【PFT】夜明けの炎

群生する黄色の花が潮風に揺れている。
夜明け前、まだ薄暗い折。そよそよと揺れる花を見つめているのは、学生服の少年が一人。
――ボッ
紫苑が投げた札が鬼火を放ち、黄色の花弁に火をつけた。
次々に放たれる札から、炎は徐々に燃え広がり、群生が炎に包まれていく。
「―――明け方から火付けとは穏やかじゃないな」
ぱちぱち、と爆ぜる火の音に、突如人の声が響いた。
蓮の花の香りがする。
晴天に不釣り合いな霧を纏い、蓮のパーツを生やした少年が、食えない笑みを浮かべていた。
「何だよ、あんた」
「いや、変わったことをしていると思って飛んできただけさ。そっちこそ、何をしてるんだ？」
「花の駆除だよ」
言われた言葉に、クムダははて、と首を傾げる。
「確かに見た事の無い花だが、毒草か何かなのか？」
「そんなとこ。香りを嗅ぐとヤバいんだって」
「なるほどな……」
周囲を見回せば、黄色い花は海辺の丘一面に生えていた。全て焼くには時間がかかりそうだ。
「よし、手伝ってやろう」
「え？」
クムダの足元がずぶ、と柔らかくなる。
元の地面を飲み込み、すんなりとした蓮の花や葉が芽生え、同時にずるり、と泥の腕が這いだしてくる。
「何それ」
「俺の体の一部さ。匂いを嗅ぐと危ないんだろう？」
触れるのは遠慮したい――呟き、一瞬の間の後。
虚空から鋭い蓮の花弁が降り注いだ。
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非公式イベント「花の鬼ごっこ」【illust/50926880】に鸞側で参加させていただきます。
一応これで花が危ないらしい、という知識は得られた……かな？　名前まで聞いたかは解りませんが。
問題ありましたらご一報くださいませ。

お借りしました
紫苑さん【illust/49723236】
ほぼシルエットですが燃えたりしてます：アドラムザの花【illust/49912745】

うちの【illust/49687242】

※補足
泥沼は「本当に泥だと思った相手には本物になる幻覚」。故に「意識」のない花を飲み込んでもダメージを与えられない。
「本物の泥沼」だと思い込んだ存在が引きずり込まれた場合、窒息死、あるいは涅槃茶房に飛ばされる。
蓮の方は物理存在。生えてる範囲のみ涅槃茶房と同じ空気に保ちます。
飛ばしてるのは普通の鬼蓮。花びらを硬化して高速で飛ばして攻撃性能を持たせてます。