【00課肆】そのままの言葉で【交流】
わずかな歩幅分の視線の先で、もう三つ編みが三、四回程往復して揺れるのを見つめていた。
左手に下げた紙袋が軽い音を立てるだけでこちらを向かれてしまうのではないかと、思わず紐を握る手に力が入る。
しかし、いつまでも後姿を見ていたくてこんなことをしているのでは無いのだが。
「…あー、札辻」
「おや、末利さん」
紙袋を後ろに隠し、息をひとつ吸ってから、ようやくその名前を呼ぶ。
こちらをちらりと見やって俺の姿を確認してから、いつもの調子で返事をしてくるりと振り向き返事をする。
「…はい、これ。持ってけ」
本当はもう少し気の利いた言葉の一つでもかけてやるつもりだった。
ところが、咄嗟に出たのは自分でもどうかと思うほどぶっきらぼうな言葉。
「…プリンですか?にしては重い…」
「なんでだよ。ていうかもはや、俺が買ってくるのが当たり前だと思ってるな?」
―――
今日一番伝えたかった言葉、やはりこれも何も飾りつけられていない、ありのまま。
それでも笑ってくれたのなら、無理に格好なんてつけなくて十分だと思った。
いつも、ありがとう【illust/64100264】
【illust/64100761】
左手に下げた紙袋が軽い音を立てるだけでこちらを向かれてしまうのではないかと、思わず紐を握る手に力が入る。
しかし、いつまでも後姿を見ていたくてこんなことをしているのでは無いのだが。
「…あー、札辻」
「おや、末利さん」
紙袋を後ろに隠し、息をひとつ吸ってから、ようやくその名前を呼ぶ。
こちらをちらりと見やって俺の姿を確認してから、いつもの調子で返事をしてくるりと振り向き返事をする。
「…はい、これ。持ってけ」
本当はもう少し気の利いた言葉の一つでもかけてやるつもりだった。
ところが、咄嗟に出たのは自分でもどうかと思うほどぶっきらぼうな言葉。
「…プリンですか?にしては重い…」
「なんでだよ。ていうかもはや、俺が買ってくるのが当たり前だと思ってるな?」
―――
今日一番伝えたかった言葉、やはりこれも何も飾りつけられていない、ありのまま。
それでも笑ってくれたのなら、無理に格好なんてつけなくて十分だと思った。
いつも、ありがとう【illust/64100264】
【illust/64100761】
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2017-11-25 00:00
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