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傾城の美女

剰りに間が開きすぎてしまいましたので、多分リクエストして下さった方もお忘れであろうリクエスト品、「傾城の美女」で御座います。

一見して察して頂くには厳しい姿ですが、相当な博識で多国語を操り知性にも溢れていた美人政治家。
唯、その美貌は世界一級ではなく、多分一級品止まり。
しかし、それ以上に彼女を彼女たらしめたのは上記の知識に加え、巧みな話術、旦那様も記録に残す美声の持ち主であったと言う事。
事実、旦那様は彼女の容姿には触れておりません。
プトレマイオス王朝最後のファラオにして、エジプト王国に於いても最後のファラオ、クレオパトラ7世で御座います。

今回描くに辺り恐ろしく難産だったのが、
容姿や姿勢。
次いで服装と装飾。
肌の色となりました。

良く目にするあの髪型はエジプトで流行っていたカツラ。
実際のエジプト人も普段からあの髪型ではなかったそうです。
そして、今回容姿として選んだのは紀元前40年頃のクレオパトラ7世の頭部像で御座います。

次に服装と装飾。
実は面白い説があり、彼女はプトレマイオス王朝の純血統者なのですが、この王朝はギリシャからの渡来人で、その血統を強く残していたと言う事。
加えて、彼女はエジプト風の服装ではなく普段はギリシャ風の服装などを身につけていたという説が御座います。
其れで服装と装飾は決まったのですが、問題はそのギリシャの服装。

紀元前40年頃の服装よりも前や後の時代の服装は記録にあるのですが、何故かこの時期の記録だけが御座いませんでした。
其処で前後の記録の中庸を取り、色はシルク地に高価な染料を必要とする物に。
化粧についてはその儘記録が御座いましたので、孔雀石と紅花辺りの色を採用させて頂きました。

最後の問題が肌の色。
実は良く絵画等で見られる古代ギリシャ人の肌の色は欧州画家の勝手な憧れ。
実際は中東辺りと同じく髪は黒に近しく肌は赤銅色に近かったそうです。
加えて、彼女の妹アルシノエ4世の物らしき遺骨が発見され、其処にアフリカ系の血が混じっていると言う事からやはり肌は白色ではなく褐色系に決定致しました。

唯、像からイラストにした事もあり目が問題に。
最後のおまけがやはり塗装していて最もしっくりした程で御座います。
ポーズは最初の旦那様であるカエサルの代表的立像の一つからその儘。

*兎にも角にも血生臭い事この上もない王朝の血筋を持つ不幸な美女。
親類一同ファラオになろうと必死であった様で、常にお互いの足を引っ張り合い殺し合いをして王朝その物を衰退させた様な物で御座います。
ちなみに、プトレマイオス、クレオパトラの名は代々受け継いできた様で、7世に当たる彼女が一般にクレオパトラと呼ばれてる存在で御座います。
絶世の美女であるとかそうでないとか論争が御座いましたが、妹さんの物らしき遺骨を復顔した所かなりの美人であったらしく、当然姉も極端に顔が違うわけもないと言う事で最低限の美貌は備えていた様です。
しかし、実際カエサルやアントニウスを引きつけたのは知識に裏打ちされた巧みな話術。
何せ、カエサル等は掃いて捨てる程美女を侍らせる事も可能でしたからそれ以上に話の合う方を求めた様です。
そして、息子カエサリオンを設けますが、戦乱の最中殺される事に。
ですが、次の夫であるアントニウスとの間に設けた3人の子は生かされてその姉オクタウィアに預けられ育てられたとか。

彼女が知性に恵まれ話術巧みになったのは生き残るためであり、且つすっかり傾いたエジプトを支える為に自然と身についた物なのかも知れませんね。

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2015-06-29 20:12

 ポテトサラダ


Comments (6)

ふじみのる 2015-06-29 23:48

あれっ?ポテトサラダさん、リクエストとは言え、日頃とはまた打って変わって・・なにか心境の変化でも??いや、うつくしい!

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康佳人 2015-06-29 23:11

アバウトすぎるリクエストに応えていただき感謝しております。 古今東西『傾城の美女』と呼ばれる女性の中どなたを描かれるか楽しみにしておりました。

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こげなみき 2015-06-29 21:36

つまりは、「クレオパトラの鼻がもう少し低かろうと歴史は多分変わらない」と言うところでしょうか

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