【ゴスプレ】0冊目④【青のライン】
企画元:ゴースト・プレイヤー(illust/70604413)
敗者が勝利した。そう聞いたのは事が全て終わった後だった。元よりこの世界にあまり興味がなかったウィズは、報告を受けるとすぐにシボラへと帰還した。
あっけなかった。こんな程度なのだろうか。それが率直な感想だった。しかし聞いたところによるとラインはかつて、モルガナで共に戦った『青の六号』の故郷だという(今のウィズにとってはどうでもいいことだ)。勝者側にとってもわりとどうでもよかった世界だったのかもしれない。
それよりも、だ。
シボラに帰還したウィズは一人、広い廊下の壁際をひっそりと歩く。その表情はフードに隠されて伺うことができないが、何やらぶつぶつと何かの名前を繰り返し呟いていた。
『聞いたか、ラインのこと。エイボン以外に第三勢力が現われたんだと』
『あぁ、聞いた。確かそいつの名前は……』
「タイラント……ッ!!」
とある敗者達から聞こえた名前。それはモルガナで邪神側についた異邦人であり、ウィズがモルガナより敗走するきっかけを与えた人物と同じ名前であった。数多ある世界が集まっているこの戦いで同名の別人である可能性もなくはない。しかしその男は確かに『一部の人は知ってる』とこちらに告げたのだと言う。
であるならば。ウィズはどう考えなおしても、その男がかつての男と同一人物であるようにしか思えなかった。
「はっ、はははっ! そんな奴が、あの世界にいたなんて!」
ウィズは自嘲気味に笑いながら、太く天井まで長く伸びている円柱を殴る。しかしその拳にはかつて受けた屈辱に対する悔しさと怒りが込められていた。わなわなと、叩き付けた拳は震えている。
「テメェにも返す借りがあるんだ……。首を長くして待ってやがれ」
ウィズの口角が邪悪に歪む。左胸に揺らめく青い炎が、チリチリと燃えていた。
第2章始まっていますが、第1章ログアウト作品です。
お借りしました
公式よりタイラントさん(illust/71698207)
闇が深まってく(illust/71492205)
敗者が勝利した。そう聞いたのは事が全て終わった後だった。元よりこの世界にあまり興味がなかったウィズは、報告を受けるとすぐにシボラへと帰還した。
あっけなかった。こんな程度なのだろうか。それが率直な感想だった。しかし聞いたところによるとラインはかつて、モルガナで共に戦った『青の六号』の故郷だという(今のウィズにとってはどうでもいいことだ)。勝者側にとってもわりとどうでもよかった世界だったのかもしれない。
それよりも、だ。
シボラに帰還したウィズは一人、広い廊下の壁際をひっそりと歩く。その表情はフードに隠されて伺うことができないが、何やらぶつぶつと何かの名前を繰り返し呟いていた。
『聞いたか、ラインのこと。エイボン以外に第三勢力が現われたんだと』
『あぁ、聞いた。確かそいつの名前は……』
「タイラント……ッ!!」
とある敗者達から聞こえた名前。それはモルガナで邪神側についた異邦人であり、ウィズがモルガナより敗走するきっかけを与えた人物と同じ名前であった。数多ある世界が集まっているこの戦いで同名の別人である可能性もなくはない。しかしその男は確かに『一部の人は知ってる』とこちらに告げたのだと言う。
であるならば。ウィズはどう考えなおしても、その男がかつての男と同一人物であるようにしか思えなかった。
「はっ、はははっ! そんな奴が、あの世界にいたなんて!」
ウィズは自嘲気味に笑いながら、太く天井まで長く伸びている円柱を殴る。しかしその拳にはかつて受けた屈辱に対する悔しさと怒りが込められていた。わなわなと、叩き付けた拳は震えている。
「テメェにも返す借りがあるんだ……。首を長くして待ってやがれ」
ウィズの口角が邪悪に歪む。左胸に揺らめく青い炎が、チリチリと燃えていた。
第2章始まっていますが、第1章ログアウト作品です。
お借りしました
公式よりタイラントさん(illust/71698207)
闇が深まってく(illust/71492205)
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2018-12-09 02:40
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