兄・弟・逢・瀬
前回()
次回()
専門学校でストーリーの授業を受けてる際、「主人公には『弱さ』がないと共感できない」という意の話があったのだが、うちの天才主人公様は弱点と強みが全く同じものであるという特徴をもって作り上げたのでその辺はパスしてるなと。
ではキャプ↓
「凜久、鷹嶺凜久だよ。兄ちゃん」
と、いつまでも訝しげな目で俺を見るのを止めない兄ちゃんに対して、念を押すように俺は言った。
「何度言われてもな、俺の家族は全員8年前に殺されてるんだ。弟が生きてる訳無いだろう」
「俺別に生きてるなんて言ってないぜ、兄ちゃん」
「じゃあ何故俺達の目の前に居るんだよ、お前は?そもそもお前は何者なんだ?」
「色々あってさ、逃げてきたんだよ、兄ちゃん。あと俺は…たぶん兄ちゃんになら言っても平気かな。天使だよ、天使」
ますます警戒の色が強くなった。
俺嘘なんて吐いてないのに!?
「ねえねえそこのおっぱいのお姉ちゃん、兄ちゃんに何か言ってやってよ!」
「…不愉快な呼び方をしないで。藍原真梨亜。覚えて」
「じゃあ真梨亜!兄ちゃんに俺の事を信じてくれって言ってよ!兄ちゃんの友達なんだろ?」
「…生憎私も君が何者なのか解ってないし、どう信用しろと?…外見や言動から少なくとも悪意が無い事だけは理解出来るけど、その正体が解らない上に蒼来君の死んだ筈の弟の名を名乗っている。何かの罠を疑うのは仕方の無い事だと思うけれど」
「そう言われてもなあ…真梨亜、俺も俺だって兄ちゃんに解ってもらえる事、無いんだよなあ…。俺死んだの3歳の頃で生きてた頃の記憶全く無いし」
と、ぼやいたら、
「なら何故、俺の弟を名乗った?俺がお前の兄だと確証を持った?答えろ」
兄ちゃんが詰め寄ってきた。
何だか、期待している様な雰囲気だった。
「って言っても、兄ちゃん、俺の名前は鷹嶺凜久だからそう名乗っただけで、天界から兄ちゃんが戦ってるのずっと見てたし。だから生きてた頃の記憶が無くても知ってるってだけだよ」
「天界?」
「俺達が普段いるところだよ、兄ちゃん。たぶんこっちの人には天国って言った方が解りやすいかも」
「天国…。本当に死んだ人間の住む空間があると言うのか…?」
「ホントはこっちの人には天界の事話しちゃダメなんだけどね、今回は状況が状況だし、だから言うけど…ホントだよ、兄ちゃん。俺は確かに8年前死んで、天使として天界に昇り今こうして存在してる」
そう告げた。
本来ならタブーなんだけど。
死んだ後があるなんて、本来生きている人間が知って良い筈が無いんだ。
「本当に…凜久だと言うのか…!?」
「だからー、そうだってずっと言ってるじゃん、兄ちゃ…
でも、今回は正解だったのかなって。
たぶん俺の存在は、少しでも兄ちゃんを救う事が出来たんだから。
兄ちゃんは、俺を抱き締めた。
「…済まなかった…。俺はお前を…羽美を、父さんを、母さんを…護れなかった…!護れる力が、俺にはあったのに…!本当に…本当に済まない…」
さっきまでとはまるで違う、とても弱々しすぎる声。
それだけで理解出来た。
姉ちゃんから聞いてた兄ちゃんの事。
本当に凄い力を持った人の筈なのに、その力の使い道を知らず、俺達をみすみす死なせてしまった兄ちゃんの…決して消える事の無い心の傷。
たぶん兄ちゃんは、信じたかったんだ。俺の事。
だから本当に確証が持てるまで俺の事を疑った。
死後の世界の存在を俺自身が証明して漸く、兄ちゃんは俺を信じれた。
「ありがとう、凜久…」
兄ちゃんは暫く動かなかった。
まあ家族だし。漸く会えたんだ。こんなんでちょうど良いよね。
語り部は凜久。
この物語の世界観では死んだ一部の人間が天使になるってものになってる。
だから蒼来は凜久とこうして再会出来た訳だけど…。
実際死後の世界ってあるんかね?
確かめる気は無いけど。
次回、今この場にいない翠璃を襲った異変…!
次回()
専門学校でストーリーの授業を受けてる際、「主人公には『弱さ』がないと共感できない」という意の話があったのだが、うちの天才主人公様は弱点と強みが全く同じものであるという特徴をもって作り上げたのでその辺はパスしてるなと。
ではキャプ↓
「凜久、鷹嶺凜久だよ。兄ちゃん」
と、いつまでも訝しげな目で俺を見るのを止めない兄ちゃんに対して、念を押すように俺は言った。
「何度言われてもな、俺の家族は全員8年前に殺されてるんだ。弟が生きてる訳無いだろう」
「俺別に生きてるなんて言ってないぜ、兄ちゃん」
「じゃあ何故俺達の目の前に居るんだよ、お前は?そもそもお前は何者なんだ?」
「色々あってさ、逃げてきたんだよ、兄ちゃん。あと俺は…たぶん兄ちゃんになら言っても平気かな。天使だよ、天使」
ますます警戒の色が強くなった。
俺嘘なんて吐いてないのに!?
「ねえねえそこのおっぱいのお姉ちゃん、兄ちゃんに何か言ってやってよ!」
「…不愉快な呼び方をしないで。藍原真梨亜。覚えて」
「じゃあ真梨亜!兄ちゃんに俺の事を信じてくれって言ってよ!兄ちゃんの友達なんだろ?」
「…生憎私も君が何者なのか解ってないし、どう信用しろと?…外見や言動から少なくとも悪意が無い事だけは理解出来るけど、その正体が解らない上に蒼来君の死んだ筈の弟の名を名乗っている。何かの罠を疑うのは仕方の無い事だと思うけれど」
「そう言われてもなあ…真梨亜、俺も俺だって兄ちゃんに解ってもらえる事、無いんだよなあ…。俺死んだの3歳の頃で生きてた頃の記憶全く無いし」
と、ぼやいたら、
「なら何故、俺の弟を名乗った?俺がお前の兄だと確証を持った?答えろ」
兄ちゃんが詰め寄ってきた。
何だか、期待している様な雰囲気だった。
「って言っても、兄ちゃん、俺の名前は鷹嶺凜久だからそう名乗っただけで、天界から兄ちゃんが戦ってるのずっと見てたし。だから生きてた頃の記憶が無くても知ってるってだけだよ」
「天界?」
「俺達が普段いるところだよ、兄ちゃん。たぶんこっちの人には天国って言った方が解りやすいかも」
「天国…。本当に死んだ人間の住む空間があると言うのか…?」
「ホントはこっちの人には天界の事話しちゃダメなんだけどね、今回は状況が状況だし、だから言うけど…ホントだよ、兄ちゃん。俺は確かに8年前死んで、天使として天界に昇り今こうして存在してる」
そう告げた。
本来ならタブーなんだけど。
死んだ後があるなんて、本来生きている人間が知って良い筈が無いんだ。
「本当に…凜久だと言うのか…!?」
「だからー、そうだってずっと言ってるじゃん、兄ちゃ…
でも、今回は正解だったのかなって。
たぶん俺の存在は、少しでも兄ちゃんを救う事が出来たんだから。
兄ちゃんは、俺を抱き締めた。
「…済まなかった…。俺はお前を…羽美を、父さんを、母さんを…護れなかった…!護れる力が、俺にはあったのに…!本当に…本当に済まない…」
さっきまでとはまるで違う、とても弱々しすぎる声。
それだけで理解出来た。
姉ちゃんから聞いてた兄ちゃんの事。
本当に凄い力を持った人の筈なのに、その力の使い道を知らず、俺達をみすみす死なせてしまった兄ちゃんの…決して消える事の無い心の傷。
たぶん兄ちゃんは、信じたかったんだ。俺の事。
だから本当に確証が持てるまで俺の事を疑った。
死後の世界の存在を俺自身が証明して漸く、兄ちゃんは俺を信じれた。
「ありがとう、凜久…」
兄ちゃんは暫く動かなかった。
まあ家族だし。漸く会えたんだ。こんなんでちょうど良いよね。
語り部は凜久。
この物語の世界観では死んだ一部の人間が天使になるってものになってる。
だから蒼来は凜久とこうして再会出来た訳だけど…。
実際死後の世界ってあるんかね?
確かめる気は無いけど。
次回、今この場にいない翠璃を襲った異変…!
0
0
216
2018-10-08 12:58
Comments (0)
No comments