泣く女
瀧はあれから、ずっと絵を描き続けてきた・・三葉の町の風景を
「そうか、岐阜の飛騨のほうが可能性が高いよな・・・よしっ!・・・って思ったけど、今更 三葉に会いに行ったところでどうなるってんだよ?・・・迷惑になるだけなんじゃないのか?」
「へぇーうまいじゃない!!ここに行った事あんの?お兄さん」
びっくりして振り返ると男性が立っていた、
瀧の描いた三葉の町の風景を とても興味深く眺めている
「い、いえ・・行ったことはないんですけど」
「その割には細かく描いてるよねぇー、まるで行ったことがあるみたいに・・」
「そうなんですけど、それは中身だけっていうか・・・」
「中身?」
「あ、いや・・・詳しく話しても、信じてくれないのはわかってます、ですから忘れてください!!」
「そういう事を聞くとますます聞きたくなっちゃうんだよねー、俺そういうのすっげー興味あんのよ、絶対馬鹿にしたりしないから話してくれないかな?それに悩める少年の相談相手になるのは、年長者のつとめでしょ?」
瀧はその男性の どこか飄々とした雰囲気に惹かれるところがあり、
この人になら話しても良さそうだと感じた、そして今まで起こった事を話した
「・・・というわけなんですけど」
「なるほどねぇー、入れ替わりか!!うん、あるある!!」
「あるんですか?」
「うん!!俺も昔急にスーパーミュータントのフォークスとかいうのになったことがあるし・・・なんでも前世は『fallout3』の世界の住人だったとか・・・前世の自分と現在の自分の中身だけが入れ替わるってのはあったよ!だからその話も嘘じゃないって」
「は、はぁ・・・」
「もっとすごい話してやろうか?俺さぁ、中学生の頃、地球を破壊するっていう『超生物』に会ったのよ、しかもそいつが担任だったんだよ?・・マッハ20で動けて、ミサイルや銃弾も通じない最強の怪物を俺たちのクラスで暗殺したの!そして地球を救ったという・・・どぉ?この話、あんた信じるか?」
「・・・・」瀧は頭が真っ白になりそうだった
「うんうん、そう来ると思った たいていはそういうリアクションが来るよ、だけどね・・誰がどう思おうとこれは真実なんだよ、そして君の話も真実だ 俺はそう直感したから君に話しかけたんだよ 君も何か心に引っかかるものがあって、これを描いたんじゃない?」
瀧は男性の目を見たが、それは本当に嘘ではないと告げているようだった
この人になら 自分の素直な気持ちをぶつけてもいいと思った
「実は・・・この行ったことのない町に僕と入れ替わった女の子が住んでるんですけど、急にその子と連絡がつかなくなって・・・それで会いに行ったほうがいいのか、それとも、彼女のこのまま別れたほうがいいんじゃないかとも思ったりして・・でも、一度だけでもいい・・会ってみたいという気持ちが強いんです・・・会うべきか、会わないべきか・・どっちが正しいと思いますか?」
「それはね・・・君の選んだ道が正しいんだよ」
「え!?」
「道ってさ、結局は一つにつながっていくんだよね、その道はどういう道かというと・・たとえば自分が幸せになる道・・とかね?左の道か、右の道か、どっちかを選んだほうが正解なのか・・・どっちを選んでも、結局はその一つの道につながっていくわけだから、どっちが間違いとかじゃないの、どっちも正解なの・・・だから君が好きな道を選んだほうが正解なんだよ」
瀧は急に胸のつかえがとれた気がした
「どっちも正解・・・俺の選んだ答えが最善の道なんですね」
「そういう事!お、いい顔になってきたね少年!!若いうちは迷わずドンと構えて進めばいいんだよ!!無茶できるのは若いうちだけなんだから!三十過ぎていいカッコしようなんざ、落ち目になった証拠だからね!」
「ありがとうございます・・!!お兄さんってすごいんですね!」
「たはは、実はこれもあるやつの受け売りでね、俺が中学三年の頃にどういうわけか、俺たちの学校に毎日遊びに来る変わり者がいたのよ、そいつったら、毎日バカな事をやっちゃ、周りを騒動に巻き込むのが好きなトラブルメーカーでね、よくもまあ、こんなバカな事を次から次へと考えつくもんだとあきれてたけど・・・時々やけに鋭い事を言ったりして、あなどれない一面もあったな・・そいつ、絵が好きでね、はっきり言ってへたくそなんだけど、本人は純粋に好きみたいだった・・いつもギャーギャーうるさいくせに、絵を描いてる時だけは黙って黙々と描いてたな・・・どういうわけか、クラス全員の誕生日を覚えてたりして、俺も自分が気が付かないうちにスケッチされていたっけ・・・あのころが懐かしいなぁ・・!」
「その人はどうしたんですか?」
「俺たちが卒業すると同時にいなくなっちまった・・・どういうわけか、顔も名前も忘れちまった・・・あんなに強烈なキャラクターを忘れるなんてどうしちまったのかと思ったけど・・・担任の先生も同時になくしてさ、しばらくは茫然としてたけど、今になって見れば思うんだ・・・あの頃のことは決して無駄なことじゃないって・・・あの時の経験があるから、今の俺がある!だから、君も迷わずに自分の行きたい道を行けばいいさ!結果は後からついてくる!!」
「はい・・!!ありがとうございます!!」
「がんばれよ少年!!」男性は親指を立てて、去っていった
「・・・今の人って」振り返ると奥寺ミキが立っていた
「あ、奥寺先輩!!どうしてここに?」
「君に伝言を伝えに来たわ、オーナーからのね『お前のストレスが完全になくなるまで出勤は禁止じゃ、クビというわけじゃないぞ?心がすっきりしたら戻ってこい、わしも一から従業員を探すのはまっぴらごめんじゃからのう』ってね・・!」
「・・・・え?」
「その様子じゃ、私が言うまでもなく自分がどうすべきか見つけたんでしょ?さすが菅谷画伯ね」
「菅谷画伯って・・・菅谷創介さん!?ええええええーー!!!気が付かなかったぁー!!俺、あの人の描く絵にあこがれて美術に興味持ったんです!!サインもらっておくんだったぁー!!」
「うふふ、それは残念だったわね・・・でも瀧くん、君にはまずやるべきことがあるんじゃない?」
「あ・・・!そうでした!先輩、俺明日からしばらく旅に出ますから!!俺の抜けた穴は何とかして埋めるとオーナーに伝えておいてください!!それでは失礼します!!菅谷さん!ありがとうございましたー!!」
瀧は大声で叫びながら、走り去っていった
「・・・いいわねぇ、若いって・・私も困ってるのよ、瀧くんの事が放っておけなくて・・・でも私からついていくわけにはいかないし・・・どうしたもんかしらねえ?」ミキは苦笑しながら煙草に火をつけた
「そうか、岐阜の飛騨のほうが可能性が高いよな・・・よしっ!・・・って思ったけど、今更 三葉に会いに行ったところでどうなるってんだよ?・・・迷惑になるだけなんじゃないのか?」
「へぇーうまいじゃない!!ここに行った事あんの?お兄さん」
びっくりして振り返ると男性が立っていた、
瀧の描いた三葉の町の風景を とても興味深く眺めている
「い、いえ・・行ったことはないんですけど」
「その割には細かく描いてるよねぇー、まるで行ったことがあるみたいに・・」
「そうなんですけど、それは中身だけっていうか・・・」
「中身?」
「あ、いや・・・詳しく話しても、信じてくれないのはわかってます、ですから忘れてください!!」
「そういう事を聞くとますます聞きたくなっちゃうんだよねー、俺そういうのすっげー興味あんのよ、絶対馬鹿にしたりしないから話してくれないかな?それに悩める少年の相談相手になるのは、年長者のつとめでしょ?」
瀧はその男性の どこか飄々とした雰囲気に惹かれるところがあり、
この人になら話しても良さそうだと感じた、そして今まで起こった事を話した
「・・・というわけなんですけど」
「なるほどねぇー、入れ替わりか!!うん、あるある!!」
「あるんですか?」
「うん!!俺も昔急にスーパーミュータントのフォークスとかいうのになったことがあるし・・・なんでも前世は『fallout3』の世界の住人だったとか・・・前世の自分と現在の自分の中身だけが入れ替わるってのはあったよ!だからその話も嘘じゃないって」
「は、はぁ・・・」
「もっとすごい話してやろうか?俺さぁ、中学生の頃、地球を破壊するっていう『超生物』に会ったのよ、しかもそいつが担任だったんだよ?・・マッハ20で動けて、ミサイルや銃弾も通じない最強の怪物を俺たちのクラスで暗殺したの!そして地球を救ったという・・・どぉ?この話、あんた信じるか?」
「・・・・」瀧は頭が真っ白になりそうだった
「うんうん、そう来ると思った たいていはそういうリアクションが来るよ、だけどね・・誰がどう思おうとこれは真実なんだよ、そして君の話も真実だ 俺はそう直感したから君に話しかけたんだよ 君も何か心に引っかかるものがあって、これを描いたんじゃない?」
瀧は男性の目を見たが、それは本当に嘘ではないと告げているようだった
この人になら 自分の素直な気持ちをぶつけてもいいと思った
「実は・・・この行ったことのない町に僕と入れ替わった女の子が住んでるんですけど、急にその子と連絡がつかなくなって・・・それで会いに行ったほうがいいのか、それとも、彼女のこのまま別れたほうがいいんじゃないかとも思ったりして・・でも、一度だけでもいい・・会ってみたいという気持ちが強いんです・・・会うべきか、会わないべきか・・どっちが正しいと思いますか?」
「それはね・・・君の選んだ道が正しいんだよ」
「え!?」
「道ってさ、結局は一つにつながっていくんだよね、その道はどういう道かというと・・たとえば自分が幸せになる道・・とかね?左の道か、右の道か、どっちかを選んだほうが正解なのか・・・どっちを選んでも、結局はその一つの道につながっていくわけだから、どっちが間違いとかじゃないの、どっちも正解なの・・・だから君が好きな道を選んだほうが正解なんだよ」
瀧は急に胸のつかえがとれた気がした
「どっちも正解・・・俺の選んだ答えが最善の道なんですね」
「そういう事!お、いい顔になってきたね少年!!若いうちは迷わずドンと構えて進めばいいんだよ!!無茶できるのは若いうちだけなんだから!三十過ぎていいカッコしようなんざ、落ち目になった証拠だからね!」
「ありがとうございます・・!!お兄さんってすごいんですね!」
「たはは、実はこれもあるやつの受け売りでね、俺が中学三年の頃にどういうわけか、俺たちの学校に毎日遊びに来る変わり者がいたのよ、そいつったら、毎日バカな事をやっちゃ、周りを騒動に巻き込むのが好きなトラブルメーカーでね、よくもまあ、こんなバカな事を次から次へと考えつくもんだとあきれてたけど・・・時々やけに鋭い事を言ったりして、あなどれない一面もあったな・・そいつ、絵が好きでね、はっきり言ってへたくそなんだけど、本人は純粋に好きみたいだった・・いつもギャーギャーうるさいくせに、絵を描いてる時だけは黙って黙々と描いてたな・・・どういうわけか、クラス全員の誕生日を覚えてたりして、俺も自分が気が付かないうちにスケッチされていたっけ・・・あのころが懐かしいなぁ・・!」
「その人はどうしたんですか?」
「俺たちが卒業すると同時にいなくなっちまった・・・どういうわけか、顔も名前も忘れちまった・・・あんなに強烈なキャラクターを忘れるなんてどうしちまったのかと思ったけど・・・担任の先生も同時になくしてさ、しばらくは茫然としてたけど、今になって見れば思うんだ・・・あの頃のことは決して無駄なことじゃないって・・・あの時の経験があるから、今の俺がある!だから、君も迷わずに自分の行きたい道を行けばいいさ!結果は後からついてくる!!」
「はい・・!!ありがとうございます!!」
「がんばれよ少年!!」男性は親指を立てて、去っていった
「・・・今の人って」振り返ると奥寺ミキが立っていた
「あ、奥寺先輩!!どうしてここに?」
「君に伝言を伝えに来たわ、オーナーからのね『お前のストレスが完全になくなるまで出勤は禁止じゃ、クビというわけじゃないぞ?心がすっきりしたら戻ってこい、わしも一から従業員を探すのはまっぴらごめんじゃからのう』ってね・・!」
「・・・・え?」
「その様子じゃ、私が言うまでもなく自分がどうすべきか見つけたんでしょ?さすが菅谷画伯ね」
「菅谷画伯って・・・菅谷創介さん!?ええええええーー!!!気が付かなかったぁー!!俺、あの人の描く絵にあこがれて美術に興味持ったんです!!サインもらっておくんだったぁー!!」
「うふふ、それは残念だったわね・・・でも瀧くん、君にはまずやるべきことがあるんじゃない?」
「あ・・・!そうでした!先輩、俺明日からしばらく旅に出ますから!!俺の抜けた穴は何とかして埋めるとオーナーに伝えておいてください!!それでは失礼します!!菅谷さん!ありがとうございましたー!!」
瀧は大声で叫びながら、走り去っていった
「・・・いいわねぇ、若いって・・私も困ってるのよ、瀧くんの事が放っておけなくて・・・でも私からついていくわけにはいかないし・・・どうしたもんかしらねえ?」ミキは苦笑しながら煙草に火をつけた
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2016-10-26 19:21
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