[絢爛舞踏祭]ビフォア・サンライズ
ビフォア・サンライズ
原題 Before Sunrise
製作年度 2290年
上映時間 170分
監督・脚本 ステーブン・K・スペルバグゥー
題字 春雨さん
出演 カール・T・ドランジ、ソウイチロー・ヤガミ、ハリー・オコーネル、アイアン・ソブリン
解説
最低接触戦争末期から火星独立闘争を題材に、戦地での男達の友情と生き様を描いたヒューマン・ドキュメンタリー映画。
カール・ドラケン大尉が母を失い軍に志願する第一部、火星独立軍の捕虜として収容され独立闘争に参加する第二部、終戦後の混沌を描いた第三部の三部構成になっている。当時のRB戦闘を徹底して再現したステーブン・カンキョー・スペルバグゥー監督のこだわりとリアルな映像が話題を呼んだ。
あらすじ
■第一部
(1) 2243年、地球のハイスクールで授業を受けるカール。眉と前髪があり、少年らしい面影が頬のあたりに残っている。授業は最低接触戦争の歴史に触れる(前提説明)。授業に興味のないカールが窓の外を見やると、窓の外は田舎町で、町の外は小麦畑と川が広がっている。週末は単車で釣りに行き、帰宅して単車を停め、夕食に母の焼いたパンとスープを食べる。農業を営む無口な父(クリント・イーストウッド似)も同様。
カールは故郷を愛していたが、田舎の生活に物足りなさも感じていた。進路のことが書かれた紙をまるめて捨ててしまう。
(2) そんな折、カールとその一家が戦火に見舞われる。外出していたカールは単車を走らせ、転びながらいつもの場所で乗り捨てるが、既に自宅は炎に包まれ半壊していた。立ち尽くすカール。炎を映して頬はオレンジ色。家と畑の一部が焼け、母の欠けた食卓にはカールと父の作った大雑把なものが並ぶ。
(3) 父の傷が癒えた頃、カールは出征する意志を打ち明ける。
父は「いつ終わるか知れない戦争に出ては、ずっと戦い続けることになる。戦い続けるというのがどういうことか、わかっているのか」と諭すがカールの意志は固かった。
カールは若さから、戦うことを決意する。華々しい軍のラッパの音。
■第二部
(4) 2252年。中尉のカールが起立しており、前に立つ上官が昇進を告げる。と同時に内乱の沈静化のため火星に向かうよう命令し去っていく。
場面変わって、軍の倉庫を真正面からとらえたカット。フィルム早回し。大砲、戦車、飛行機、VTOL、人形の順でポコポコ運び出され、カールの声で短い説明が入る。「私は上官に気に入られるタイプではなかったから、陸戦、空戦、宙戦を転々とさせられた。勲章ばかりが増え、次は水の中というわけだ」。運び出された人形がバラされ、水中装備に作り変えられてロケットへ。ロケットはそのまま発射。
宇宙船から星のまたたく宇宙をながめ、冗談を言うカール。「火星なら"かの有名なオコーネル氏"に会えるかも知れないな」。最激戦地で会えるという、軍で噂の人物だ。
(5) 地球軍として独立軍の鎮圧にむかったカールは、その言葉どおりハリー・オコーネルに会う。海の中で。ハリーは独立軍のパイロットとしてRBに搭乗していたのだ。洗脳されたか、人質でもとられているのだろうかといぶかるカール。
(6) 独立軍の潜水艦"夜明けの船"はハリーの他にも腕のたつパイロットを備えているようだった。幾何学的な軌跡を描いて舞う敵のRBに心を奪われるカール。RB戦を経てカールと部下は捕虜となってしまう。
(7) 謎の多い男ヤガミに会う。あの腕のたつパイロットはこの男らしいが、まるで軍人らしくなく、打ち解けず神経質そう。「軍人ばかり余っているから戦争が起きる。あいつらには他にできることがない」というヤガミに、「そんなことはない、平和のために戦っている」と反発する。
(8) 元地球軍の仲間が自主的に独立闘争に参加していることに驚くカール。内側からではわからなかった地球軍の横暴を目にし、自分も独立闘争に加わる。今度は自分の信念から、戦うことを決意する。
(9) 都市船シルチスでの地球軍による大量虐殺をとめるため、カールもRBパイロットとして仲間と共に戦う。仲間のRBが冗談のようにサクサク撃墜されていく。陸戦隊がシルチスに上陸し作戦は成功するが、カールの目の前で夜明けの船は爆破されてしまう。船はゆっくりと真ん中からふたつに折れ、破片が海中へ雨のようにふりそそぐ。
コックピットで呆然とそれを眺めるカール。爆発を映して頬がオレンジ色に染まる。
■第三部
(10) 2258年。強い日差しの中で、木の葉のように海面に浮かぶボロ屋。光が強すぎて屋根は白く、影は墨色。画面の中で窓辺のカーテンだけが優しくなびいており、その向こうに壊れかけのラジオがのぞく。ラジオが切れ切れにニュースを告げる(終戦をむかえても火星には地球軍と異星軍が入り乱れ、犯罪発生率は高くなる一方)。
手が伸びてきてラジオを他局へ変える。カールは割れた音で音楽を流しはじめる。
夜明けの船を失い、地球軍のおたずね者となったカールは、共に生き残ったRBで細々とサルベージ業を営んでいた。やせて年よりも老けてみえる。
(11) カールは町で偶然、アイアンに会う。一緒に飲む。アイアンは難病の娘のためにまだ働かねばならない、武器の横流しをしている、という。
(12) カールの小屋を、ハリーが訪ねてくる。ハリーは失った仲間や部下を弔ってまわっていた。そして独立軍にまつわる噂をもたらす。
「ヤガミが夜明けの船の再建に向けて活動しているそうだ」
「しかし、あの時死んだはずだ」
「あるいはヤガミはアンドロイドだったのかもしれん。あの操縦は人間技ではなかった。それに、これはただの噂にすぎない」
考え込むカール。
(13) 数日後。カールはハリーへ手紙を送った。ハリーが開封して読む。カールの声。
「この6年、戦わずにすごした時間、自分は生ける屍だった。今はまた、生きる目標がある。俺はもう一度夜明けの船で戦わなくてはならない。生き残った軍人が選べる道は少ない」
カールは車に鞄ひとつを放り込み、埃をたてながら発進する。遠ざかるバン。
END
原題 Before Sunrise
製作年度 2290年
上映時間 170分
監督・脚本 ステーブン・K・スペルバグゥー
題字 春雨さん
出演 カール・T・ドランジ、ソウイチロー・ヤガミ、ハリー・オコーネル、アイアン・ソブリン
解説
最低接触戦争末期から火星独立闘争を題材に、戦地での男達の友情と生き様を描いたヒューマン・ドキュメンタリー映画。
カール・ドラケン大尉が母を失い軍に志願する第一部、火星独立軍の捕虜として収容され独立闘争に参加する第二部、終戦後の混沌を描いた第三部の三部構成になっている。当時のRB戦闘を徹底して再現したステーブン・カンキョー・スペルバグゥー監督のこだわりとリアルな映像が話題を呼んだ。
あらすじ
■第一部
(1) 2243年、地球のハイスクールで授業を受けるカール。眉と前髪があり、少年らしい面影が頬のあたりに残っている。授業は最低接触戦争の歴史に触れる(前提説明)。授業に興味のないカールが窓の外を見やると、窓の外は田舎町で、町の外は小麦畑と川が広がっている。週末は単車で釣りに行き、帰宅して単車を停め、夕食に母の焼いたパンとスープを食べる。農業を営む無口な父(クリント・イーストウッド似)も同様。
カールは故郷を愛していたが、田舎の生活に物足りなさも感じていた。進路のことが書かれた紙をまるめて捨ててしまう。
(2) そんな折、カールとその一家が戦火に見舞われる。外出していたカールは単車を走らせ、転びながらいつもの場所で乗り捨てるが、既に自宅は炎に包まれ半壊していた。立ち尽くすカール。炎を映して頬はオレンジ色。家と畑の一部が焼け、母の欠けた食卓にはカールと父の作った大雑把なものが並ぶ。
(3) 父の傷が癒えた頃、カールは出征する意志を打ち明ける。
父は「いつ終わるか知れない戦争に出ては、ずっと戦い続けることになる。戦い続けるというのがどういうことか、わかっているのか」と諭すがカールの意志は固かった。
カールは若さから、戦うことを決意する。華々しい軍のラッパの音。
■第二部
(4) 2252年。中尉のカールが起立しており、前に立つ上官が昇進を告げる。と同時に内乱の沈静化のため火星に向かうよう命令し去っていく。
場面変わって、軍の倉庫を真正面からとらえたカット。フィルム早回し。大砲、戦車、飛行機、VTOL、人形の順でポコポコ運び出され、カールの声で短い説明が入る。「私は上官に気に入られるタイプではなかったから、陸戦、空戦、宙戦を転々とさせられた。勲章ばかりが増え、次は水の中というわけだ」。運び出された人形がバラされ、水中装備に作り変えられてロケットへ。ロケットはそのまま発射。
宇宙船から星のまたたく宇宙をながめ、冗談を言うカール。「火星なら"かの有名なオコーネル氏"に会えるかも知れないな」。最激戦地で会えるという、軍で噂の人物だ。
(5) 地球軍として独立軍の鎮圧にむかったカールは、その言葉どおりハリー・オコーネルに会う。海の中で。ハリーは独立軍のパイロットとしてRBに搭乗していたのだ。洗脳されたか、人質でもとられているのだろうかといぶかるカール。
(6) 独立軍の潜水艦"夜明けの船"はハリーの他にも腕のたつパイロットを備えているようだった。幾何学的な軌跡を描いて舞う敵のRBに心を奪われるカール。RB戦を経てカールと部下は捕虜となってしまう。
(7) 謎の多い男ヤガミに会う。あの腕のたつパイロットはこの男らしいが、まるで軍人らしくなく、打ち解けず神経質そう。「軍人ばかり余っているから戦争が起きる。あいつらには他にできることがない」というヤガミに、「そんなことはない、平和のために戦っている」と反発する。
(8) 元地球軍の仲間が自主的に独立闘争に参加していることに驚くカール。内側からではわからなかった地球軍の横暴を目にし、自分も独立闘争に加わる。今度は自分の信念から、戦うことを決意する。
(9) 都市船シルチスでの地球軍による大量虐殺をとめるため、カールもRBパイロットとして仲間と共に戦う。仲間のRBが冗談のようにサクサク撃墜されていく。陸戦隊がシルチスに上陸し作戦は成功するが、カールの目の前で夜明けの船は爆破されてしまう。船はゆっくりと真ん中からふたつに折れ、破片が海中へ雨のようにふりそそぐ。
コックピットで呆然とそれを眺めるカール。爆発を映して頬がオレンジ色に染まる。
■第三部
(10) 2258年。強い日差しの中で、木の葉のように海面に浮かぶボロ屋。光が強すぎて屋根は白く、影は墨色。画面の中で窓辺のカーテンだけが優しくなびいており、その向こうに壊れかけのラジオがのぞく。ラジオが切れ切れにニュースを告げる(終戦をむかえても火星には地球軍と異星軍が入り乱れ、犯罪発生率は高くなる一方)。
手が伸びてきてラジオを他局へ変える。カールは割れた音で音楽を流しはじめる。
夜明けの船を失い、地球軍のおたずね者となったカールは、共に生き残ったRBで細々とサルベージ業を営んでいた。やせて年よりも老けてみえる。
(11) カールは町で偶然、アイアンに会う。一緒に飲む。アイアンは難病の娘のためにまだ働かねばならない、武器の横流しをしている、という。
(12) カールの小屋を、ハリーが訪ねてくる。ハリーは失った仲間や部下を弔ってまわっていた。そして独立軍にまつわる噂をもたらす。
「ヤガミが夜明けの船の再建に向けて活動しているそうだ」
「しかし、あの時死んだはずだ」
「あるいはヤガミはアンドロイドだったのかもしれん。あの操縦は人間技ではなかった。それに、これはただの噂にすぎない」
考え込むカール。
(13) 数日後。カールはハリーへ手紙を送った。ハリーが開封して読む。カールの声。
「この6年、戦わずにすごした時間、自分は生ける屍だった。今はまた、生きる目標がある。俺はもう一度夜明けの船で戦わなくてはならない。生き残った軍人が選べる道は少ない」
カールは車に鞄ひとつを放り込み、埃をたてながら発進する。遠ざかるバン。
END
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2012-12-02 06:49
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