「ミミズはいつも全力だ…ッ!」
色が交わる事無く歪な螺旋を描き汚れた空のパレット。
生温くも身体を侵す凍てつくような風が吹き荒れる。
向かう先は一点、白濁とした色の崩れた塔。
それは既に塔として機能をしていない、瓦礫の集まる残骸である。
あそこに、あそこに妹がいる。
馬鹿な事をすれば呆れ顔をみせつつも、温もりのある笑顔を与えてくれる妹。
頼りない姉の、お日様。
塔の中、天井が抜け屋内がさらけ出された屋外。
床の中央にはぽっかりと口を開いた大穴。
その大穴は果たしてどこまで続いているのか、見当がつかない。
そんな大穴の隣、人影が見えた。
神にそそのかされ、獣となってしまった家族。
その化け物は、こちらに視線を向けること無く、ただ頭を抱え唸り声をあげる。
「すぐに助けてあげるから、待ってて」
負けられない、そう、妹を連れて帰るんだ。
「一緒に帰ろう、エリーゼ」
止めなくてはならない。
この世界が滅びる前に。
だからこそ。
「―――わたしは」
生温くも身体を侵す凍てつくような風が吹き荒れる。
向かう先は一点、白濁とした色の崩れた塔。
それは既に塔として機能をしていない、瓦礫の集まる残骸である。
あそこに、あそこに妹がいる。
馬鹿な事をすれば呆れ顔をみせつつも、温もりのある笑顔を与えてくれる妹。
頼りない姉の、お日様。
塔の中、天井が抜け屋内がさらけ出された屋外。
床の中央にはぽっかりと口を開いた大穴。
その大穴は果たしてどこまで続いているのか、見当がつかない。
そんな大穴の隣、人影が見えた。
神にそそのかされ、獣となってしまった家族。
その化け物は、こちらに視線を向けること無く、ただ頭を抱え唸り声をあげる。
「すぐに助けてあげるから、待ってて」
負けられない、そう、妹を連れて帰るんだ。
「一緒に帰ろう、エリーゼ」
止めなくてはならない。
この世界が滅びる前に。
だからこそ。
「―――わたしは」
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2018-08-05 20:15
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