【SR:ALT】Last Order

最後の戦いが終わり、

私はシーナを殺した。

人目に付かぬ様あらかじめ墓を掘り蓋を開けたまま納棺し、彼女を棺に入れ、

胸を刺した。

蓋を閉め、土を被せ、いい文面が浮かばず白紙のままの墓石を置くまで何度も泣いて、何度も吐いた。
夜に作業を始め、終わったときは朝日が見えていた。

アル「ヘヴン、終わったぞ。これで君からのオーダーは全て完了した。確認したまえ。」
ヘヴン（上位存在）「確認しました。シーナも喜んでいることでしょう。あなたは大丈夫ですか？」
アル「・・・正直、自身がここまで深いダメージを負っているとは思っていなかった。
　　　この有様では残念だが殺し屋はもう廃業だな。」
ヘヴン「一応念を押しておきますが、シーナのゴーストは間違いなく既に死んでいました、
　　　　貴方は抜け殻を処分しただけです。」
アル「割り切れるものではないよ。元より私にとってファミリーは命より大事なもの。
　　　それを何度も失いながら生き恥をさらして、挙句の果てに自ら手をかけるのだから・・・。
　　　セイデン＝カイエツだったころはそうならないよう一人で生きていたはずだったのにな。
　　　全く・・・度し難いことだ。」
ヘヴン「これからは心安らかに、ファミリーと生きていけば良いではないですか。」
アル「・・・そう、できれば良いのだがね。ヘヴン、私はまだ決断できないが、用意だけは進めていてくれ。」
ヘヴン「本当に良いのですか？私にはさほど重要なこととは思えないのですが」
アル「今は分からない。だが手放しで放置できる問題でもない。」
ヘヴン「分かりました、準備だけは進めておきます。」
アル「すまない。後、シーナのために粋な墓碑を注文しておいてくれ。」
ヘヴン「墓碑銘は？」
アル「任せる。私ではセンスが無いのでね。」
ヘヴン「了解しました。」

少し高い位置にあり、人目に付かないこの場所からはこの島の様子がよく見えた。
あんな酷い戦場であったにも関わらず、今もそこには人が居て、また日常が始まろうとしている。

今はまだそこに身を置き、
彼女の旅立った空を見上げる。

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アル・ヴィクトールはパン屋手伝い中。
いつまでも上位存在では呼びにくいのでアルによって「H.V.N(ヘヴン)」と名付けられました。

セイデン=カイエツ【illust/46557593】
アル=ヴィクトール【illust/48131845】

都合が悪い場合はパラレル&スルー推奨です。
問題ありましたらメッセージ等で連絡お願いします。