麗なる征服者

彼女は怒っていた。己の置かれた立場に
彼女は怒っていた。己を軽んじた者共に
彼女は怒っていた。現在の地位に甘んじ、唯々諾々と王に従う己の親族に
彼女は怒っていた。この世の秩序全てに

彼女の願い　全世界の覆滅と新秩序の構築

彼女はさる王国の大門閥貴族の長女だった。
だが、彼女の家系は元を質せばこの地の根を張る古の大豪族の本流で一時期は王を名乗っていたのだ。
それが、200年程前、急速に勃興した下級貴族家門を出自とする現王家との数次の戦闘の末、敗れて許され、臣下の列に加わったのだ。
当時の現王家の王（巷では善良王と呼ばれる）は彼女の家の血の重みを正当に評価し、彼女の家を同輩格公爵に綬爵した。
だが、彼女にはその行為自体が許せなかった。確かに同輩格公爵は親王公爵（王の近親のみ綬爵）と同等の爵位であり、重臣格公爵や宮廷公爵（平民出身者の最高爵位）よりも上位である。
だが、そんなものは所詮はまやかし。
令名高き彼女の家門は現王家の番犬に成り下がったのだ。
彼女にはそれが許せなかった。現王家も、不甲斐無い祖先も。
彼女は思う。最後の決戦の時、何故玉砕覚悟で総力を挙げて突撃しなかったのか、と。
そうすれば現王家の今は無かったかのしれない。罷り間違って敗北したとしても、現王家は我が家門の力を怖れ、大公、いや副王位を与えたやもしれない。
いや、全ては遥昔に終わっているのだ。

なら、私が全てを破壊し、その後に正統なる新秩序を打ち立てるのだ。
私になら出来る。私と愛竜・狂える銀竜ギャランとなら。

※交流させて頂いている月光竜さんとファンタジーについてお話させて頂いている内に創作意欲に火が付き描きました。久々のファンタジー絵です。如何しょうか？