果たし状
ある日、苗木たちは体育館から妙な匂いが漂ってくるのを不振に感じ全員で調査することにした
おそるおそる開けてみると 中には煙が充満していた
それにこのにおいは・・・線香!?
煙の充満する薄暗い中にいたのは・・・
「あ、朝日奈さん!?」
そこにいたのは朝日奈葵だった 葵は涙で濡れた目で苗木たちを振り返った
手には即席の飾り珠でこしらえたと思われる数珠があった
「何やってるの!?」
「・・・供養をしてたの」
「供養!?え この花と線香と遺影はどうしたの?」
「造花と線香は倉庫にあったのを使ったんだ・・遺影はモノクマに頼んでちょっとだけ貸してもらったんだ 考えてみれば もうこんだけ人が死んでるんだよね?なのにお通夜や葬式も出してないなんてかわいそうじゃん?だから私・・・お経はわからないけど 自分で考えたお経唱えてあげてたんだ・・みんなが少しでも救われてくれればと思ってさ・・」
「朝日奈さん・・」
「フン 人騒がせな!!こんなくだらない事をして何が楽しいんだ?理解に苦しむな」十神白夜が吐き捨てるように言った
「・・・いい加減にしてよ!!くだらないって何よ!?友達がこんなに死んだんだよ!?供養くらいしてあげるのが常識ってもんでしょ!?」朝日奈は食って掛かる
「ハッ 友達だと!?笑わせるな あの程度の奴らが 自分の欲のために他人を殺した愚か者と そんな奴らに殺されたマヌケどもだ いい加減にするのはお前の方だ 現実を受け止められないなら 首でもくくったらどうだ? それとも俺がここから出るために殺されてくれるなら銅像くらい建ててやってもいいが?」
「・・・あんたって本当にサイテーな人間よね ある意味尊敬するわ もっとも感謝もするけどね・・・そんな人間なら私も躊躇なくやれるわ」朝日奈の目に殺気がみなぎる
「朝日奈よ 落ち着くのだ」さくらが制する
「ほう だったらどうする?俺をやってみるか?おまえにそんな度胸があればだがな」十神は両手を広げて さも挑発する動作をする
「できないと思ってるの!?」
朝比奈は腐川(正確にはジェノサイダー)の隠し持っていたハサミを奪い取ると十神に斬りかかった さすがの十神も動揺し 手を交差して自分の顔をかばった
「うわあっ!!」
その場に血が飛び散る しかし・・十神は無傷である
なんと その中に割って入ったのは苗木だった 朝日奈の腕をつかんだものの、ハサミで傷を負ったのだった 現場には壮絶な空気が流れた
「な、何するの!?止めないでよ 苗木!!」
「やめるんだ!!朝日奈さん!!こんなことしちゃいけない!!」
「い、いいぞ苗木!!やはり俺が見込んだとおりの男だ 俺がここから出られたら 特別にお前を秘書にしてやろう」
「君もだ 十神くん!!」
「な、何だと!?」
「彼女のしたことは間違ってないよ!!俺たちはこれ以上無益な殺し合いをして何になる!?黒幕を喜ばせ、付け上がらせるだけだ!!俺たちのやることは もうこれ以上人殺しをしない それだけだろ!?」
「馬鹿か貴様は!!そんな甘い考えで生き残れるとでも思ってるのか!?せっかくこれまでのお前の働きを考慮して 俺の秘書として生かしてやろうと思ってたというのに 苗木!!お前は俺まで敵に回すつもりか!?」
「そんなつもりはないさ・・・俺はもうこれ以上誰も死なせやしない!!それだけだ!!だからって君の指図も受けないよ!!誰もね!!」
「なっ!?・・・き、貴様!誰に向かって・・・」
「誰でもないさ 俺にとってはクラスメイトの十神白夜クンと朝日奈葵さんに言ってるのさ!!これ以上無益な殺し合いなんてするなんてバカのすることだって言ってるんだ!!そうじゃないか!?それでもやりたいなら俺をやってからにしろよ!!」
「・・・!?」二人はともかく、周りの人間もまさかの苗木の言葉に絶句したのだった
後で傷の手当をしながら大神さくらが言った
「苗木よ なぜ あんな事をしたのだ?一歩間違えればおぬしが命を落としたのかも知れぬのだぞ?」
「そうかもしれないね・・俺 みんなと違ってなんのとりえもない人間だからさ・・でも一つだけあるとしたら 『前向き』ってやつなのかな?とにかく絶望しちゃいけないって希望に向かっていこうっていう・・・うまく説明できないけど そんな感じがしたからああしたまでなんだ 驚いてるよ 自分でも何であんなことを言ったのかわからない・・」
「そうなのか?」
「うん・・もしかしたら もう これで俺は終わりなのかもね そうなったら後は大神さん 君に頼みたいんだ みんなのこと」
「な!?わ、我にだと!?」さくらは驚いた あまりに力を入れすぎたので苗木は顔をゆがめたが、笑顔を崩さなかった
「うん 君は強いからみんなを守ってあげられるよね?もし俺が死んだら みんなのこと頼みたいんだ そして必ず力を合わせてここから脱出してほしい これは俺だけじゃない 今まで何人の人がこの学園で命を落としたのかはわからないけど その人たちの分の願いでもあると思うんだ」
そういって苗木は屈託のない笑顔で笑った まさか自分が黒幕の協力者だとは知らずに その笑顔にさくらの心は締め付けられるほど痛んだ
「苗木誠・・単なるひ弱な男だと思っていたが・・・いつのまにこれほど成長したのだろう?今はこやつの方が大きく見える それに引き換え・・我は何をしていたのだ!?家族や朝日奈を失う事を恐れ 黒幕の言いなりになってる自分は駄馬にも劣るのだ!・・・もう決めたぞ!!苗木の言うとおり もうこれ以上誰も死なすわけにはいかぬ!!」
そしてモノクマは上機嫌で協力者であるさくらを呼び出した
「うぷぷぷぷー いい感じになってきたねえー これでこそ学園生活の醍醐味ってもんだよ 外の奴らに知らしめることにもなるしねー」
「・・・もう気が済んだのではないのか?」
「はあ?気が済んだ?この程度で?君のような凡人の尺度で測ってもらっちゃ困るなあー やつらにはもっと もっーーと!!絶望を知ってもらわなきゃいけない それが僕の使命でもあり人類のためにもなるんだよ!!」
「それが人類のためだと!?それを本気で言っているのなら おぬしは死ぬか、精神科で診てもらったほうがよいな」
予想外のさくらの言葉にモノクマは最初は口をきけなかったが、やがていつもの吹き出し笑いを始めた
「おやおやおやー!?どうしたの大神さん 君は僕に従順ないい子のはずだよねえ?まさかそんな口を利くなんて 僕はショックだなー 傷ついたよ 涙が出ちゃうかもしれないよー だって女の子・・おっと!これ以上はまずかった とにかく 大神さん 今のは僕の空耳だったって信じたいんだよねー 僕的に いいかい?君の返答次第では今の言葉は聞かなかったことにしてあげるよ だからもう一度だけ聞くよ?君は僕のいう事を素直に聞くいい子だよね?今も これからも?」
「そんなに返答が聞きたいなら 聞かせてやろう!!これが我の返事だー!!!」
さくらは渾身の力でモノクマに向かって手書きの果たし状をさくらは叩きつけたのだった
おそるおそる開けてみると 中には煙が充満していた
それにこのにおいは・・・線香!?
煙の充満する薄暗い中にいたのは・・・
「あ、朝日奈さん!?」
そこにいたのは朝日奈葵だった 葵は涙で濡れた目で苗木たちを振り返った
手には即席の飾り珠でこしらえたと思われる数珠があった
「何やってるの!?」
「・・・供養をしてたの」
「供養!?え この花と線香と遺影はどうしたの?」
「造花と線香は倉庫にあったのを使ったんだ・・遺影はモノクマに頼んでちょっとだけ貸してもらったんだ 考えてみれば もうこんだけ人が死んでるんだよね?なのにお通夜や葬式も出してないなんてかわいそうじゃん?だから私・・・お経はわからないけど 自分で考えたお経唱えてあげてたんだ・・みんなが少しでも救われてくれればと思ってさ・・」
「朝日奈さん・・」
「フン 人騒がせな!!こんなくだらない事をして何が楽しいんだ?理解に苦しむな」十神白夜が吐き捨てるように言った
「・・・いい加減にしてよ!!くだらないって何よ!?友達がこんなに死んだんだよ!?供養くらいしてあげるのが常識ってもんでしょ!?」朝日奈は食って掛かる
「ハッ 友達だと!?笑わせるな あの程度の奴らが 自分の欲のために他人を殺した愚か者と そんな奴らに殺されたマヌケどもだ いい加減にするのはお前の方だ 現実を受け止められないなら 首でもくくったらどうだ? それとも俺がここから出るために殺されてくれるなら銅像くらい建ててやってもいいが?」
「・・・あんたって本当にサイテーな人間よね ある意味尊敬するわ もっとも感謝もするけどね・・・そんな人間なら私も躊躇なくやれるわ」朝日奈の目に殺気がみなぎる
「朝日奈よ 落ち着くのだ」さくらが制する
「ほう だったらどうする?俺をやってみるか?おまえにそんな度胸があればだがな」十神は両手を広げて さも挑発する動作をする
「できないと思ってるの!?」
朝比奈は腐川(正確にはジェノサイダー)の隠し持っていたハサミを奪い取ると十神に斬りかかった さすがの十神も動揺し 手を交差して自分の顔をかばった
「うわあっ!!」
その場に血が飛び散る しかし・・十神は無傷である
なんと その中に割って入ったのは苗木だった 朝日奈の腕をつかんだものの、ハサミで傷を負ったのだった 現場には壮絶な空気が流れた
「な、何するの!?止めないでよ 苗木!!」
「やめるんだ!!朝日奈さん!!こんなことしちゃいけない!!」
「い、いいぞ苗木!!やはり俺が見込んだとおりの男だ 俺がここから出られたら 特別にお前を秘書にしてやろう」
「君もだ 十神くん!!」
「な、何だと!?」
「彼女のしたことは間違ってないよ!!俺たちはこれ以上無益な殺し合いをして何になる!?黒幕を喜ばせ、付け上がらせるだけだ!!俺たちのやることは もうこれ以上人殺しをしない それだけだろ!?」
「馬鹿か貴様は!!そんな甘い考えで生き残れるとでも思ってるのか!?せっかくこれまでのお前の働きを考慮して 俺の秘書として生かしてやろうと思ってたというのに 苗木!!お前は俺まで敵に回すつもりか!?」
「そんなつもりはないさ・・・俺はもうこれ以上誰も死なせやしない!!それだけだ!!だからって君の指図も受けないよ!!誰もね!!」
「なっ!?・・・き、貴様!誰に向かって・・・」
「誰でもないさ 俺にとってはクラスメイトの十神白夜クンと朝日奈葵さんに言ってるのさ!!これ以上無益な殺し合いなんてするなんてバカのすることだって言ってるんだ!!そうじゃないか!?それでもやりたいなら俺をやってからにしろよ!!」
「・・・!?」二人はともかく、周りの人間もまさかの苗木の言葉に絶句したのだった
後で傷の手当をしながら大神さくらが言った
「苗木よ なぜ あんな事をしたのだ?一歩間違えればおぬしが命を落としたのかも知れぬのだぞ?」
「そうかもしれないね・・俺 みんなと違ってなんのとりえもない人間だからさ・・でも一つだけあるとしたら 『前向き』ってやつなのかな?とにかく絶望しちゃいけないって希望に向かっていこうっていう・・・うまく説明できないけど そんな感じがしたからああしたまでなんだ 驚いてるよ 自分でも何であんなことを言ったのかわからない・・」
「そうなのか?」
「うん・・もしかしたら もう これで俺は終わりなのかもね そうなったら後は大神さん 君に頼みたいんだ みんなのこと」
「な!?わ、我にだと!?」さくらは驚いた あまりに力を入れすぎたので苗木は顔をゆがめたが、笑顔を崩さなかった
「うん 君は強いからみんなを守ってあげられるよね?もし俺が死んだら みんなのこと頼みたいんだ そして必ず力を合わせてここから脱出してほしい これは俺だけじゃない 今まで何人の人がこの学園で命を落としたのかはわからないけど その人たちの分の願いでもあると思うんだ」
そういって苗木は屈託のない笑顔で笑った まさか自分が黒幕の協力者だとは知らずに その笑顔にさくらの心は締め付けられるほど痛んだ
「苗木誠・・単なるひ弱な男だと思っていたが・・・いつのまにこれほど成長したのだろう?今はこやつの方が大きく見える それに引き換え・・我は何をしていたのだ!?家族や朝日奈を失う事を恐れ 黒幕の言いなりになってる自分は駄馬にも劣るのだ!・・・もう決めたぞ!!苗木の言うとおり もうこれ以上誰も死なすわけにはいかぬ!!」
そしてモノクマは上機嫌で協力者であるさくらを呼び出した
「うぷぷぷぷー いい感じになってきたねえー これでこそ学園生活の醍醐味ってもんだよ 外の奴らに知らしめることにもなるしねー」
「・・・もう気が済んだのではないのか?」
「はあ?気が済んだ?この程度で?君のような凡人の尺度で測ってもらっちゃ困るなあー やつらにはもっと もっーーと!!絶望を知ってもらわなきゃいけない それが僕の使命でもあり人類のためにもなるんだよ!!」
「それが人類のためだと!?それを本気で言っているのなら おぬしは死ぬか、精神科で診てもらったほうがよいな」
予想外のさくらの言葉にモノクマは最初は口をきけなかったが、やがていつもの吹き出し笑いを始めた
「おやおやおやー!?どうしたの大神さん 君は僕に従順ないい子のはずだよねえ?まさかそんな口を利くなんて 僕はショックだなー 傷ついたよ 涙が出ちゃうかもしれないよー だって女の子・・おっと!これ以上はまずかった とにかく 大神さん 今のは僕の空耳だったって信じたいんだよねー 僕的に いいかい?君の返答次第では今の言葉は聞かなかったことにしてあげるよ だからもう一度だけ聞くよ?君は僕のいう事を素直に聞くいい子だよね?今も これからも?」
「そんなに返答が聞きたいなら 聞かせてやろう!!これが我の返事だー!!!」
さくらは渾身の力でモノクマに向かって手書きの果たし状をさくらは叩きつけたのだった
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2014-04-08 21:44
Comments (2)
さくらの自殺には泣けたよ・・・ダンガンロンパはあまりにも人が死に過ぎた・・。
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