鍔芽の初夢

その日の夜、鍔芽は夢を見た。
夢の中で自分は今よりもずっと子供の姿でいた。
そして写真でしか知らない父母と一緒に遊園地に来ていた。
父母の声など覚えていないのだがなんとなく喋り方がわかるような気がする。
自分がまだ幼き乳飲み子だった頃に少しだけ聞いた声の記憶なのだろうか。
鍔芽は夢の中で楽しく遊んだ。たくさん父母に甘えた。

…そして夢は終わるものである。

沙夜：「おや、おめざめのようだね」。
鍔芽：「………ん～………沙夜ママ？遊園地は？」
沙夜：「なぁにを寝ぼけてんだろうねこの娘は。起きたらまず軽くストレッチしてジョギングと朝飯の調達が鍔芽の日課なんじゃないのかい？そのあとも修行のメニューはたっぷりあるんだからねえ。私らに正月なんて関係ないのよ」。
鍔芽：「あ…、そうだった！おはよー沙夜ママ！」

手馴れた動作で身体に目覚めを促すようにゆっくりとストレッチをこなし、服を着替えた鍔芽は元気に外に出ていった。

沙夜：「やっと目が覚めたようだねえ。それにしても…随分と楽しそうな寝顔でいたものだわ。どんな夢を見ていたものやら…」

冬の早朝の凛とした清々しい空気を胸いっぱいに吸い込み、毎日の修行という名の日課を楽しみながらこなす鍔芽。
その瞳には新たなる決意の炎が生まれ始めていた。

…鍔芽が旅立つ一週間ほど前の話である。

あけましておめでとうございます。
今年も鍔芽達一行と仮想ナムカプ２改め「邂逅のRetroStarシリーズ」を宜しくお願いいたします。
更新メチャクチャ遅いけど面倒みたってください～。