無題

まさにかいきげっしょくのいたずらがき。
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 「相変わらずすごいのぜ。」

 完全に地球の影に隠れて赤銅色になった月を見て猫まりさはそう呟いた。

 「まりさは寒いの苦手なくせにこういうのだけは表で見たがるのよね。」
 「私は魔法使いだからな。魔法に関係するものは興味があるのぜ。」

 そう言って猫ありすの顔をちらりと見た猫まりさはその薄い金の瞳が赤銅色に変化してるのに気づくと、懐から棒を取り出して猫ありすの額にそれを当てた。

 「……ん、大丈夫そうだな。」

 その棒の先端に塗られてた青い塗料が変化しないのを見て、猫まりさは安堵の表情を浮かべた。

 「そりゃこの日の為にかなり訓練してきたからね。」
 「すーぱーでぶるーでぶらっどな月とかありすが暴走する条件だらけだもんな。」
 「仕方ないでしょう。人間から魔法使いになったせいでこういうのに慣れるには時間がかかるんだから。でも、もう平気よ。」

 そう言うわりに必死に抵抗している猫ありすの白い尻尾が太くなりはじめているのを見ないふりをして、猫まりさは猫ありすのスカートをぐいぐいと引っ張った。

 「つまんないのぜー。」
 「暴走して後始末の駄賃として何か持っていかれるくらいならこれくらい何でもないわよ。」
 「つーまんなーいのぜー!」
 「期待したって無駄よ。」
 「つーまーんーなーいのぜー!!」

 調子に乗った猫まりさが、猫ありすのさらに太くなった尻尾を掴んだ時だった。

 「人が必死に我慢してるのに何するのよ!!」

 怒りの声が頭の上から響いたと思った次の瞬間、猫まりさの頭の上に猫ありすが持っていた魔導書が振り下ろされた。

 「ふぎゃっ!!!!」

 ごすっという音に続いて猫まりさの悲鳴が響いた数分後、まだ赤銅色の月の下でいつもの弾幕ごっこが始まったのだった。

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2018-01-31 23:40

 猫耳ようかん


Comments (1)

bc 2018-02-21 23:50

弱みを隠そうとするアリスさんかわいい でも乱れるアリスを見たい魔理沙にも同感

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