日艦これくしょん(35)
南西諸島海域進軍中、その戦闘中電ちゃんは被弾、大破していた。
本来練度が低い駆逐ちゃん達のレベリングのため、程々の手加減を敵側に要請していたのだが、他方からの流れ深海棲艦が乱入、こちらは大きな痛手を負っていた。
大破した電ちゃんを守るようにして戦う駆逐ちゃん達。しかしその奮戦虚しく一人また一人と戦闘不能となっていく。そろそろ私の乗ってる船にも弾が飛んできはじめた。数発が頬をかすめる。
その時だった。同伴していた川内ちゃんの心臓部に弾が直撃したのだ。艤装を付けている状態なので人よりは丈夫となっている物の、やはり未だ人間ではある彼女。すぐに撤退して処置をしなければいけない状態だが、流れは返してくれる気は毛頭無いようだ。
私は最高練度の鳳翔さんに敵の相手を頼み、川内ちゃんと応急手当に取り掛かる。しかし現在闘えるのは鳳翔さんのみ。私の安全など無いに等しかった。戦艦の砲台が私を捉え、弾が発射された。鳳翔さんの死角となっていたところから撃たれた弾丸は私めがけて飛んでくる。被弾すれば私も海の藻屑となるだろう。
自分の命は自分で守れ。どうやら私は、海の掟を守りきれなかったようだ。自分の死を悟りせてもの彼女達の無事を願う。
…しかしいつまでたっても死なない。目を開けるとそこには翼を付けおおよそ艦とは言い難い天使のような風貌で立つ電ちゃんの姿があった。周りには光球が浮かび、それは質量を持っているかのごとく弾を相殺していく。彼女の目は金色を湛え、その顔には表情は無かった。
「…昇華…?」
昇華。艦としての意思、人としての意思が極限までシンクロすると起こると言われる奇跡である。観測例はほとんど無く、目にした者達も皆記憶があやふやで、正確なことはわかっていない。だが、本来器に入るはずの量を凌駕する魂がその肉体に混在していることは誰の目からも明らかだろう。神は触れ方によりいくつもの顔を見せるという。昇華とは、人も艦も超え神の域に近付こうとする禁忌なのかもしれない。
本来練度が低い駆逐ちゃん達のレベリングのため、程々の手加減を敵側に要請していたのだが、他方からの流れ深海棲艦が乱入、こちらは大きな痛手を負っていた。
大破した電ちゃんを守るようにして戦う駆逐ちゃん達。しかしその奮戦虚しく一人また一人と戦闘不能となっていく。そろそろ私の乗ってる船にも弾が飛んできはじめた。数発が頬をかすめる。
その時だった。同伴していた川内ちゃんの心臓部に弾が直撃したのだ。艤装を付けている状態なので人よりは丈夫となっている物の、やはり未だ人間ではある彼女。すぐに撤退して処置をしなければいけない状態だが、流れは返してくれる気は毛頭無いようだ。
私は最高練度の鳳翔さんに敵の相手を頼み、川内ちゃんと応急手当に取り掛かる。しかし現在闘えるのは鳳翔さんのみ。私の安全など無いに等しかった。戦艦の砲台が私を捉え、弾が発射された。鳳翔さんの死角となっていたところから撃たれた弾丸は私めがけて飛んでくる。被弾すれば私も海の藻屑となるだろう。
自分の命は自分で守れ。どうやら私は、海の掟を守りきれなかったようだ。自分の死を悟りせてもの彼女達の無事を願う。
…しかしいつまでたっても死なない。目を開けるとそこには翼を付けおおよそ艦とは言い難い天使のような風貌で立つ電ちゃんの姿があった。周りには光球が浮かび、それは質量を持っているかのごとく弾を相殺していく。彼女の目は金色を湛え、その顔には表情は無かった。
「…昇華…?」
昇華。艦としての意思、人としての意思が極限までシンクロすると起こると言われる奇跡である。観測例はほとんど無く、目にした者達も皆記憶があやふやで、正確なことはわかっていない。だが、本来器に入るはずの量を凌駕する魂がその肉体に混在していることは誰の目からも明らかだろう。神は触れ方によりいくつもの顔を見せるという。昇華とは、人も艦も超え神の域に近付こうとする禁忌なのかもしれない。
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2015-10-05 21:53
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BGM:翔べフリーダム