漆黒の闇の中、あなたは微笑んでいた

　かつて桜子が碓氷冬雪に救われたように、少女もその魂を大切な人に救われたことがある。
　生前誰も友達がいなかった少女の末路は、クラスメイトごとアヤカシに食い殺されるという残酷なもの。死後は闇の中を一人さ迷い、さめざめと涙を落とすことしかできなかった。
　そんな彼女に手を差し伸べたのが、「土御門太郎」を名乗る一人の少年であった。

「ほら。退魔の力を備えたこの髪飾りをつけていれば、もう安心さ」

　少年にもう一度会いたいと願った少女は、同じ学校アヤカシになろうとムラサキババアに頼み込む。
　太郎と恋人関係にある「トイレの花子さん」になりたいと。
　しかし。

「花子さん？　……ああ、もう枠が埋まっておるよ」

　仕方なく、少女は第二志望の「闇子さん」になる。
　しかし、元々あがり症で引っ込み思案だった少女は、他の学校アヤカシと馴染めなかった。
　その姿を目にしたムラサキババアの計らいで、少女は少しでもアヤカシに慣れるためにＯＢＫ学園に入学することになる。
　そこで、先輩闇子や運命の人太郎、そして生涯のライバルとなる桜子と出会うのだが……それはまた別のお話。