妖怪道五十三次之内 庄野:白鳥凱旋
庄野の宿は、まるで天の底が抜けたような豪雨が降りしきっている。肌をさす雨粒はまるで小石のように痛みを伴う。どんよりと重苦しい黒雲の間に、キラリと光るものが見えた。あれは確かに白鳥だった。黒雲の渦の中を悠々と飛んでいく様は、神々しささえ感じる。つい見とれてしまったが、それがありえないことであると気づいたのは、豪雨が降り止んだ後のことだった。
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2016-12-01 21:00
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