【PRWHS】憂国の民はペンを握りて【ティカ】

愛国心故に、心を傷めた。
ペンでだって、戦える。

フーディエ修業パートのこともございますが、シュービル社が動いております故、ティカだけ前倒しで。
ティカの微妙な立ち位置だからこそ、出来ることがあるに違いないと思った彼女は……

苦労人illust/63167614

元子爵令嬢、
元宰相候補者の娘。

帝国領内の惑星ナポレターノを故郷とする彼女は、かの国の行く末を案じていた。

(いざ侵略を目の当たりにすると……ヘカテーの皆さんの思いが、理解できる気がする)

月へと向かう最中、ティカは夢中で万年筆を走らせていた。

(同郷の人達……いや、それ以外の全ての人達とも、願わくば命のやり取りなんか……今は無茶かもしれないけど、このままではいけない……遅かれ早かれ、誰かが神帝陛下をお諌めしなければ……誰かが一石を投じなきゃ……)

穏健派で知られた代議士だった彼女の父が乗り移ったかのように、ティカは一字一句に魂を込める。

『偉大なる神帝陛下、このような形での御奏上を御無礼申し上げます。

単刀直入に申し上げさせて頂きますが、陛下が惑星ジオに向けて振り上げられた矛を、何卒納めて頂きたくお願い申し上げます。

陛下のお志が巍然としておられます事は十二分に承知致しているところでは御座います。なれど帝国臣民も、またジオの民も、その多くは戦を望まぬ者達ばかり。争いが幾重にも重なり、母なる宇宙(うみ)を数多の血で汚(けが)すことは、陛下の本意ではないと存じます。

戦で事を進めれば少なからず禍根が残り、いずれその禍根は濁流となって帝国全土を巻き込む事態にも繋りかねません。

ここは陛下の広く深き真心と慈愛を以て、全ての民をお救い頂きますよう何卒、重ねてよろしくお願い申し上げます。

～憂国の民～

』