【PFLS】呪われて僕ら、話をしよう。
「あっ君は!」
「えっ」
ガヤガヤと賑わう露店街で、
すれ違いざまに声をかけられ振り向いた。
「ああ!やっぱりあのときの!」
柔らかく透き通る緑の眼は見覚えがあった。
あの時は片目しか見えていなかったがーー…
「あなた…あの時の割れた仮面の…」
「俺はコンスタ!コンスタっていうんだ!」
人懐っこい笑顔を見せながら、
彼はそういった。
その日は快晴だった。
火の国物産展は敗戦後だというのに、いやだからこそか賑わいをみせており土地に住む人々は皆生き生きと顔を輝かせ色とりどりのアイテムを眺め、買い、売り楽しんでいる。
「なにか楽しそうなことやってるって言うから、ちょっとお邪魔してたんだ〜!でもまさか君に会えるとは思わなかったよ!」
「そうね、私も久々に砦から出た先で、戦場で切りかかった相手とまた会うとは思わなかったわ。噂話に乗るのも悪くないわね。」
露店から少し離れた石垣の上に並んで腰かけながらフォティアは穏やかに言う。
自分と同じような「呪い持ち」とこうして話せる機会はなかった。コンスタの人懐っこい性格にあてられたのか、シンパシーを感じたのか、敵国の、それも一度命を奪いに行った相手とこうも話せるものかとフォティアは自分でも不思議だった。
「噂話?」
「解呪の鏡っていうのがね、あるってきいて。」
解呪の鏡【illust/73801781】は呪われた者の呪われる前、真実の姿を見せ、鏡の裏には解呪の方法があるというマジックアイテムだ。フォティアは火の国物産展の蚤の市でその鏡が売られているという噂を聴いて、普段は出て行かない砦から久々の外出中だった。
実際のところその解呪の鏡は確かに蚤の市にあって、「解呪方法、五王国金貨5枚」という馬鹿げた値段で見世物のように置かれていたわけだがー…
「それ…どれくらいの金額か俺わかんないけど払ったの?」
「払ったわ。どうせお給料使い道もあまりないしね。」
無駄骨だったけれど。とフォティアはため息をつきながら言った。
確かに鏡の裏に回れば解呪の方法は浮かび上がってきた。人間予想と結果が同じだったらもう少し喜んでいた処だろう。けれどフォティアの顔は少しも晴れない。眉間の皺は呪いの影響というだけのものではなかった。
「無駄…?分からなかったって事?」
「わかっても、解呪ってそうそう簡単なことじゃないでしょう。君も、仮面の呪いは解いたけど、前よりその身体の呪いは進んでいる…わよね。」
「わかるんだ!」
「なんでかね、変に勘みたいなものばかり良くなっていくの。」
「フォティアは、やっぱり呪いを解きたいのか?」
答える代わりに少しだけ微笑んだ。上手くできている自身は無い。
「戦争は嫌いって、前に言ってたよな。俺も殺し合いは嫌いでさ。」
言っただろうか。だとしたらあの時に4段階目まで呪いを使ったときだろう。
あの状態での記憶は、フォティアの中でおぼろげだ。
「俺が強くなることで誰かを守れるならって、俺が前に出て、無駄に殺し合うことを止めれるならいいなって思ってさ。そしたら!尻尾も鱗も生えて力も前より全然強くなったんだ!」
「そうなの?…ああ、でもその感じは、私も解るかもしれないわね。」
「そう?やった!まぁ呪い進んじゃうと化物になっちゃうかもしれないんだけどさ!」
「あなたも?まあ呪いなんてそんなものか。」
全く緊迫感のない言い方でコンスタが話すものでついフォティアは噴出してしまった。
ああ、でもわかるよ。守りたいっていう気持ち。
「俺、化物になってもいいと思ってたんだ。もしそうなっても、俺の仲間は強いからきっと俺を倒してくれる。」
「うん。」
ああ、わかるよ。心の中で返しながら帰るべき砦の仲間たちを思い出す。
「でもさ、俺の仲間が言ったんだ。もし誰かを守れたとしても、俺が消えちゃったらみんなが悲しまないと思ってるのかーって。俺、皆が悲しむのは嫌だし、先の事考えてなかったってすごい反省したんだ。」
「…怪物になったら、こうして話すこともなくなってしまうものね。」
「そう、そうなんだよ!」
ぐるりと首をフォティアの方に向けてコンスタは言った。その勢いにつられてまた笑ってしまった。
少し日が傾き始めている。暗くなる前に砦に戻らなければいけなかった。今日は寝ずの番の担当だった。
「そうなる前に君と話せてよかった。」
戦争が終わったら、また話しましょう。
そういってフォティアは立ち上がる。
「今度は、そうね、この呪いを使う必要のない世界に、きっとなってるって思いたいよ。」
*****
時系列は最終章の開戦ちょっと前です。火の国物産展【illust/73532984】の設定お借りしました。
ゆるゆるな時系列と雰囲気お話ということで…
(いや言い訳させてもらうとイメレス先のキャプションで突然ハチの巣にされたのでこれはやはりお話しておくべきでしょ…!?ってなったんで…)(あとこの構図を描きたかった)
(あとこちらillust/73968048で雲行きが急展開だったので先にお話ししなきゃじゃん!って思いましたまる)
◆お借りしました(敬称略)
エルダーグラン
<黒梯騎士団ベアステイル>
コンスタ【illust/72937947】→今の姿【illust/73790755】
呪われる前の姿は過去編【illust/73572199】を参考に、色味は完全にねつ造ですので髪の色とか本当はもしかしたら違うかもしれない…
◆フォティア【illust/73317046】
本当はもう一枚首都決戦絵を描きたかったんですがノーザリアの杖折ったりしてたら全然まにあわなくなっちゃったんでアフターにクソアツ(物理)展開漫画にくっつけてアフター最終回とかにしたいとおもいます!!よろしくおねがいします!
途中参戦でしたがめっちゃ思い出になる交流ができて幸せでした!!気づけば雪にまみれたこの地ももう春ですね!
◆pixivファンタジア Last Saga【illust/72934234】
「えっ」
ガヤガヤと賑わう露店街で、
すれ違いざまに声をかけられ振り向いた。
「ああ!やっぱりあのときの!」
柔らかく透き通る緑の眼は見覚えがあった。
あの時は片目しか見えていなかったがーー…
「あなた…あの時の割れた仮面の…」
「俺はコンスタ!コンスタっていうんだ!」
人懐っこい笑顔を見せながら、
彼はそういった。
その日は快晴だった。
火の国物産展は敗戦後だというのに、いやだからこそか賑わいをみせており土地に住む人々は皆生き生きと顔を輝かせ色とりどりのアイテムを眺め、買い、売り楽しんでいる。
「なにか楽しそうなことやってるって言うから、ちょっとお邪魔してたんだ〜!でもまさか君に会えるとは思わなかったよ!」
「そうね、私も久々に砦から出た先で、戦場で切りかかった相手とまた会うとは思わなかったわ。噂話に乗るのも悪くないわね。」
露店から少し離れた石垣の上に並んで腰かけながらフォティアは穏やかに言う。
自分と同じような「呪い持ち」とこうして話せる機会はなかった。コンスタの人懐っこい性格にあてられたのか、シンパシーを感じたのか、敵国の、それも一度命を奪いに行った相手とこうも話せるものかとフォティアは自分でも不思議だった。
「噂話?」
「解呪の鏡っていうのがね、あるってきいて。」
解呪の鏡【illust/73801781】は呪われた者の呪われる前、真実の姿を見せ、鏡の裏には解呪の方法があるというマジックアイテムだ。フォティアは火の国物産展の蚤の市でその鏡が売られているという噂を聴いて、普段は出て行かない砦から久々の外出中だった。
実際のところその解呪の鏡は確かに蚤の市にあって、「解呪方法、五王国金貨5枚」という馬鹿げた値段で見世物のように置かれていたわけだがー…
「それ…どれくらいの金額か俺わかんないけど払ったの?」
「払ったわ。どうせお給料使い道もあまりないしね。」
無駄骨だったけれど。とフォティアはため息をつきながら言った。
確かに鏡の裏に回れば解呪の方法は浮かび上がってきた。人間予想と結果が同じだったらもう少し喜んでいた処だろう。けれどフォティアの顔は少しも晴れない。眉間の皺は呪いの影響というだけのものではなかった。
「無駄…?分からなかったって事?」
「わかっても、解呪ってそうそう簡単なことじゃないでしょう。君も、仮面の呪いは解いたけど、前よりその身体の呪いは進んでいる…わよね。」
「わかるんだ!」
「なんでかね、変に勘みたいなものばかり良くなっていくの。」
「フォティアは、やっぱり呪いを解きたいのか?」
答える代わりに少しだけ微笑んだ。上手くできている自身は無い。
「戦争は嫌いって、前に言ってたよな。俺も殺し合いは嫌いでさ。」
言っただろうか。だとしたらあの時に4段階目まで呪いを使ったときだろう。
あの状態での記憶は、フォティアの中でおぼろげだ。
「俺が強くなることで誰かを守れるならって、俺が前に出て、無駄に殺し合うことを止めれるならいいなって思ってさ。そしたら!尻尾も鱗も生えて力も前より全然強くなったんだ!」
「そうなの?…ああ、でもその感じは、私も解るかもしれないわね。」
「そう?やった!まぁ呪い進んじゃうと化物になっちゃうかもしれないんだけどさ!」
「あなたも?まあ呪いなんてそんなものか。」
全く緊迫感のない言い方でコンスタが話すものでついフォティアは噴出してしまった。
ああ、でもわかるよ。守りたいっていう気持ち。
「俺、化物になってもいいと思ってたんだ。もしそうなっても、俺の仲間は強いからきっと俺を倒してくれる。」
「うん。」
ああ、わかるよ。心の中で返しながら帰るべき砦の仲間たちを思い出す。
「でもさ、俺の仲間が言ったんだ。もし誰かを守れたとしても、俺が消えちゃったらみんなが悲しまないと思ってるのかーって。俺、皆が悲しむのは嫌だし、先の事考えてなかったってすごい反省したんだ。」
「…怪物になったら、こうして話すこともなくなってしまうものね。」
「そう、そうなんだよ!」
ぐるりと首をフォティアの方に向けてコンスタは言った。その勢いにつられてまた笑ってしまった。
少し日が傾き始めている。暗くなる前に砦に戻らなければいけなかった。今日は寝ずの番の担当だった。
「そうなる前に君と話せてよかった。」
戦争が終わったら、また話しましょう。
そういってフォティアは立ち上がる。
「今度は、そうね、この呪いを使う必要のない世界に、きっとなってるって思いたいよ。」
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時系列は最終章の開戦ちょっと前です。火の国物産展【illust/73532984】の設定お借りしました。
ゆるゆるな時系列と雰囲気お話ということで…
(いや言い訳させてもらうとイメレス先のキャプションで突然ハチの巣にされたのでこれはやはりお話しておくべきでしょ…!?ってなったんで…)(あとこの構図を描きたかった)
(あとこちらillust/73968048で雲行きが急展開だったので先にお話ししなきゃじゃん!って思いましたまる)
◆お借りしました(敬称略)
エルダーグラン
<黒梯騎士団ベアステイル>
コンスタ【illust/72937947】→今の姿【illust/73790755】
呪われる前の姿は過去編【illust/73572199】を参考に、色味は完全にねつ造ですので髪の色とか本当はもしかしたら違うかもしれない…
◆フォティア【illust/73317046】
本当はもう一枚首都決戦絵を描きたかったんですがノーザリアの杖折ったりしてたら全然まにあわなくなっちゃったんでアフターにクソアツ(物理)展開漫画にくっつけてアフター最終回とかにしたいとおもいます!!よろしくおねがいします!
途中参戦でしたがめっちゃ思い出になる交流ができて幸せでした!!気づけば雪にまみれたこの地ももう春ですね!
◆pixivファンタジア Last Saga【illust/72934234】
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2019-03-31 19:40
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