紙の牙城
※グロ表現注意!
とうとう第二の殺人が起こった
被害者は大和田紋土 死因は頭部打撲による脳挫傷
一番クロと疑われてたのは・・・不二咲千尋だった
大和田と一緒にいるところをセレスに見られていたのだが
「でも・・男子更衣室に僕は入れないじゃないか!!」
それが一番の謎だった 女性である不二咲は男子更衣室に入れないのである
その時驚くべき言葉が霧切から飛び出す
「あなたは・・・男なんでしょ?」
「な、何だって!?そ、そんなバカな!!」
「そうだよ!何を言うんだ!!」
「なら 確かめてあげましょうか?私が ここじゃ何だから場所を変えて それとも大神さんがいい?朝日奈さんのほうがいいかしら?」
その言葉に不二咲は観念したように目を閉じた
「・・・・そうだよ 僕は男だ!!」
「やっぱりね おかしいと思ってたわ」
「どういうこと?霧切さん!」
「前に一緒にトイレに入ったことがあったんだけど その時 なぜか便座が上がっていたのよ 女性なら用を足すときに便座を上げる必要が無いもの」
「そうだったのか!」
「君が男なら工具セットを持ってるはずよね?それで配電盤を操作して 大和田君を殺す仕掛けを作った・・そうじゃない?君はコンピューターだけでなく電気工事にも詳しいって前に話してたわ 使ったかどうかは工具セットを調べてみればわかるはずよ」
「・・・そうだよ ボクが 殺したんだ!!」
「不二咲・・クン?どうしてこんな事を!?」
「そうだ!!なぜ兄弟を殺したのだぁーーー!!!」石丸がつかみかかるように身を乗り出した 苗木はあわてて止める
「落ち着いて石丸クン!!」
「強く・・なりたかったんだ・・」
「強く?」
「うん、僕は小さいときから見た目が女の子みたいだからって皆からバカにされて それで女の子の恰好をずっとしてきた・・これなら誰も男のクセにって言わないだろ?だけど もうそんな生活は嫌だったんだ ここに入れられてからは これを機会に変わろうと思って 大和田クンに思い切って打ち明けたんだよ だって大和田クンは強い男性の象徴みたいなもんだろ?ところが・・・・」
不二咲は大和田に鍛えてくれるように頼んだのだが 断られたのだった
「どうして?どうしてダメなの!?僕がこんな華奢な体だから!?」
「そうじゃねえよ・・・無理に自分を変えようとするなんてやめといた方がいいぜ」
「そんな・・そんなのずるいよ!だって大和田クンはそんなに強いのに!」
「強い?」
「そうじゃないか!それに引き換えボクは・・・こんなの あまりにも不公平だよ!!」
大和田の顔が明らかに変化した・・・怒らせてしまったのか?不二咲は殴られるのかと思い身をすくめたが 大和田から出てきたのは意外な言葉だった
「不二咲よぉ 『強い』ってなんだ?ガタイがよくて ケンカが強けりゃ『強い』ってことなのか?」
「・・え?」
「強さってのはよ 見かけだけじゃダメなんだよ 中身が強くなきゃ意味がねえ お前が男らしくねえとか 誰に何と言われようといい それが自分なんだって それを誇れりゃそれでいいじゃねえか 俺はそっちのほうが『強い』と思うぜ?お前を見てると昔の俺を思い出す・・今の俺だって決して『強い』わけじゃねえんだよ お前はお前らしく生きろよ・・」
大和田は過去に兄を死なせたことがあった それは自分の未熟さが原因だった
大和田は不二咲が自分の二の舞にならないように アドバイスしたのだったが・・
不二咲にとって それは侮辱されたと思ったのだった
「それでスイッチが入ったら 電圧で焼き切れてダンベルが落下する仕掛けをしたのさ・・・どうだい?僕が人なんて殺せないって思ってただろ?残念だったね ボクはこれで強くなったんだ!もうボクを弱いなんて言わせないぞ!!」不二咲はそういって勝ち誇ったように笑った だがその目から涙が流れていた
「不二咲クン!・・それは違うよ!!大和田クンが言いたかったのはそういうことじゃない!!」
「え・・・!?」
「不二咲クンは不二咲クンのよさがある そう言いたかったんだ 大和田クンだって強いわけじゃない 彼は彼なりに悩んでいたんだよ!この世に強い人間なんていやしない!皆弱いからこそ 力を合わせなきゃいけないんだ!!ここを出るために!」
「・・・!!」
「俺を貴様らと一緒にするな」「私もですわ」十神とセレスが言う
「だって・・・!!」言い返そうとする苗木を不二咲が制した
「・・・もういいよ もう終わったんだ 罰は受けなきゃね 自分のしたことは自分で始末をつける それが・・『男』だろ?」
「さあーて!!今回のクロは不二咲千尋クンに決まりましたー!!僕も男の娘をオシオキするなんてワクワクしちゃうなぁー!!今回のオシオキは『無限コンティニュー』でーす 張り切って行ってみましょうー!!」
連行されるとき 不二咲は苗木にこっそり聞こえるように言った
「苗木くん・・ボクの『弟』を頼むよ」
「・・・!?」そのときの苗木には意味がわからなかった
こうして世にも残酷な二回目のオシオキが開始された
薄れいく意識の中 千尋はようやく大和田の言葉を理解した
「ああ・・こういうことだったんだね・・大和田クン・・分相応をわきまえないと 自分が潰されるって・・ごめん・・・ボクが早とちりしたばっかりに・・やっぱ・・バカは死ななきゃ治らないよね・・・」
オシオキが終了した後も 釈然としない苗木は一人で考えていた
「何かがおかしい気がするんだ・・不二咲クンがクロだなんて 以前はこうじゃなかったはず・・・以前?何を言ってるんだ!?僕は・・・記憶が混同してるなんてどうなってるんだ?」
「苗木くん・・・」霧切が声をかけてきた
「もしかして・・以前と結末が違うと思ってるのかしら?」
「霧切さん!?どうしてそれを!!」
「世界は一つじゃない あらゆる結果の違った世界が存在する 自分はあらゆる世界をループしている そう考えれば納得が行くでしょ?」
「霧切さん・・君は一体!?」
「私も異なる世界を旅するものよ 私だけじゃなく皆もそうだわ あなたも会ったはず・・あの男に そして『暗黒の塔』というものが存在する事を・・・」
「え?」
「それがあらゆる可能性の世界を作り上げているのよ」
「どういうことなの?何だよ『暗黒の塔』って!!」
「・・・今は話してる時間はないわ」
そういって霧切は去っていった
苗木は頭が混乱していたが うっすらとそういう記憶があることが引っかかっていた 夕闇に聳え立つ巨大な塔、タバコを吸いながら現れる男・・ただ自分の中ではそんな記憶があることが信じられない それだけだった
とうとう第二の殺人が起こった
被害者は大和田紋土 死因は頭部打撲による脳挫傷
一番クロと疑われてたのは・・・不二咲千尋だった
大和田と一緒にいるところをセレスに見られていたのだが
「でも・・男子更衣室に僕は入れないじゃないか!!」
それが一番の謎だった 女性である不二咲は男子更衣室に入れないのである
その時驚くべき言葉が霧切から飛び出す
「あなたは・・・男なんでしょ?」
「な、何だって!?そ、そんなバカな!!」
「そうだよ!何を言うんだ!!」
「なら 確かめてあげましょうか?私が ここじゃ何だから場所を変えて それとも大神さんがいい?朝日奈さんのほうがいいかしら?」
その言葉に不二咲は観念したように目を閉じた
「・・・・そうだよ 僕は男だ!!」
「やっぱりね おかしいと思ってたわ」
「どういうこと?霧切さん!」
「前に一緒にトイレに入ったことがあったんだけど その時 なぜか便座が上がっていたのよ 女性なら用を足すときに便座を上げる必要が無いもの」
「そうだったのか!」
「君が男なら工具セットを持ってるはずよね?それで配電盤を操作して 大和田君を殺す仕掛けを作った・・そうじゃない?君はコンピューターだけでなく電気工事にも詳しいって前に話してたわ 使ったかどうかは工具セットを調べてみればわかるはずよ」
「・・・そうだよ ボクが 殺したんだ!!」
「不二咲・・クン?どうしてこんな事を!?」
「そうだ!!なぜ兄弟を殺したのだぁーーー!!!」石丸がつかみかかるように身を乗り出した 苗木はあわてて止める
「落ち着いて石丸クン!!」
「強く・・なりたかったんだ・・」
「強く?」
「うん、僕は小さいときから見た目が女の子みたいだからって皆からバカにされて それで女の子の恰好をずっとしてきた・・これなら誰も男のクセにって言わないだろ?だけど もうそんな生活は嫌だったんだ ここに入れられてからは これを機会に変わろうと思って 大和田クンに思い切って打ち明けたんだよ だって大和田クンは強い男性の象徴みたいなもんだろ?ところが・・・・」
不二咲は大和田に鍛えてくれるように頼んだのだが 断られたのだった
「どうして?どうしてダメなの!?僕がこんな華奢な体だから!?」
「そうじゃねえよ・・・無理に自分を変えようとするなんてやめといた方がいいぜ」
「そんな・・そんなのずるいよ!だって大和田クンはそんなに強いのに!」
「強い?」
「そうじゃないか!それに引き換えボクは・・・こんなの あまりにも不公平だよ!!」
大和田の顔が明らかに変化した・・・怒らせてしまったのか?不二咲は殴られるのかと思い身をすくめたが 大和田から出てきたのは意外な言葉だった
「不二咲よぉ 『強い』ってなんだ?ガタイがよくて ケンカが強けりゃ『強い』ってことなのか?」
「・・え?」
「強さってのはよ 見かけだけじゃダメなんだよ 中身が強くなきゃ意味がねえ お前が男らしくねえとか 誰に何と言われようといい それが自分なんだって それを誇れりゃそれでいいじゃねえか 俺はそっちのほうが『強い』と思うぜ?お前を見てると昔の俺を思い出す・・今の俺だって決して『強い』わけじゃねえんだよ お前はお前らしく生きろよ・・」
大和田は過去に兄を死なせたことがあった それは自分の未熟さが原因だった
大和田は不二咲が自分の二の舞にならないように アドバイスしたのだったが・・
不二咲にとって それは侮辱されたと思ったのだった
「それでスイッチが入ったら 電圧で焼き切れてダンベルが落下する仕掛けをしたのさ・・・どうだい?僕が人なんて殺せないって思ってただろ?残念だったね ボクはこれで強くなったんだ!もうボクを弱いなんて言わせないぞ!!」不二咲はそういって勝ち誇ったように笑った だがその目から涙が流れていた
「不二咲クン!・・それは違うよ!!大和田クンが言いたかったのはそういうことじゃない!!」
「え・・・!?」
「不二咲クンは不二咲クンのよさがある そう言いたかったんだ 大和田クンだって強いわけじゃない 彼は彼なりに悩んでいたんだよ!この世に強い人間なんていやしない!皆弱いからこそ 力を合わせなきゃいけないんだ!!ここを出るために!」
「・・・!!」
「俺を貴様らと一緒にするな」「私もですわ」十神とセレスが言う
「だって・・・!!」言い返そうとする苗木を不二咲が制した
「・・・もういいよ もう終わったんだ 罰は受けなきゃね 自分のしたことは自分で始末をつける それが・・『男』だろ?」
「さあーて!!今回のクロは不二咲千尋クンに決まりましたー!!僕も男の娘をオシオキするなんてワクワクしちゃうなぁー!!今回のオシオキは『無限コンティニュー』でーす 張り切って行ってみましょうー!!」
連行されるとき 不二咲は苗木にこっそり聞こえるように言った
「苗木くん・・ボクの『弟』を頼むよ」
「・・・!?」そのときの苗木には意味がわからなかった
こうして世にも残酷な二回目のオシオキが開始された
薄れいく意識の中 千尋はようやく大和田の言葉を理解した
「ああ・・こういうことだったんだね・・大和田クン・・分相応をわきまえないと 自分が潰されるって・・ごめん・・・ボクが早とちりしたばっかりに・・やっぱ・・バカは死ななきゃ治らないよね・・・」
オシオキが終了した後も 釈然としない苗木は一人で考えていた
「何かがおかしい気がするんだ・・不二咲クンがクロだなんて 以前はこうじゃなかったはず・・・以前?何を言ってるんだ!?僕は・・・記憶が混同してるなんてどうなってるんだ?」
「苗木くん・・・」霧切が声をかけてきた
「もしかして・・以前と結末が違うと思ってるのかしら?」
「霧切さん!?どうしてそれを!!」
「世界は一つじゃない あらゆる結果の違った世界が存在する 自分はあらゆる世界をループしている そう考えれば納得が行くでしょ?」
「霧切さん・・君は一体!?」
「私も異なる世界を旅するものよ 私だけじゃなく皆もそうだわ あなたも会ったはず・・あの男に そして『暗黒の塔』というものが存在する事を・・・」
「え?」
「それがあらゆる可能性の世界を作り上げているのよ」
「どういうことなの?何だよ『暗黒の塔』って!!」
「・・・今は話してる時間はないわ」
そういって霧切は去っていった
苗木は頭が混乱していたが うっすらとそういう記憶があることが引っかかっていた 夕闇に聳え立つ巨大な塔、タバコを吸いながら現れる男・・ただ自分の中ではそんな記憶があることが信じられない それだけだった
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2014-08-09 22:23
Comments (5)
無理に背伸びするとひっくり返るか、、、、、染みる言葉だなぁ
彼女、いや・・彼が男だと見破られた理由が、昔見た金田一を思い出すよ。どちらも殺人が関連しているね・・・
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