【PRW3】 モノノカタチ 前編 【テリアス統合軍】
皆様、こんにちわ。
今回は、次回企画の前に、自分なりに昔の作品にけじめをつけておきたくて、描く事にしました。
なにぶん。PRGVの本編を終わらしてないもので、イラストのみになってしまいましたが、
小説の挿絵だと思ってもらえれば幸いです(少々文も長くなってしまいました)。
さて、私と闇さんが始めてPRWに参加したのは、PRW3です。
当時は私自身も勝手がわからず、ひたすら描いていたともいます。
よくよく考えたら、怖いもの知らずだったんだなぁとも思いました。
3の外伝に当たるCC外伝は、結果が決まっているという仕様が受け入れられず、
結局参加せずじまいでした。
ですが、ふたを開けてみると、やっぱり参加したらよかったなぁ…と後悔したものです。
それを含め、このお話はCC外伝の後のお話。私のキャラクターで結末を描いていなかった
カンプ帝国生命科学研究所、通称、生科研(今は製菓研でもあります)。
その一人であるリディア(R)を中心としたお話となります。
ちなみにキャラクターシートでは男と書いてありますが、これ、勘違いです。女なんです、はい。
舞台は背景はCC外伝の後日談となります。
ご都合が悪い場合は、パラレルでお願いします。
-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-・-
天嵩進行の激戦を潜り抜けたテリアス統合軍。カンプ帝国生科研もその戦災復興作業に追われていた。
過去に非人道的な研究を繰り返してきた生科研も、今は、少しずつだが、その技術を後世の発展へとシフトしている。
現在、生科研はガブリエル・ギレスベルガーの娘、ギレスベルガー博士の第一試験体であるアンネに、
所長の座を移している。所長のアンネは、父の意思を継ぎながらも、その方向を世界の人々の役に立つようにと
日々努力している。
戦争時は統合軍の支援物資運搬や、後方支援を行っており、今までに重ねてきた汚名を返上していた。
戦争後はその研究成果を生かした、植物プラントの開発により、テリアスの食糧事情を少しずつ解消している。
そんな中、今まで作り上げてきた人造人間や強化人間は局地防衛や、局地作業、人間では成し遂げられない
場所へと送られ、その任務を遂行していた。
戦争が終わった今、戦争の兵器として生まれてきたものにとっては、平和がその意味の邪魔をする。
一般には懸念されるべき対象であり、同じ軍隊でも恐れ、疎まれ、蔑まれていた。ともに戦ったものや、
友人となったものは、それを否定するが、少数の意見と一蹴されることのほうが多い。結局、それらは
“モノ”でしかなく、モノの一生は意味をなくしたときに終わってしまう。そしてその後は…。
生科研はそういった人たちが平和にいることのできる、最終防衛ラインのひとつであり、自分が自分でいられる
場所なのだ。
だからこそ、そのものたちは自分の居場所を守るために、日々戦いを続けていた。
~
リディア(R)通称、アルは、肉体強化型人造人間として生まれ、テリアス統一戦争時より戦いに参加していた。
天嵩進行時は後方支援を行い、テリアスの大地をソーディオン・ヘルメスに搭乗し、守っていた。
彼女の状態が悪くなってきたのはこの頃からである。
ある日、今日も戦災復興作業を終えた彼女は、シグルズとの食事中に目の前のスープに顔をお突っ込んだまま
動かなくなってしまった。
研究所の医務室に緊急搬送され、精密検査を受けることとんった彼女は、この日以来、体をまともに動かすことは
できなくなってしまった。
意識を取り戻した彼女が、一番最初に目に入ったのは、涙と鼻水でグズグズになった妹のリディア(L)ことエルだ。
「姉さん!心配したんだよ!もう目を覚まさないのかと思った…。」
涙を目にいっぱい浮かべながらぐずっている妹に、細い声で答える。
「何泣いてんのさ。相変わらず泣き虫だなぁ」
アルの差し伸べた手はエルの涙を拭おうとしたのだろうが、そこまで伸ばす力もないらしい。
その手をぎゅっと握り締めて、グスグスと泣くエル。その傍らにはシグルズもいた。
「まってろ、アル!いま所長呼んでくるからな!こんなところでくたばるんじゃねーぞ!」
自分がもてる全力でアンネを呼びに行くシグルズ。しかし、アンネが駆けつける頃には、また
意識はなくなっていた。
~
「崩壊?」
聞き及ばない答えにミトリは、眉をひそめて聞き返した。
「そう、崩壊よ。」
ため息交じりでコーヒーを飲みながらアンネは答える。
「本来、人造人間は、私の細胞を元に作り上げたデザインベイビーなのよ。体内の調整や機械の埋め込みは
根本的に強化人間のそれとは違うわ。父は今の人類に代わる新しい生命を築き上げるために、あの子たちを
作り出したのだけれども…。」
「ここまできて、欠陥が見つかった、と?」
痛いところを突かれたアンネは渋いかをした。実際、飲みなれたコーヒーすら苦く感じるくらい、
ことは重大なのだ。
「あの、それって私も同じことが言えるのでしょうか?」
不安そうに聞くシアンの言葉にどういって言いのかわからないのか、アンネはマグカップを口につける回数が増えた。
コーヒーのおかわりをシュヴァリエに頼むと、重い口をあける。
「単刀直入にいうとそうよ。今いる人造人間には、少なからずとも欠陥があるわ。対処しきれないわけではないけれども
そのためには時間と研究成果があまりにも少なすぎる。」
「そうですか…。」
落胆した彼女を直視はせず、話を続けた。
「だからといってこの問題を放っておくわけにはいかないわ。シアン、安心して。
糸口がないわけではないの。だから私に任せておいてくれないかしら。」
「わかりました。期待してますね。」
そういうと、彼女は残りの仕事を片付けに席をはずした。ひょっとしたら気まずい雰囲気に
絶えられなかったのかもしれない。アンネはそう思った。
「…それで、糸口というのは何なんですか?」
コーヒーのおかわりを渡したシュヴァリエがアンネに尋ねる。」
「…アルを元に原因を突き止めるわ。」
「えっ!」
驚いて大きな声を出してしまったシュヴァリエに対して、ミトリはやっぱり、といった顔をしていた。
考えても見ればわかることだ。現に起こっていう事例があるのだ。そこから原因を突き止めるのは
研究者の勤めであり、化せられた義務だ。これまでもそうしてきたように、これからもそうするであろう。
「エルやシグルズは納得しないと思いますよ。」
ミトリはポーカーフェイスのように見えて、内心はかなり怒っている。
今回だって、所長の決断はお見通しの上でのことだったのだろう。
アンネが申し訳ない思いでいっぱいなのもわかっているが、自分の性質上、
どうしても許せなかった。
「あの子たちには黙っておく。そして必ず解決するわ。私の研究者としてのプライドにかけて。」
アンネの決意を秘めた瞳に、もう何もいうまいと、ミトリは少しだけ意地悪だった自分に自嘲した。
今回は、次回企画の前に、自分なりに昔の作品にけじめをつけておきたくて、描く事にしました。
なにぶん。PRGVの本編を終わらしてないもので、イラストのみになってしまいましたが、
小説の挿絵だと思ってもらえれば幸いです(少々文も長くなってしまいました)。
さて、私と闇さんが始めてPRWに参加したのは、PRW3です。
当時は私自身も勝手がわからず、ひたすら描いていたともいます。
よくよく考えたら、怖いもの知らずだったんだなぁとも思いました。
3の外伝に当たるCC外伝は、結果が決まっているという仕様が受け入れられず、
結局参加せずじまいでした。
ですが、ふたを開けてみると、やっぱり参加したらよかったなぁ…と後悔したものです。
それを含め、このお話はCC外伝の後のお話。私のキャラクターで結末を描いていなかった
カンプ帝国生命科学研究所、通称、生科研(今は製菓研でもあります)。
その一人であるリディア(R)を中心としたお話となります。
ちなみにキャラクターシートでは男と書いてありますが、これ、勘違いです。女なんです、はい。
舞台は背景はCC外伝の後日談となります。
ご都合が悪い場合は、パラレルでお願いします。
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天嵩進行の激戦を潜り抜けたテリアス統合軍。カンプ帝国生科研もその戦災復興作業に追われていた。
過去に非人道的な研究を繰り返してきた生科研も、今は、少しずつだが、その技術を後世の発展へとシフトしている。
現在、生科研はガブリエル・ギレスベルガーの娘、ギレスベルガー博士の第一試験体であるアンネに、
所長の座を移している。所長のアンネは、父の意思を継ぎながらも、その方向を世界の人々の役に立つようにと
日々努力している。
戦争時は統合軍の支援物資運搬や、後方支援を行っており、今までに重ねてきた汚名を返上していた。
戦争後はその研究成果を生かした、植物プラントの開発により、テリアスの食糧事情を少しずつ解消している。
そんな中、今まで作り上げてきた人造人間や強化人間は局地防衛や、局地作業、人間では成し遂げられない
場所へと送られ、その任務を遂行していた。
戦争が終わった今、戦争の兵器として生まれてきたものにとっては、平和がその意味の邪魔をする。
一般には懸念されるべき対象であり、同じ軍隊でも恐れ、疎まれ、蔑まれていた。ともに戦ったものや、
友人となったものは、それを否定するが、少数の意見と一蹴されることのほうが多い。結局、それらは
“モノ”でしかなく、モノの一生は意味をなくしたときに終わってしまう。そしてその後は…。
生科研はそういった人たちが平和にいることのできる、最終防衛ラインのひとつであり、自分が自分でいられる
場所なのだ。
だからこそ、そのものたちは自分の居場所を守るために、日々戦いを続けていた。
~
リディア(R)通称、アルは、肉体強化型人造人間として生まれ、テリアス統一戦争時より戦いに参加していた。
天嵩進行時は後方支援を行い、テリアスの大地をソーディオン・ヘルメスに搭乗し、守っていた。
彼女の状態が悪くなってきたのはこの頃からである。
ある日、今日も戦災復興作業を終えた彼女は、シグルズとの食事中に目の前のスープに顔をお突っ込んだまま
動かなくなってしまった。
研究所の医務室に緊急搬送され、精密検査を受けることとんった彼女は、この日以来、体をまともに動かすことは
できなくなってしまった。
意識を取り戻した彼女が、一番最初に目に入ったのは、涙と鼻水でグズグズになった妹のリディア(L)ことエルだ。
「姉さん!心配したんだよ!もう目を覚まさないのかと思った…。」
涙を目にいっぱい浮かべながらぐずっている妹に、細い声で答える。
「何泣いてんのさ。相変わらず泣き虫だなぁ」
アルの差し伸べた手はエルの涙を拭おうとしたのだろうが、そこまで伸ばす力もないらしい。
その手をぎゅっと握り締めて、グスグスと泣くエル。その傍らにはシグルズもいた。
「まってろ、アル!いま所長呼んでくるからな!こんなところでくたばるんじゃねーぞ!」
自分がもてる全力でアンネを呼びに行くシグルズ。しかし、アンネが駆けつける頃には、また
意識はなくなっていた。
~
「崩壊?」
聞き及ばない答えにミトリは、眉をひそめて聞き返した。
「そう、崩壊よ。」
ため息交じりでコーヒーを飲みながらアンネは答える。
「本来、人造人間は、私の細胞を元に作り上げたデザインベイビーなのよ。体内の調整や機械の埋め込みは
根本的に強化人間のそれとは違うわ。父は今の人類に代わる新しい生命を築き上げるために、あの子たちを
作り出したのだけれども…。」
「ここまできて、欠陥が見つかった、と?」
痛いところを突かれたアンネは渋いかをした。実際、飲みなれたコーヒーすら苦く感じるくらい、
ことは重大なのだ。
「あの、それって私も同じことが言えるのでしょうか?」
不安そうに聞くシアンの言葉にどういって言いのかわからないのか、アンネはマグカップを口につける回数が増えた。
コーヒーのおかわりをシュヴァリエに頼むと、重い口をあける。
「単刀直入にいうとそうよ。今いる人造人間には、少なからずとも欠陥があるわ。対処しきれないわけではないけれども
そのためには時間と研究成果があまりにも少なすぎる。」
「そうですか…。」
落胆した彼女を直視はせず、話を続けた。
「だからといってこの問題を放っておくわけにはいかないわ。シアン、安心して。
糸口がないわけではないの。だから私に任せておいてくれないかしら。」
「わかりました。期待してますね。」
そういうと、彼女は残りの仕事を片付けに席をはずした。ひょっとしたら気まずい雰囲気に
絶えられなかったのかもしれない。アンネはそう思った。
「…それで、糸口というのは何なんですか?」
コーヒーのおかわりを渡したシュヴァリエがアンネに尋ねる。」
「…アルを元に原因を突き止めるわ。」
「えっ!」
驚いて大きな声を出してしまったシュヴァリエに対して、ミトリはやっぱり、といった顔をしていた。
考えても見ればわかることだ。現に起こっていう事例があるのだ。そこから原因を突き止めるのは
研究者の勤めであり、化せられた義務だ。これまでもそうしてきたように、これからもそうするであろう。
「エルやシグルズは納得しないと思いますよ。」
ミトリはポーカーフェイスのように見えて、内心はかなり怒っている。
今回だって、所長の決断はお見通しの上でのことだったのだろう。
アンネが申し訳ない思いでいっぱいなのもわかっているが、自分の性質上、
どうしても許せなかった。
「あの子たちには黙っておく。そして必ず解決するわ。私の研究者としてのプライドにかけて。」
アンネの決意を秘めた瞳に、もう何もいうまいと、ミトリは少しだけ意地悪だった自分に自嘲した。
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