神の祝福がない転生者は異世界で呼吸さえもできない
~あらすじ~
ある日、皇国の北方にある小さな祠。その中で、異世界召喚の儀式が執り行われていた。
その召喚の儀式を執り行うのは、若くして皇立魔導学院を首席卒業した魔導士レイティナ。
外敵である妖魔の脅威が日に日に増している中、地方は見放されてしまうことが多かった。
強力な転生特典を持った転生者を召喚することができれば、それら集落は自衛力を持つことが出来る。
転生者の多くは、世の中を知るに至らない若者ばかりだ。うら若く美しく、そして、幸の薄い娘をいくつか配して、気取られずハーレムを作って篭絡すればそのような若者は、容易く操ることができるのを村の老人たちは熟知していた。
そして、世間に出たばかりの無知なレイティナも、また、その計画に組み込まれていた。
召喚の儀式は、レイティナの家に古くから伝わる霊媒を用いて執り行われた。強力なエーテルの封じられた霊媒による召喚の儀式。過去、既にいくつかの召喚を成功させていたレイティナは、その手ごたえに相当な自信を感じていた。
「この感触…手ごたえありよ! この転生者はきっと強力な転生特典を携えて――?」
その次の瞬間、煙の中から現れた転生者の身体は、ぐらりとその場に倒れる。
「!? おかしい。ちょっとどうしたの?!」
倒れたまま、何かもがき苦しむようにのたうち回る転生者に駆け寄るレイティナ。
どうしたことだろうか、転生者は、浜に打ち上げられた魚のように息苦しそうに喉元を抑え、泡を吹いているではないか。
「ど、どうして!? 何が……起こってるの!?」
苦悶を顔に浮かべたまま、動かなくなった転生者を前に、愕然とするレイティナ。その時だった。
「そこまでだ! 転生者の召喚赦すまじ! 転生者は皆殺しだ!!」
「!?」
突如、投げ込まれた丸い物体。足元まで転がってきたそれが、レイティナに転生者召喚を依頼してきた村長の生首であることに気づくのに時間は必要なかった。
「よ、妖魔……」
「床に伏せて、手を頭の後ろに回せ! 下手な動きをすれば、斬る!」
レイティナは言われるがままにするしかなかった。
「将軍、あれを」
「……転生者か。気を失ってるようだが……油断するな」
妖魔の兵士何人かが、気絶した転生者を槍の先でつつく。
「将軍。こいつ、もう、死んでます」
「動きませんもん」
獣人の兵士が、そういうと、将軍と呼ばれた蒼い衣の人物が動かない転生者の傍に膝をついた。
「……これは。まさか……エーテル中毒? ……軍医を呼べ! この者を死なせるな!」
「…は? 将軍、今なんと?」
「軍医を呼べと言ったのだ。二度同じことを言わせるな!」
「「ははッ!」」
兵士たちは将軍の一喝で、軍医を呼びに祠を飛び出していった。
「ちょ、ちょっと、待ちなさいよ!」
不意に、声をかけられて将軍はその声の主を一瞥した。
「あんた、最近、噂になってる転生者狩りでしょ? なんで、あんな命令を出すわけ?」
声の主は、レイティナだった。
「……と思ったからさ」
「え?」
外からのまばゆい光に向かいながら、蒼髪の将軍は言った。
「どんな理由で神の誘いを断ったのか興味がある。要は、アイツと話がしてみたい……そう、思ったからさ」
以上
※少し、投稿の間が空いてしまい申し訳ないです。とりま、作業分量の少ないオリジナルから再スタート。
異世界物のほとんどで、省略される要素と言えば、『言葉の壁』がありますね。
そこらはリアルに描写しても、まどろっこしいだけで面白みに欠けるってのは分かります。
後は、『魔素』とか『マナ』とか、空気中にある異物の存在。そもそもの大気の組成が
現世と同じとは限らないなら、当然、拒絶反応が出てもおかしくないのではないでしょうか。
もしも、神様からの特別な祝福(魔改造?)を受けなかった存在が、そんな環境に突然、放り込まれたと
したら……?
異世界側の人物視点ならではのキャラクター描写ができるんじゃないかなーっと個人的には思う次第です。
※キャラクターはオリジナル。魔導士レイティナと妖魔将軍ミレー。そして、神様に啖呵切って、祝福を受けなかったことで異世界転生して呼吸すらまともにできないクソ雑魚ナメクジ転生者、司士神良也(シシガミ ヨシヤ)。
ある日、皇国の北方にある小さな祠。その中で、異世界召喚の儀式が執り行われていた。
その召喚の儀式を執り行うのは、若くして皇立魔導学院を首席卒業した魔導士レイティナ。
外敵である妖魔の脅威が日に日に増している中、地方は見放されてしまうことが多かった。
強力な転生特典を持った転生者を召喚することができれば、それら集落は自衛力を持つことが出来る。
転生者の多くは、世の中を知るに至らない若者ばかりだ。うら若く美しく、そして、幸の薄い娘をいくつか配して、気取られずハーレムを作って篭絡すればそのような若者は、容易く操ることができるのを村の老人たちは熟知していた。
そして、世間に出たばかりの無知なレイティナも、また、その計画に組み込まれていた。
召喚の儀式は、レイティナの家に古くから伝わる霊媒を用いて執り行われた。強力なエーテルの封じられた霊媒による召喚の儀式。過去、既にいくつかの召喚を成功させていたレイティナは、その手ごたえに相当な自信を感じていた。
「この感触…手ごたえありよ! この転生者はきっと強力な転生特典を携えて――?」
その次の瞬間、煙の中から現れた転生者の身体は、ぐらりとその場に倒れる。
「!? おかしい。ちょっとどうしたの?!」
倒れたまま、何かもがき苦しむようにのたうち回る転生者に駆け寄るレイティナ。
どうしたことだろうか、転生者は、浜に打ち上げられた魚のように息苦しそうに喉元を抑え、泡を吹いているではないか。
「ど、どうして!? 何が……起こってるの!?」
苦悶を顔に浮かべたまま、動かなくなった転生者を前に、愕然とするレイティナ。その時だった。
「そこまでだ! 転生者の召喚赦すまじ! 転生者は皆殺しだ!!」
「!?」
突如、投げ込まれた丸い物体。足元まで転がってきたそれが、レイティナに転生者召喚を依頼してきた村長の生首であることに気づくのに時間は必要なかった。
「よ、妖魔……」
「床に伏せて、手を頭の後ろに回せ! 下手な動きをすれば、斬る!」
レイティナは言われるがままにするしかなかった。
「将軍、あれを」
「……転生者か。気を失ってるようだが……油断するな」
妖魔の兵士何人かが、気絶した転生者を槍の先でつつく。
「将軍。こいつ、もう、死んでます」
「動きませんもん」
獣人の兵士が、そういうと、将軍と呼ばれた蒼い衣の人物が動かない転生者の傍に膝をついた。
「……これは。まさか……エーテル中毒? ……軍医を呼べ! この者を死なせるな!」
「…は? 将軍、今なんと?」
「軍医を呼べと言ったのだ。二度同じことを言わせるな!」
「「ははッ!」」
兵士たちは将軍の一喝で、軍医を呼びに祠を飛び出していった。
「ちょ、ちょっと、待ちなさいよ!」
不意に、声をかけられて将軍はその声の主を一瞥した。
「あんた、最近、噂になってる転生者狩りでしょ? なんで、あんな命令を出すわけ?」
声の主は、レイティナだった。
「……と思ったからさ」
「え?」
外からのまばゆい光に向かいながら、蒼髪の将軍は言った。
「どんな理由で神の誘いを断ったのか興味がある。要は、アイツと話がしてみたい……そう、思ったからさ」
以上
※少し、投稿の間が空いてしまい申し訳ないです。とりま、作業分量の少ないオリジナルから再スタート。
異世界物のほとんどで、省略される要素と言えば、『言葉の壁』がありますね。
そこらはリアルに描写しても、まどろっこしいだけで面白みに欠けるってのは分かります。
後は、『魔素』とか『マナ』とか、空気中にある異物の存在。そもそもの大気の組成が
現世と同じとは限らないなら、当然、拒絶反応が出てもおかしくないのではないでしょうか。
もしも、神様からの特別な祝福(魔改造?)を受けなかった存在が、そんな環境に突然、放り込まれたと
したら……?
異世界側の人物視点ならではのキャラクター描写ができるんじゃないかなーっと個人的には思う次第です。
※キャラクターはオリジナル。魔導士レイティナと妖魔将軍ミレー。そして、神様に啖呵切って、祝福を受けなかったことで異世界転生して呼吸すらまともにできないクソ雑魚ナメクジ転生者、司士神良也(シシガミ ヨシヤ)。
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2019-02-13 21:58
Comments (8)
転生者の今後が気になりますねw
View Repliesまず、『強力な転生特典』ってのが分かりませんが… 要は村の用心棒として異世界から拉致するってことかしら
View Replies面白いです。続きが気になります。
View Replies異世界なのだから、大気中の酸素濃度とか違うかもしれませんね。こういう設定や考察は空想科学読本みたいで面白いです!ただ、こういう設定はファンタジー系よりもSFなどのスペースオペラが向いている気がします。
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