今日の超を見て(感想兼小話)
予習済みとはいえ、見たあと30分くらい涙がとまりませんでした。(これはブラック(ザマス)さんが殺されるパターンかもしれないと思った。)
こんなことは数年ぶりです。
というわけで、性懲りもなくバッドエンド要素が強すぎる小話を投げます。
設定はややアニメよりなので、これは外伝とします。
先日の続きはもっといいものになるはず…。
10月21日漫画デイリーランキング324位になりました!ありがとうございます!
・・・・・・・・
青白い光が見える。
今までに見たどんな力よりも…美しい。
自分は負けた。
熟す前に落ちてしまう果実が脳裏に浮かぶ。
(そうか…。
…せめて、背後だけは。)
この一撃から護らなくては。
自分と違い、悟空は気の性質を都合よく(例えば、標的以外には害を与えない)変えられないから。
咄嗟に気をため、手を伸ばす。
触れたところから焼き尽くされるが、熱さは感じなかった。
(…今まで、ありがとう。)
誰に対してか分からない謝意を伝え、何も分からなくなった。
・・・・・・・・
全てが静まる。
ブラックはもう身じろぎもしない。
「…終わった…。」
人間は救われたのだ。
とはいえ、このかめはめ波に妻子を殺された私怨が混じっていなかったと言ったら大嘘になる。
…その場に降りようとした時、だ。
物陰から、黒い猫が飛び出してきた。
・・・・・・・
かつて「黒」だった何かが、そこに横たわっている。
「みゃあ!」
黒!
黒は、微かにまぶたを開く。
「……!
…お前、と、行動を…共に出来、て……私、は……幸…福だった…。」
黒は笑った。何事もないように。
「…!?」
まるで、それが最期みたいじゃないか!!
世界を助けるんだろう!?
「…全て、は……私の、誤りだ。
せめて、もっと……前に……済まな、い……。
……どう…か、生きて……幸せ、に…。」
黒は静かになった。
…苦しみから、少し解き放たれたような…。
「…みゃあ?」
…黒?
触って、やっと分かる。
黒は死んだ。
スタッ
驚いて背後を見ると、そこには黒にそっくりな奴が立っていた。
確か孫悟空とかいった筈だ。
自分が黒のそばにいることに、それこそ驚いている。
「………あ……。」
「………。」
へぇ…あれは嘘だったんだ。
本能的に、低く体勢を整える。
その顔を見て、やっと思い出した。
「………ごめん…。
おら……。」
このあいだ約束していたのに。
ブラックを助けると。
「…フウッ!」
だったら、今すぐ………黒の命を返せ!!!!
「……そりゃあ…。」
だが、もしブラックを…そんなことをすれば、トランクスがまた大変な目にあうかもしれない。
考えるまもなく猫は飛びかかり、悟空の喉笛に噛みつく。
「わ、分かった!!
…ブラックの命、ちゃんと返すから……何とか…その…説得できねぇか?」
言ったのは、微かに血がにじんだ時だった。
「みゃあ?」
…ほんとかい?
「ああ。
…さっきは、本当にごめんな。
でも、おらだってブラックに………。」
「みゃあ?」
あんたは優しいんだろう?
……なら、何で私の黒を!
「いくらなんでも……限度ってやつがある。
おめぇだって、ブラックをやったおらを殺してぇだろ?
…普段はともかく。」
猫は、ブラックを見て黙ってしまった。
それから
「…。」
黒、さっき自分が間違ったっていってた。
だから、たぶん…説得は出来るよ。
そう答えた。
「…有り難な。」
すると、悟空は猫とブラックに触れて瞬間移動した。
・・・・・・
…目を開けると、暗い空を背後にした猫がいた。
自分は…
「……?」
死んだはずではなかったか。
「みゃあ!」
良かった!!
すかさず抱きついてくる。
「…猫…。」
…あたたかい。
「ブラック、良かったな。」
いつになく固い声がした。
「孫悟空……さん?
…何故……。」
思わず、話し方に地が出る。
「おら、おめぇに内緒で猫と、おめぇを助ける約束してたんだけど………破っちまったから……。」
語尾が空気に消えそうだ。
「…猫よ…それは、本当か?
私に、そこまで…。」
「みゃあ!」
あったりまえじゃないか!
私は、あんたのためなら何だってするんだからね。
猫の答えに…思わず、涙が出てくる。
この姿になってから何度目かは分からないが、これまでの涙よりも、ずっと温かかった。
「悟空さん……………あの時は、申し訳ございませんでした。」
「…謝ってくれんのは、いいけど…赦せそうにねぇや。」
正直なところを言った。
「………そうですか…。」
すると、ブラックは立ち上がる。
「何だ?」
咄嗟に警戒する。
「…全王さまのお裁きをいただかねば。
しばらく、猫をお預かりいただけますか?」
話が急だ。
「え…裁き?」
「はい。」
「みゃあ!」
私も行く!もう離れ離れなんてやだよ!!
「しかし……全王さまは……。」
やろうと思えば、全てを破壊できてしまうお方だ。
自分の裁きで、猫の命まで奪われては本末転倒である。
「みゃあ!」
そいつがどんなのかは知らないけど、私がいればきっと赦してくれるさ!
どこからそんな自信が湧いてくるのだろうか。
それを聞いて、ブラックも悟空も……。
・・・・・・
結果を言おう。
ブラックは猫のお陰もあって、条件付きで第10宇宙の界王神になることができた。
また、あれから悟空と少し親しくなった。
組手をよくやる。
ところで、裁きでは
「君、すっごく可愛いのね!
ザマスくんを頼むね!」
猫が全王に意味深なことを言われた。
・・・・・
その方針は、ゴワスとは異なる。
確かにあの頃の自分は、間違っていたけれど……やはり、もっと界王神は下界と関わるべきだ。
もしかしたら、それで世界もその生き物も助かるかもしれないから。
それを心に秘め、今日もブラックは下界を見回る。
「…あれは!」
「みゃあ。」
おや…?確か、あれいけないよね。
最近、少し法に詳しくなった猫。耳にポタラをつけている。
「うむ…とめなければ。」
ブラックは、その場に駆けていった。
「待ちなさい!
捕獲をやめなければ………宇宙法にもとづき、私があなたがたを断罪します!」
決めての一喝が…辺りに響く。
完
こんなことは数年ぶりです。
というわけで、性懲りもなくバッドエンド要素が強すぎる小話を投げます。
設定はややアニメよりなので、これは外伝とします。
先日の続きはもっといいものになるはず…。
10月21日漫画デイリーランキング324位になりました!ありがとうございます!
・・・・・・・・
青白い光が見える。
今までに見たどんな力よりも…美しい。
自分は負けた。
熟す前に落ちてしまう果実が脳裏に浮かぶ。
(そうか…。
…せめて、背後だけは。)
この一撃から護らなくては。
自分と違い、悟空は気の性質を都合よく(例えば、標的以外には害を与えない)変えられないから。
咄嗟に気をため、手を伸ばす。
触れたところから焼き尽くされるが、熱さは感じなかった。
(…今まで、ありがとう。)
誰に対してか分からない謝意を伝え、何も分からなくなった。
・・・・・・・・
全てが静まる。
ブラックはもう身じろぎもしない。
「…終わった…。」
人間は救われたのだ。
とはいえ、このかめはめ波に妻子を殺された私怨が混じっていなかったと言ったら大嘘になる。
…その場に降りようとした時、だ。
物陰から、黒い猫が飛び出してきた。
・・・・・・・
かつて「黒」だった何かが、そこに横たわっている。
「みゃあ!」
黒!
黒は、微かにまぶたを開く。
「……!
…お前、と、行動を…共に出来、て……私、は……幸…福だった…。」
黒は笑った。何事もないように。
「…!?」
まるで、それが最期みたいじゃないか!!
世界を助けるんだろう!?
「…全て、は……私の、誤りだ。
せめて、もっと……前に……済まな、い……。
……どう…か、生きて……幸せ、に…。」
黒は静かになった。
…苦しみから、少し解き放たれたような…。
「…みゃあ?」
…黒?
触って、やっと分かる。
黒は死んだ。
スタッ
驚いて背後を見ると、そこには黒にそっくりな奴が立っていた。
確か孫悟空とかいった筈だ。
自分が黒のそばにいることに、それこそ驚いている。
「………あ……。」
「………。」
へぇ…あれは嘘だったんだ。
本能的に、低く体勢を整える。
その顔を見て、やっと思い出した。
「………ごめん…。
おら……。」
このあいだ約束していたのに。
ブラックを助けると。
「…フウッ!」
だったら、今すぐ………黒の命を返せ!!!!
「……そりゃあ…。」
だが、もしブラックを…そんなことをすれば、トランクスがまた大変な目にあうかもしれない。
考えるまもなく猫は飛びかかり、悟空の喉笛に噛みつく。
「わ、分かった!!
…ブラックの命、ちゃんと返すから……何とか…その…説得できねぇか?」
言ったのは、微かに血がにじんだ時だった。
「みゃあ?」
…ほんとかい?
「ああ。
…さっきは、本当にごめんな。
でも、おらだってブラックに………。」
「みゃあ?」
あんたは優しいんだろう?
……なら、何で私の黒を!
「いくらなんでも……限度ってやつがある。
おめぇだって、ブラックをやったおらを殺してぇだろ?
…普段はともかく。」
猫は、ブラックを見て黙ってしまった。
それから
「…。」
黒、さっき自分が間違ったっていってた。
だから、たぶん…説得は出来るよ。
そう答えた。
「…有り難な。」
すると、悟空は猫とブラックに触れて瞬間移動した。
・・・・・・
…目を開けると、暗い空を背後にした猫がいた。
自分は…
「……?」
死んだはずではなかったか。
「みゃあ!」
良かった!!
すかさず抱きついてくる。
「…猫…。」
…あたたかい。
「ブラック、良かったな。」
いつになく固い声がした。
「孫悟空……さん?
…何故……。」
思わず、話し方に地が出る。
「おら、おめぇに内緒で猫と、おめぇを助ける約束してたんだけど………破っちまったから……。」
語尾が空気に消えそうだ。
「…猫よ…それは、本当か?
私に、そこまで…。」
「みゃあ!」
あったりまえじゃないか!
私は、あんたのためなら何だってするんだからね。
猫の答えに…思わず、涙が出てくる。
この姿になってから何度目かは分からないが、これまでの涙よりも、ずっと温かかった。
「悟空さん……………あの時は、申し訳ございませんでした。」
「…謝ってくれんのは、いいけど…赦せそうにねぇや。」
正直なところを言った。
「………そうですか…。」
すると、ブラックは立ち上がる。
「何だ?」
咄嗟に警戒する。
「…全王さまのお裁きをいただかねば。
しばらく、猫をお預かりいただけますか?」
話が急だ。
「え…裁き?」
「はい。」
「みゃあ!」
私も行く!もう離れ離れなんてやだよ!!
「しかし……全王さまは……。」
やろうと思えば、全てを破壊できてしまうお方だ。
自分の裁きで、猫の命まで奪われては本末転倒である。
「みゃあ!」
そいつがどんなのかは知らないけど、私がいればきっと赦してくれるさ!
どこからそんな自信が湧いてくるのだろうか。
それを聞いて、ブラックも悟空も……。
・・・・・・
結果を言おう。
ブラックは猫のお陰もあって、条件付きで第10宇宙の界王神になることができた。
また、あれから悟空と少し親しくなった。
組手をよくやる。
ところで、裁きでは
「君、すっごく可愛いのね!
ザマスくんを頼むね!」
猫が全王に意味深なことを言われた。
・・・・・
その方針は、ゴワスとは異なる。
確かにあの頃の自分は、間違っていたけれど……やはり、もっと界王神は下界と関わるべきだ。
もしかしたら、それで世界もその生き物も助かるかもしれないから。
それを心に秘め、今日もブラックは下界を見回る。
「…あれは!」
「みゃあ。」
おや…?確か、あれいけないよね。
最近、少し法に詳しくなった猫。耳にポタラをつけている。
「うむ…とめなければ。」
ブラックは、その場に駆けていった。
「待ちなさい!
捕獲をやめなければ………宇宙法にもとづき、私があなたがたを断罪します!」
決めての一喝が…辺りに響く。
完
16
8
758
2016-10-20 22:18
Comments (24)
泣いちゃったんですね(泣)私もびっくりしましたよ。悟空さんがどう落とし前をつけるのか、どう赦すのか気になりますね。
View Repliesがんばってください!
View Repliesおぉ、素敵ですね
View Repliesナズズさん絵うまいなぁ
View Replies素晴らしい話とイラストを書いて下さり有難う御座います。 次回も楽しみに待っています。
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