弱音を吐いた、江波ん蹴り音

『ぴあのでかたる、こころのかたむき』

すず「何やら難しいねえ、うちにはちょっと早すぎたんかな？でも、変じゃねえ あの東京から来た行商のおっさんの顔と名前いつまでたっても覚えられんし・・・おっさんの話むずかしすぎるし、このぴあのを弾く女の子の話の本ちょうだいって言ってもまだ早いって言われるし・・・うちもはよう大人になりたいなーこの曲こうやって歌うん？ざーんーこくなー、てんしーのよーにー♪しょーねーんよ、しんわになれー♪」

相模屋「『真にピアニッシモ(最弱音)が実現されれば、フォルテ(強音)はいらない』という言葉があってね、大きくて強い音は派手で心に残るように思うけど、実は威嚇(いかく)することしかできない、しかしピアノのような弱い音でも、豊かな静けさであれば心に残るということだよ 『北風と太陽』ってわかるかな？これは人と人との会話も同じ、強く攻撃的な言い方をすれば、相手はかえって自分の殻に閉じこもってしまう それよりも相手の事を理解し、優しく、礼節、丁寧に、懇意を持って話をすることが大切なんだよ・・・私もわかっていてもそれがなかなかできないからね・・・それが人間の弱さってやつさ・・・ああ、君には早すぎたのはわかってる、だけどね、いつかきっとわかってくれると思うんだ・・・・この昭和十三年の時代、ピアノはあったかな？まあいいや、また会おう すずちゃん」