スカーレット・ローブス短編集6 《あるきかた・ろく》
前回→illust/51708834
一話→illust/51456460
本編→https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=5460724
イラスト→https://www.pixiv.net/member_illust.php?id=5159036
1
ヴァイン《今アルゲードにいるのだが、美味しい店を探している。名物的な物ががあるなら是非とも教えて欲しいのだが》
アスナ《名物かどうかはわかりませんが以前団長と一緒に《アルゲードそば》という拉麺的なものを食べた事があります》
ヴァイン《確かそれは、キリト君がヒースクリフに食事に誘った時の事だな?》
ヴァイン(あの時は《圏内事件》でアインクラッドが騒いでいたな……とはいえ、あの三人が揃って《アルゲードそば》と口にする辺り、味は期待できるのか?)
アスナ《あ、副団長。もしその《アルゲードそば》を食べに行くなら、是非持ち込んで欲しい物があるんです!
私、攻略でバタバタしてて、それに《アレ》をかけて食べてないんです!》
ヴァイン「アレ?」
アスナ《今からギルド共通ウインドウにアイテムを入れておくので、《試作144・S》という名前のアイテムを取ってください!
それをアルゲードそばにかけて感想を頂いてもよろしいですか?
それから、これから迷宮区に入るので、暫くは返信できないかと思います。休暇、楽しんでくださいね》
ヴァイン「…………」
ヴァイン《了解した》
ギルド共通ウインドウとは、ギルド間のメンバーでストレージ内のアイテム類を共有できる便利なシステムです。
このシステムは個人間でも設定が可能で、SAO第二巻《赤鼻のトナカイ》で出てきます。
ヴァインさんはそのギルド共通タブに触れ、ウインドウを操作。
結晶やポーション等のアイテムをすっ飛ばし、迷いのない手つきで《試作144・S》というアイテムを具現化します。
見ると、それは掌サイズの硝子瓶の中に、茄子の皮のような深い紫色の液体満ちていました。
ヴァイン「あいつが薬の《調合》スキルをセットしているなんて聞いたことがないが……」
食欲を著しく減退させる瓶の中の紫色の液体を見ながら、ヴァインさんはぼそりと呟きました。
ヴァインさんはさっそく《アルゲードそば》なる名物料理を頂くべく、迷宮路地へと入りました。
キリトさんから教えてもらった順番で道を行ったり来たり、曲がったりすること十分程度。
ついにその怪しげな雰囲気が漂う店へとたどり着きました。
で、私たちと出会いました。
ユリア「こんな場所があったなんて……
見た目からしてあまり客が入ってなさそうな店ですけど……本当に大丈夫かな?
日当たりは悪いし、駐車場はないし……地図がなければ絶対迷いそうな所にあるしぃ……これじゃ新規のリピーターを獲得するのは難しそうです……」
イリア「いえいえユリアさん……駐車場はともかく、こんな所で店を構えていてもやっていくという事は、実は逆に味は良い実力店だともかんがえられますわ!
しかも、それを裏付けるかのように……」
私はヴァインさんを見据えると、期待を込めた眼差しで
ヴァイン「んっ?」
イリア「あのヴァインさんまでお忍びで来られる程なんですよ!
大丈夫ですわ!」
ユリア「わぁ、本当だ! 普段は攻略で忙しいヴァインさんのお墨付きがあれば、かなりあじに期待が持てますね、イリアさん!」
ヴァイン(やめろ、私自身の知らないところで色々ハードルを上げるのはッ!!
何故私がする必要もない味への心配をせねばならないんだ……)
2
イリア「ヴァインさん、ごきげんよう……こんな所でお逢いできるなんて珍しいですわね?
攻略へは行かれていないという事は、また《殺人事件》の調査ですか?」
ヴァイン「その言い方だと私は81巻時点で640の人の尊い命が失われた《サンデー》の長寿連載推理漫画の登場人物みたいな物言いだな……」
ヴァイン(キリト君といい、イリア君といい……《私が姿を現す=不吉な事件が発生》という不本意な方程式があるらしい……)
ヴァイン「私用で街を当てもなく散策しているだけなのだがな……いわゆる休暇で。
しかし……こんな物好しかこないような場所にいるという事は、君達も目的は同じなのだろう。
せっかくだ、君達の分もここは私が奢ろう」
イリア「よろしいのですか!?」
ユリア「やったーっ! 私、大豚ダブル、ヤサイマシ、カラメカラメカラメカラメカラメでお願いします!」
ヴァイン「辛さが限界突破してるが大丈夫か……?
ふむ……しかしラーメン二朗か……」
ヴァインさんはラーメン二朗について、ヒースクリフさんとの会話を思い出しました。
ヒースクリフ《ヴァイン君……私はデスゲームになったこの状態だからこそ、このような血盟騎士団の団長をしているが……もしもSAOがこのようなデスゲームになっていなかったとすれば、きっと別の職業についていた筈だ》
ヴァイン《……ほう、今のこの状況こそが、理想だと思っていたのだが、お前になりたかった自分という像があるとは初耳だな。一体どんなものなんだ》
ヒースクリフ《ラーメン屋の店長》
ヴァイン《………………なら、さしずめラーメン屋の店名は《神聖軒》、とでも名乗るか?》
ヒースクリフ《っ!!!》
ヴァイン(あいつ本当に店を構えそうな勢いだったな……)
《それだッ!!》みたいな満更でもない強烈な目力で見られたそうです。
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ヴァイン《今アルゲードにいるのだが、美味しい店を探している。名物的な物ががあるなら是非とも教えて欲しいのだが》
アスナ《名物かどうかはわかりませんが以前団長と一緒に《アルゲードそば》という拉麺的なものを食べた事があります》
ヴァイン《確かそれは、キリト君がヒースクリフに食事に誘った時の事だな?》
ヴァイン(あの時は《圏内事件》でアインクラッドが騒いでいたな……とはいえ、あの三人が揃って《アルゲードそば》と口にする辺り、味は期待できるのか?)
アスナ《あ、副団長。もしその《アルゲードそば》を食べに行くなら、是非持ち込んで欲しい物があるんです!
私、攻略でバタバタしてて、それに《アレ》をかけて食べてないんです!》
ヴァイン「アレ?」
アスナ《今からギルド共通ウインドウにアイテムを入れておくので、《試作144・S》という名前のアイテムを取ってください!
それをアルゲードそばにかけて感想を頂いてもよろしいですか?
それから、これから迷宮区に入るので、暫くは返信できないかと思います。休暇、楽しんでくださいね》
ヴァイン「…………」
ヴァイン《了解した》
ギルド共通ウインドウとは、ギルド間のメンバーでストレージ内のアイテム類を共有できる便利なシステムです。
このシステムは個人間でも設定が可能で、SAO第二巻《赤鼻のトナカイ》で出てきます。
ヴァインさんはそのギルド共通タブに触れ、ウインドウを操作。
結晶やポーション等のアイテムをすっ飛ばし、迷いのない手つきで《試作144・S》というアイテムを具現化します。
見ると、それは掌サイズの硝子瓶の中に、茄子の皮のような深い紫色の液体満ちていました。
ヴァイン「あいつが薬の《調合》スキルをセットしているなんて聞いたことがないが……」
食欲を著しく減退させる瓶の中の紫色の液体を見ながら、ヴァインさんはぼそりと呟きました。
ヴァインさんはさっそく《アルゲードそば》なる名物料理を頂くべく、迷宮路地へと入りました。
キリトさんから教えてもらった順番で道を行ったり来たり、曲がったりすること十分程度。
ついにその怪しげな雰囲気が漂う店へとたどり着きました。
で、私たちと出会いました。
ユリア「こんな場所があったなんて……
見た目からしてあまり客が入ってなさそうな店ですけど……本当に大丈夫かな?
日当たりは悪いし、駐車場はないし……地図がなければ絶対迷いそうな所にあるしぃ……これじゃ新規のリピーターを獲得するのは難しそうです……」
イリア「いえいえユリアさん……駐車場はともかく、こんな所で店を構えていてもやっていくという事は、実は逆に味は良い実力店だともかんがえられますわ!
しかも、それを裏付けるかのように……」
私はヴァインさんを見据えると、期待を込めた眼差しで
ヴァイン「んっ?」
イリア「あのヴァインさんまでお忍びで来られる程なんですよ!
大丈夫ですわ!」
ユリア「わぁ、本当だ! 普段は攻略で忙しいヴァインさんのお墨付きがあれば、かなりあじに期待が持てますね、イリアさん!」
ヴァイン(やめろ、私自身の知らないところで色々ハードルを上げるのはッ!!
何故私がする必要もない味への心配をせねばならないんだ……)
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イリア「ヴァインさん、ごきげんよう……こんな所でお逢いできるなんて珍しいですわね?
攻略へは行かれていないという事は、また《殺人事件》の調査ですか?」
ヴァイン「その言い方だと私は81巻時点で640の人の尊い命が失われた《サンデー》の長寿連載推理漫画の登場人物みたいな物言いだな……」
ヴァイン(キリト君といい、イリア君といい……《私が姿を現す=不吉な事件が発生》という不本意な方程式があるらしい……)
ヴァイン「私用で街を当てもなく散策しているだけなのだがな……いわゆる休暇で。
しかし……こんな物好しかこないような場所にいるという事は、君達も目的は同じなのだろう。
せっかくだ、君達の分もここは私が奢ろう」
イリア「よろしいのですか!?」
ユリア「やったーっ! 私、大豚ダブル、ヤサイマシ、カラメカラメカラメカラメカラメでお願いします!」
ヴァイン「辛さが限界突破してるが大丈夫か……?
ふむ……しかしラーメン二朗か……」
ヴァインさんはラーメン二朗について、ヒースクリフさんとの会話を思い出しました。
ヒースクリフ《ヴァイン君……私はデスゲームになったこの状態だからこそ、このような血盟騎士団の団長をしているが……もしもSAOがこのようなデスゲームになっていなかったとすれば、きっと別の職業についていた筈だ》
ヴァイン《……ほう、今のこの状況こそが、理想だと思っていたのだが、お前になりたかった自分という像があるとは初耳だな。一体どんなものなんだ》
ヒースクリフ《ラーメン屋の店長》
ヴァイン《………………なら、さしずめラーメン屋の店名は《神聖軒》、とでも名乗るか?》
ヒースクリフ《っ!!!》
ヴァイン(あいつ本当に店を構えそうな勢いだったな……)
《それだッ!!》みたいな満更でもない強烈な目力で見られたそうです。
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2015-08-10 19:36
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