【PFNW】遅れて来た咆哮【失われた都】

完全に出遅れた。全ては、リーフの選択が招いた事だった。
新大陸へ向かった【姉】こと森の妖精を追って、馴染みのあるハイロンドの森を単独で発ったリーフ。路銀を惜しんだ彼はワイン樽に身を忍ばせ、新大陸へ進路を向ける飛空艇に乗り込む。しかし、途中で密航がバレれてしまい、空の上でひと悶着を起こす事となる。
新天地でも追われる身となったリーフは、身を忍ばせつつ【妖精の輪】の面々を追う羽目に遭った。既に調査隊に踏破された月光樹海を抜ける内、様々な想いに身を馳せる。
姉ちゃんに会ったら遅れた理由を何と説明しよう…。密航がバレたなんて、口が裂けても言えない。それよりも姉ちゃんは樹海で無茶をしたとも聞く。ウトガリアの呪文伝手に伝わって来る情報は、リーフの気持ちを大いに掻き乱した。会ったらまずはお説教か。その後、調査隊の駐屯地からくすねて来たシーフードカレーでも御馳走しよう。

――そんなリーフの想いは、即座に彼方へと追い遣られる。

辿り着いた第二の地「失われた都」。そこで彼の見たものは、禍々しい闇の塊と対峙する姉の姿だった。闇は剣の切っ先を向けながら何やら姉に語り掛けており、当の姉は目が虚ろ。仔細は分からない。遠くで他のメンバーの声もする。けれどこれが危機的状況なのは、誰の目にも明らかだ。
リーフの頭が、血が、凄まじい勢いで湧き立つ。血は繋がって居なくても、彼女はリーフにとって大事な姉。唯一の身内。そして、彼の生きる道標だ。彼女を失うことは、彼にとって即ち……。
次の瞬間、激しい銃声と共に、リーフの身体は天高く舞い上がっていた。引き起こされる愛銃の撃鉄。目の前に立ちはだかる禍々しい闇の塊と対峙するには余りにも心もとない獲物かも知れない。しかし、それでも彼の想いを、イメージを、そして願いを体現するには十分な代物だった。

「姉ちゃんから離れろ！！この……くたばり損ない共がッ！！」

竜の名を冠した鉄塊の咆哮と共に、彼は六度、夜空を舞う。

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【illust/34763084】こちらで姉ちゃんこと森の妖精さんがとんでもない事になってしまっておりましたので…いても立っても居られず、助太刀に駆け付けさせて頂きました…！！
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◆登場人物：
森の妖精Aさん【illust/34120158】リーフ・ブラウニア【illust/34118116】（キングサラマンドラ44マグナム【illust/34123650】）

PFNW⇒【illust/33956297】