【PFRD】無銘の槍を掲げよ【忌むべき王の戦場】

我は死んだ
あの荒廃の地で
因果を渡りこの地へ来た

懐かしい声に惹かれたら友が戦っていた
並び立った
かつてのように

傷だらけの友に最後の牙を届けた
もはや我がなすべきことはのこりひとつとなった
生者には任せられん
頼れないからではない信じられないからではない
その道が死の道だからだ

かの大剣が突き刺さっても
鉄火の矢はまだ降り注ぐだろう
足元にも何かあるかも知れない

だから逝こう
我が逝こう
死者たる我がいくら傷を負おうと関係ない
もはや塵へ帰る身なのだから

友とも最後の言葉を交わす
よくぞ覚えていてくれた友よ
よくぞ立ち上がってくれた戦友よ

先に逝くぞ
後から来い
数時間後でも数百年後でも構わん
先にあの世で酒を傾けているぞ

お前たちの勝利の雄叫びを肴にな

復活者と呼ばれるものよ
我が身に宿る怨念よ
もはや止まらぬぞ
我は止まらぬ
残ったニ肢を砕かれても、装甲を破られても、心臓を撃ち抜かれても
止まってやらぬ

我が最後の一撃に果てよ

古傷を持つヒトガタが満身創痍のリアンダーに近づく
片腕はなく、片足もない
粗雑な義足を鳴らし歩み寄る

いくらかの言葉を交わす
久方ぶりの再会に
最後の別れに

そして竜は前へ出る
友が守り抜いた前線のその先へ
大剣突き刺さる赤壁へ

なくしたニ肢を圧縮した空気で補う
その場にいる装甲騎竜たちだけが理解する
そのワザマエにどれほどの鍛錬が秘められているか

そして巨竜は大地を蹴った
加速、加速、さらに加速
あっという間に最高速に達する

直線を進む
一心不乱に一気呵成に
２２７ｍの巨躯が一本の槍へと変わる
それこそが装甲騎竜最強にして最後の秘技
撃ち抜けねば負ける諸刃の剣

降り注ぐ鉄火の矢を風盾頼りに受けながら
四肢の筋肉が引きちぎれながら
一直線に壁へと突き刺さる

「一度きりの戦友よ礼を言う」
「さらばだリアンダー我が戦友よ」

突き刺さった巨躯が最後の技を発動する
残った全てを注ぎ込み壁の中で起爆する
溜め込んだ風が弾け轟音が響く
跡形もなく消えた友の最後の跡地を見たとき

リアンダーだけが理解した
戦友が笑って逝ったことを

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リアンダー卿illust/64006217

跡形もなく消えたが残り滓くらいはあるかも
謎の騎竜（オールド・カツラギ）