迷宮結界の住まいにぬいぐるみ二つ
正月過ぎの美倉町。
山奥に作られた迷宮結界の中には、桜が咲溢れていた。
青く澄んだ青い空に、乾いた空気がおいしい空気と心地よい涼しさを感じさせてくる。
ここは、桜安姫の作り出す迷宮結界『桜』である。
奇抜な物やグロテスクなものまでもある迷宮結界の中でも、桜安姫が作り出す迷宮結界『桜』は、晴れた日の穏やかな葬式のようであると、その美しさにおいて妖怪たちの評価が高かった。
その迷宮の奥深く。最深部である湖には、湖全体が見渡せるように、開けた休憩場が設けられていた。
「それで…呼ばれたと思ったら…なんです?」
その休憩上の上、尻尾に桜の花びらが垂れてぱたぱたと振り払う一人の妖怪が居た。
ワーフムだ。彼女は常に守猫神社の養子として住んでいるため、この結界に来ることはそうそうにない、珍しい来客だ。
「ああぁ……だからね、わたしたちをぬいぐるみにしてほしいのー…」
「そうそう。なーはははぁ…」
耳を垂らしつつ、肩透かしをくらった顔でワーフムは前方を見ている。
その前方には、この結界の主である桜安姫と、その友人であるパストが地面にぐったりとしていた。
「呼ばれたのは…。てっきり、化かし合いの果たし状だと思ったのですけどねぇ…」
「ごめんごめん。私達、1週間ぐらい凄い辛い目にあってたのよぉ。もう、しばらくなにもかんがえたくないー…」
「そーだぜぇ。だからさー、おまえさんのぬいぐるみ変化を喰らって、ぐったりとしたいって思ったのよぉ…」
ぐったりとした二人は、揃いに揃ってうんうんと頷いた。
「出張マッサージか! たしかに、ワーフムのぬいぐるみ変化は、牙にかけた相手を、完全にふぬけにして、のーんびりさせる自信はあるのです!」
ふんすっ、息をたて。ワーフムはいつものように自信ありげに腰に両手を当てて、胸を張る。
「もー。この為に呼ぶなんて…。お礼として、ちゃーんと妖力は吸わせてもらうのですよ!」
「いーよぉー…。私もパストも。吸われる分リラックスするからー…」
「むむむ。契約成立だよー」
ワーフムはそう言って二人の傍へ近寄ると、二人の首元をそーっと噛んだ。
二人は小さく伸びるような声をあげると。二人そろってぼふんっ!と煙をたてて姿が見えなくなった。
やがて、煙が晴れると。そこにはピンクと青色のけもののぬいぐるみが重なって転がっていた。
ピンクのけもぬいは、頭に特徴的な爆発くせ毛が残っており。青色のけもぬいの方は、頭にハコのぬいぐるみが乗っかっている。ぬいぐるみになった桜安姫とパストだ。
「ふにゃー…ありがとーワーフムちゃん~」
「なんだぜー。ろきもうちも、これで休暇をくつろげるぜー」
「うんうん…よかったのです」
二つのぬいぐるみは、そう言い合うと重なって寄合い。そのまま桜の花びらに紛れて、ゆったりとくつろぎだした。
「なにがどうなったら、こんな状態になるんだろう…?ねえ、お二人、さん……」
ワーフムは声を掛けようとしたが、二人がもふもふとしながら寝転がっているのを見ていると、何があったのか尋ねるのも野暮かと思い、聴かない事にした。
「…………よしよし」
ひとまず、妖力をゆっくりと吸いつつも。二人の頭を撫でながら、くつろいだ。
「にゃんにゃん、にゃ~」
「あおあおあ~…」
「……」尻尾ブンブン
山奥に作られた迷宮結界の中には、桜が咲溢れていた。
青く澄んだ青い空に、乾いた空気がおいしい空気と心地よい涼しさを感じさせてくる。
ここは、桜安姫の作り出す迷宮結界『桜』である。
奇抜な物やグロテスクなものまでもある迷宮結界の中でも、桜安姫が作り出す迷宮結界『桜』は、晴れた日の穏やかな葬式のようであると、その美しさにおいて妖怪たちの評価が高かった。
その迷宮の奥深く。最深部である湖には、湖全体が見渡せるように、開けた休憩場が設けられていた。
「それで…呼ばれたと思ったら…なんです?」
その休憩上の上、尻尾に桜の花びらが垂れてぱたぱたと振り払う一人の妖怪が居た。
ワーフムだ。彼女は常に守猫神社の養子として住んでいるため、この結界に来ることはそうそうにない、珍しい来客だ。
「ああぁ……だからね、わたしたちをぬいぐるみにしてほしいのー…」
「そうそう。なーはははぁ…」
耳を垂らしつつ、肩透かしをくらった顔でワーフムは前方を見ている。
その前方には、この結界の主である桜安姫と、その友人であるパストが地面にぐったりとしていた。
「呼ばれたのは…。てっきり、化かし合いの果たし状だと思ったのですけどねぇ…」
「ごめんごめん。私達、1週間ぐらい凄い辛い目にあってたのよぉ。もう、しばらくなにもかんがえたくないー…」
「そーだぜぇ。だからさー、おまえさんのぬいぐるみ変化を喰らって、ぐったりとしたいって思ったのよぉ…」
ぐったりとした二人は、揃いに揃ってうんうんと頷いた。
「出張マッサージか! たしかに、ワーフムのぬいぐるみ変化は、牙にかけた相手を、完全にふぬけにして、のーんびりさせる自信はあるのです!」
ふんすっ、息をたて。ワーフムはいつものように自信ありげに腰に両手を当てて、胸を張る。
「もー。この為に呼ぶなんて…。お礼として、ちゃーんと妖力は吸わせてもらうのですよ!」
「いーよぉー…。私もパストも。吸われる分リラックスするからー…」
「むむむ。契約成立だよー」
ワーフムはそう言って二人の傍へ近寄ると、二人の首元をそーっと噛んだ。
二人は小さく伸びるような声をあげると。二人そろってぼふんっ!と煙をたてて姿が見えなくなった。
やがて、煙が晴れると。そこにはピンクと青色のけもののぬいぐるみが重なって転がっていた。
ピンクのけもぬいは、頭に特徴的な爆発くせ毛が残っており。青色のけもぬいの方は、頭にハコのぬいぐるみが乗っかっている。ぬいぐるみになった桜安姫とパストだ。
「ふにゃー…ありがとーワーフムちゃん~」
「なんだぜー。ろきもうちも、これで休暇をくつろげるぜー」
「うんうん…よかったのです」
二つのぬいぐるみは、そう言い合うと重なって寄合い。そのまま桜の花びらに紛れて、ゆったりとくつろぎだした。
「なにがどうなったら、こんな状態になるんだろう…?ねえ、お二人、さん……」
ワーフムは声を掛けようとしたが、二人がもふもふとしながら寝転がっているのを見ていると、何があったのか尋ねるのも野暮かと思い、聴かない事にした。
「…………よしよし」
ひとまず、妖力をゆっくりと吸いつつも。二人の頭を撫でながら、くつろいだ。
「にゃんにゃん、にゃ~」
「あおあおあ~…」
「……」尻尾ブンブン
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2019-01-07 21:07
Comments (5)
こうゆうシチュエーションもほのぼのとしていいですね。
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