亡き修道女

かつて修道院の前を、どこか虚ろな表情で歩く修道女たちが居た。
院は、決して神の教えに準ずる場では無かった。
修道女たちは、その若さを問わず、仮初の純潔さを纏う事を強要された。
夜が来れば、いつものように床で相手を待ち、朝が来れば、見目美しい建前の中に暮らす。
彼女らに、時間は無かった、絶望しかなかった。
彼女らは……、自らがどうなっているのかも、ついに知る事は無かった。
死してなお、彼女たちは作られた偶像の様に教会跡に佇む。
最早、自らが人でないのにも拘らず。
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2015-05-13 03:38

 ブラチキ


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