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初邂逅

「うらめしや~」

そう言いながら木の陰からその娘はゆっくりと出てきた

「‥あれ?もしかして貴方驚いてるの?」

びっくりしたような顔で聞いてくる
自分で驚かしておいてそのセリフは無いだろうと言いながらも、出てきた彼女に驚いたのは確かだ

朝から天気が怪しかった今日、峠の向こうの村での用事を済ませて暗くなり始めた山道を足早に戻ろうと急いでいたら急に時雨が叩きつけてきた。参ったな‥雨具の準備もしてこなかったし少し様子を見ようかと半刻ほど程よく葉が茂った木の下で雨宿りをしていた俺の前に彼女は出てきた

多々良小傘‥里では有名な妖怪である。妖怪でありながら人懐っこく、しょっちゅう人里に現れては人を驚かせて(実際、驚く人間は皆無だが・・)いる。俺も何度か見かけたことはあったがこんな風に、しかもこんな人けのない場所で会うとは予想だにしてなかったからちょっと驚いたのだ。彼女としては化け傘という存在に驚いて欲しかったのだろうが…

そうだね、こんな場所でこんなに可愛い子が出てくるからほんと驚いたよ
・・何をどう動転したのかこんな歯の浮くような言葉が俺の口を突いて出た。何を言ってるんだ俺は・・きっと顔も真っ赤になってるに違いない。ただこの黄昏と時雨の中だったらバレはしないだろうが

「え?‥わたしのことが可愛い?わたし、妖怪だよ?」

暗くてあまり表情は伺えないが、ちょっと上ずった声で彼女は言った。つくづく人畜無害な妖怪である。少し余裕が出てきたので、里のおきゃんなだけの娘共よりも遥かに魅力的だ。そんな子とこうやってお話が出来るなんて俺は果報者だよなどと畳み込む。実際、彼女ともっと話をしたいなと思い始めてる俺

「あ・・えーと。そんなこと言われても何も出ないよ?・・そんなことより貴方びしょ濡れじゃない。え?里に帰る途中?だったらわたしの傘に入って一緒に行きましょう。ね?そうしましょう」

照れ隠しなのか慌てた風に彼女は言った。俺はお礼を言い、お言葉に甘えて傘に入れてもらって一緒に帰ることにした。山道を並んで歩きながら彼女は自身の武勇伝、失敗談、最近の妖怪界(というか人外界?)を途切れもなく話してくれた。どれも面白く興味深い話だったので俺も相槌を打ちつつ熱心に聞く。更に熱を帯びて話すからか上気した彼女からほんのりと汗の匂いがしてきた。妖怪の女の子ってこんないい匂いがするんだな・・ぼんやりと考えながら俺はこの化け傘娘のことをだんだん好きになっていった

・・・っていういちゃラブ薄くて濃い本を誰か!

2枚目は効果無し

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2018-05-06 17:47

 小猫


Comments (2)

2018-05-06 18:46

小傘ちゃんといちゃラブしたい...(*´Д`)

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