ゴジラパーク

対怪獣光学兵器として1966年に66式メーサー砲が開発されて以来、それは止どまる所をを知らないかのように改良され続け、出力が上げられていったが、とうとう15式になってあのゴジラに深刻なダメージを与えるくらい高性能に仕上がっていた。

さて、昨日突如として大阪湾に上陸したゴジラを迎え撃った陸上自衛隊伊丹駐屯地の最新鋭15式大型メーサー砲はゴジラに致命傷を与えた、が、その時ゆっくりと上空に巨大な渦雲が現れ、とても信じ難く誰も見たことのない恐ろしく大掛かりなSF映画の中に放り込まれた様な気がした。
もう誰もがそのSF映画風な壮大な交響詩にただみとれてしまい、それが終わった時にはまるで呆うけた様に立ち尽くしていた。
多分命を落としかけていたゴジラにしても同じ心境だっただろう。もちろん15式メーサー砲 の熱く焼けた砲身も、もう発砲する意思のないことを示す『俯角』になっていた。よく分からないが何か確実で強力な力が凡ゆるものをコントロールし、事態を収束させようとしていたことは誰にも自然に理解できた。だからその結末をだれもが確信できていたのだ。

やがて精気を取り戻したゴジラは大阪湾にゆっくりと姿を消していった。
　
10億年くらい前にできた若い星雲のように見えていた渦雲も綺麗さっぱり消えてしまい、後にゴジラに壊された焼け跡が残ったが、それが後に緑の生い茂る公園になり、ゴジラパークと呼ばれるようになるとは誰も想像できなかった。