版かってツッコまないでください、趣味ですから。
原作が絵本なので、デジタルを使わずにあえてアナログ(色鉛筆)で色塗りにトライ！
...してみたのですが、気に入った色が出せず(二枚目が原画です)、
結局フォトショで彩度etcを加工しましたwww(表紙です)
恐るべし、デジタルの力。
でも、画力がないのであまり変わりませんが^^;;
ホント、色鉛筆で上手に色塗りできる人とか、デジタルでもアナログみたいな緻密な絵を描ける人ってすごいです。
もっと精進せねば！

※いまさらですが、漫画ではありません。

追記
この前あらよるを知らない友達と一緒にいたときに、線画(三枚目)を描いていたら
「それってトトロ？」
と聞かれました(笑)
トトロじゃなくて、ガブです(爆)