明日、わたしは諏訪へ行く
四つの頃から安曇平で育ったわたしにとって、十年振りに帰る生まれ故郷は、なんだかとても遠い地のように思えた。
大きな湖があって、青々とした森が広がっていて、山々に囲まれていて。
あとは、母(かか)さまの背中がとても暖かかったことを、うっすらと覚えている。
それから、そこかしこにカミサマ……確か、みしゃぐちさまってみんなは言っていたかしら……が、そこかしこに「居る」ような、そんな地だった。
勿論、まったく不安が無いわけじゃあない。
諏訪の御使いから話を聞いたお父さまは終始訝しげな顔をしていた。
穂高兄さまも「今更連れ戻そうとするなんて、何かよからぬ事を考えているんじゃないか」と言っていた。
そしてわたしも、偉い人……確か、もれやさま、と母様は呼んでいた……から、目があった時に睨まれたことがあった。
でも、お父さまも穂高兄さまもわたしをこの地から見守ってくれる。
それに、安曇平の日差しだってこんなに暖かいし、水だって気持ちが良い。
諏訪の地も、こんな風にわたしを迎えてくれるといいな。
だからわたしは、向こうでもきっと大丈夫よ。
ーーそう言って、笑ってお別れするって決めたの。
+ + +
かなめ(拙宅の八坂刀売神illust/46023228)は、諏訪生まれの安曇野育ち。
諏訪の娘と天津神の男神の混血である為に、地祇を祀る一族から半ば追い出されるような形で養子に出されたのですが、本人の前向きな性格もあってか兎に角天真爛漫な娘です。
養子に出された十年後、訳あって諏訪に呼び戻されるのですが……それからのことは、また別のお話。
大きな湖があって、青々とした森が広がっていて、山々に囲まれていて。
あとは、母(かか)さまの背中がとても暖かかったことを、うっすらと覚えている。
それから、そこかしこにカミサマ……確か、みしゃぐちさまってみんなは言っていたかしら……が、そこかしこに「居る」ような、そんな地だった。
勿論、まったく不安が無いわけじゃあない。
諏訪の御使いから話を聞いたお父さまは終始訝しげな顔をしていた。
穂高兄さまも「今更連れ戻そうとするなんて、何かよからぬ事を考えているんじゃないか」と言っていた。
そしてわたしも、偉い人……確か、もれやさま、と母様は呼んでいた……から、目があった時に睨まれたことがあった。
でも、お父さまも穂高兄さまもわたしをこの地から見守ってくれる。
それに、安曇平の日差しだってこんなに暖かいし、水だって気持ちが良い。
諏訪の地も、こんな風にわたしを迎えてくれるといいな。
だからわたしは、向こうでもきっと大丈夫よ。
ーーそう言って、笑ってお別れするって決めたの。
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かなめ(拙宅の八坂刀売神illust/46023228)は、諏訪生まれの安曇野育ち。
諏訪の娘と天津神の男神の混血である為に、地祇を祀る一族から半ば追い出されるような形で養子に出されたのですが、本人の前向きな性格もあってか兎に角天真爛漫な娘です。
養子に出された十年後、訳あって諏訪に呼び戻されるのですが……それからのことは、また別のお話。
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2014-09-23 22:39
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