【PFLS】復興への思いはノーサイド【ファイアランド】

※当作品は、他のお子様方の行動を縛るものではございません。問題等ございましたら御一報いただければ幸いです。

「あのぅ……これは？」

「これをヨークモエル村まで持っていってくれないかね……それがアンタを解放する条件でありんす」

黎明の戦いで昏倒したエルダーグランの女兵士を捕虜にする形で救助してズィーゲンドラッヘ拠点内に匿っていたキミーは、彼女にズィーゲンメンが大量に詰め込まれたリュックサックを手渡した。

「あそこで起きた厄災のことをパブで聞いてしまってねぇ……特に酒好きには悲しい出来事でありんした」

味の良い果実酒を拵えるのに最適なコハク酒の名産地としてラスト大陸に知られていたエルダーグラン同盟国内の集落・ヨークモエル村は、原因不明の大火事により一夜にして村ぐるみ焼失してしまった。

付近の火山が噴火して被害を受けたとか、
ファイアランドの兵が略奪のために放火したとか、
そういう筋書きを仕組んだノーザリアの隠密部隊の仕業だとか、
エルダーグランの過激派がプロパガンダに利用しただとか、
炎を吐く魔獣が出たとか、
村を訪れた旅人の中に火事場泥棒がいたとか、
奴隷商人が『商品』を調達するためだとか、
そもそも村が可燃性物質だらけの火薬庫状態だったとか、etc、etc……

まことしやかな噂は数あれど、真相が灰となり大地に還った今では確かめようがない。ひとつ確かな事実は、村の再起に向けて生き残った元住民が、国や種族や身分の垣根を超えて集った有志と復興活動を展開している……ということである。

「ｵｲｼｲｳﾒｼｭを拵えるなら、ヨークモエル村のコハク酒が一番。アチきはあの酒の、あの村のファンとして、今出来ることをやりたいんでありんす」

「キミーさん……」

捕虜の女兵士・ジョズニーヤ＝ケマシターも生まれはヨークモエル村で、火災当時は戦場にいてそれどころではなかったものの、自分が生き延びてしまったことを酷く悔やんでいた。

「ここもじきにノーザリア軍との決戦で真っ赤な戦場になる。どさくさに紛れてクニに帰るなら、今しかないと思わないかね？」

「……ありがとうございます！」

解放されたジョズニーヤは故郷を目指し、避難するレッドヴァル市民に紛れて東に歩みを進めるのだった。

またしても開戦前の話。
今更ですがヨークモエル村に長期保存に適した支援物資を提供します！ジョズニーヤのキャラシはまた後日ぼちぼちと……

目下復興中・ヨークモエル村illust/73532988

ヨークモエル村の悲劇illust/73282195⇒illust/73499915⇒illust/73500232

熱いほど美味い！ズィーゲンメンillust/73030514

ジョズニーヤ＝ケマシター⇒キャラシは後日

我が家の傾奇者キミーillust/72988868